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□君に溺れる
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波は簡単にのれるものだと思っていた。
それが小さめな波なら尚更だ。

日本代表に選ばれて、久しぶりの休みにサーフィンでもしようと海に来たのだが。

「わぁっ!綱海さんっ!海ですよ海!綺麗ですね!」

ついてきた立向居が海ではしゃいでいる姿を見たら、可愛すぎて波にのれる気がしなくなってきた。

「なぁ立向居。お前俺がサーフィンしてる間暇じゃないか?」

ニコニコしながら蟹をつついている立向居に訊ねると、立向居はきょとんとした顔をこちらに向けた。

「暇だって思うわけないじゃないですか。俺は綱海さんがサーフィンしてるのまた見たかったから勝手についてきたんです。綱海さんを見てたら時間なんてあっという間に過ぎますよ」

頬を少し赤らめながらにっこりと笑う立向居に、なんというか、ノックアウト寸前だ。
男のくせにこんなに可愛いのは反則だと思う。
しゃがんでる立向居の頭をわしゃわしゃと髪が乱れるくらい撫でると、早くなっている鼓動を落ち着けて海に入る。
火照った体に海の冷たさが染みた。
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