ソノタ

□美しい花には棘ばかり
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山奥に広大な敷地を構える忍術学園。数多くの優秀な忍者を輩出するそこは時に、問題児の巣窟とも言われた。
なにしろ全員揃って個性が豊か。両親も手を焼くことうけあいの自由さ。そんな子達だからか、学園の絆は強固で、訪れた人はみな学園全体が家族のようなあったかさを感じるといわれた。

まあただ、その中でも筋金入りの自分の世界で生きてる子たちはいるわけである。
四年生。人呼んでアイドル学年(観賞用)
観賞用と言われるだけあって顔立ちは其々が高い水準でまとまっていて、集まると華が咲いたような錯覚を受けるだろう。そこに内面が伴うかは別として。
そう、彼らこそが自分の世界で生きてる子たちである。
まずまとまりがない。委員会等では後輩に気を配る優しい先輩なのだが四年生だけであつまっても秒で解散してしまう。しかも参ったことに、そんなまとまりのなさでも何とかしてしまう才能と努力をしているから実習もギャースカ騒ぎながらクリアしてしまうのだ。一回大雨の日に四年が小平太の書いた地図で山に向かったと聞き、先生方の誰もが遂に年貢の納め時かと思った。しかし、そのまま普通に帰ってきて濡れたまま、何食わぬ顔で食堂に入ってきたときは先生方の誰もが腰を抜かした。
そんな学年が、今日は珍しくーー雨でも降るのか?という勢いで
まとまって、話し合っていた。
「信じられませんね…」
とは隠れて様子を見ている土井先生。
「ああ…」
とは隠れて様子を見ている山田先生。
内容は明後日の女装実習の事らしい。内容はとてもシンプル。その装いのまま一日町に行き声をかけられなにか奢ってもらい、一日ばれなければ成功だ。
今の四年生なら楽にクリア出来るだろう(身長があっても女性らしく振る舞えば顔立ちが良いので怪しまれないのだ)と思っていたが…どうやら何かが不満らしい。

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