帰り路をなくして(未完)

□外伝【鬼火の路】
7ページ/8ページ

✻✻✻あとがき✻✻✻



『鬼火の路』は2016年2月から3月にかけて拍手SSで連載させていただいたお話です。


「路」と「道」の違いですが、今回は「路」は人工的に敷かれた道という意味、「道」は進むべき道という意味で使い分けてみました。
フユさんに千草さんが“自分の道を行け”って言ったシーンは、与えられた路じゃなくて自分で道を切り開いていきなさいよっていう意味です。
一方、千草さんにお父さんが“親が敷いた路を歩かせてすまなかった”って謝るシーンは、親が敷いたレールの上を歩かざるを得なかった千草さんに対する懺悔の意味が込められています。
でも千草さんは親が敷いた路を歩いたけど得るものもあったと思っていて、最終的には千速さんと別れる道を選びました。
その時は、もう親が敷いた路ではなく千草さん本人が自分の道を選んで歩き始めているわけです。
「路」と「道」の違いって難しくて書いてる自分も頭がこんがらかりそうになりました。


今回は、千草さん・広足さん・千速さんのゆるーい三角関係を描いてみました。
途中から、千速さんは千草さんを愛しく想い始めますが、では千草さんはどうだったのかといいますと…。
千速さんへの気持ちはLoveとは少し違ってて、尊敬の気持ちが強いんですね。
リスペクトしちゃってるというか。
千草さんは尊敬する千速さんに情けないところを見せたくないっていうか、甘えちゃいけないって思っています。
長老達の陰湿なイジメは千速さんが知らないところで行われているわけで、千速さんはうすうすそれに気づいてるんだけど、千草さんが長老達の悪口を言ったり、あまり弱音を吐いたりしないので軽く流している感じです。
でも実は千草さんはガッツリ傷ついてますからね。
そこらへんがすれ違ってしまった所以ですかね。

もちろん体の関係もある二人なのですが、千速さんが愛情込めて頑張っているのに対し、千草さんはあくまで子作りの一貫というか、わりとドライな感じで受け入れてる感じです。


千草さんは、広足さんのことを最初は弟としてしか見てませんでしたが、3年の空白により男として見るようになりました。
逆に3年という空白がなければ広足さんは、いつまでも弟ポジションのままだった可能性が高いわけです。
広足さんは、もともと千草さんの心の拠り所というか素の自分を見せられる唯一の存在ですからね、恋仲になって広足さんに甘えることで、流産とか長老達からのイジメとかで弱った心を癒してもらえたんじゃないかと思います。
最後のシーンで広足さんは千草さんの抱き枕と化しております。
あの体勢は、妊婦さんにとって楽な姿勢(シムスの姿勢)と言われています。
愛妻に抱き付かれ、悶々とする若いパパ……頑張れ!


千速さんと広足さんは恋のライバルなわけですが、会って話してみたら“けっこういい奴じゃん”みたいな感じで仲良くなりました。
恋のライバルと仲良くなれるってことは、二人とも度量が大きい男ってことですね。素敵。


風間の里で千草さんがなかなか子宝に恵まれなかったのは、awayだったからだと思います。
慣れない土地での生活って結構なストレスで、生理不順とか無排卵月経とか女性の体に影響を与えるんじゃないかと思うんです。
homeである雪村の里に戻ってきたことで精神的に落ち着いた途端、あっという間に妊娠してしまったという(笑)


風間の屋敷は寝殿造にしてみました。
そして、お庭のモデルにしたのは日光山輪王寺にある逍遙園です。
とても素敵な庭園なんですよー。


ちー様は、千草さんに淡い恋心を抱いていたのかな?って思いながら書いていたのですが、うーん…多分、違いますね。
書き終えて振り返ってみると、ちー様が千草さんに求めていたのは母性だったんじゃないかな、と思います。

雪村家が滅亡した後も“千鶴”という名前は宝物のように、ちー様の記憶に残っていたのではないでしょうか。
それを踏まえた上で、池田屋で偶然会った少女の名前が“雪村千鶴”だと知った時のちー様の気持ちを考えると…。
うふふふふ。萌えるわぁ。


『帰り路をなくして』は、『鬼火の路』のラストから約20年後の世界です。
主人公は二十歳の千草さんから、同じく二十歳の千鶴ちゃんへ。
千草さんは頭領になって広足さんと生きる道を選びましたが、娘である千鶴ちゃんは、どんな道を選ぶのか。
今後は『鬼火の路』で張った伏線を回収しながらお話を進めていく予定なので、『鬼火の路』を読んでいただいた方には、おお!ってシーンが出てくると思います。


最後に…。
オマケの話を次のページに載せておりますので、よかったらご覧くださいませ。
『鬼火の路』のエピローグであり、『帰り路をなくして』のプロローグでもあるお話です。



✻しののめ(20160306)✻
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ