短編夢小説
□会えない
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「はぁ…」
私はカレンダーを見てため息をついた。
今日は、5年くらい前にいなくなった私の幼馴染の誕生日。
家族ぐるみでの付き合いだったから、誰かの誕生日の時は集まってお祝いをするのが当たり前になっていた。
「もう5年も祝ってないよ。京兄の誕生日」
私の幼馴染――烏丸京介は私の一つ上。
今は、というより今日でもう16のはずだ。
「あーあ、会いたいなぁ…」
その時、
prrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr
「わっ」
私の携帯が突如として鳴った。
「誰…?…母さんじゃん。期待して損した。…もしもし?」
[もしもーし、ナル?]
「うん、そうだよ?」
[今、駅にいるんだけど…]
「は?駅?なんで?」
[今連絡があったの。京介君、今日帰ってくるんだって]
私は一瞬自分の耳を疑った。
「え…、ホントに!?」
[ホントよー。だから今迎えに…。あっ、こっちだよー!…そんな訳で一時間くらいで戻るわね。じゃあ]
そう言って電話が切れた
「ちょっと待ってよ!いくらなんでも急すぎるよ!」
一応私は京兄の事が、好きなのだ。恋愛的な意味で。
好きな人に突然でも会えるというのは誰だって緊張するはずでしょ?
…しかも、初恋の。
「とりあえず、着替えよう。」
私は大急ぎで身だしなみを整え始めた。