長編
□はじめまして、初恋。
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4月。暖かい陽気に照らされながら、私は、
「うわああん!遅刻ー!」
寝坊してしまい入学式だというのに遅刻していた。
後少しで学校に辿り着く。角を曲がりダッシュで駆け込む。
「えっ?」
急に目の前が暗くなる。
ぶつかるー!
ギュッと目を閉じ衝撃を迎える。
が、いつまで経っても衝撃はやって来ない。
代わりに優しく抱き締められていた。
「ごめん!大丈夫!?」
うわ、かっこいい…
背が高く、鮮やかな金髪が端整な顔立ちにとても合っている。
しばらくポーッと見とれていると
「あの、なんか付いてる?俺の顔。」
頬を染めながら、ポリポリと頬を掻いている。
そして抱き締められたままだったことを思い出し、急いで離れる。
「あ、あの、ありがとうございました、」
「ううん、俺も前見てなかったし、ゴメンね?」
「いや、あの、ホントにありがとうございました、じゃあ」
恥ずかしくなってそのままその場を離れた。
「あっ…」
名前聞きそびれた。まぁいっか、
なんとか間に合い新入生が集まる場所にコソコソと混ざり込む。
私はかなりの人見知りだから知り合いがいないかキョロキョロと辺りを見回す。
あっ
「ゆりんちゃん!」
中学の頃からの親友であるゆりんちゃんを発見した。彼女も気づいたようで、にっこりと微笑みながらこちらに向かってくる。あぁ、ゆりんちゃん可愛いんだからそんな顔しちゃダメだよ。周りの男子が頬を染めながらざわざわしているのが見える。
「おはよういぶちゃん、遅かったね、」
「おはよ、うん、寝坊しちゃって」
「それにしても、男子がさっきからいぶちゃん見て顔赤くしてるのが腹立つ、いぶちゃんは私のなのに!」
ふわふわしてるわりに、だいぶ辛辣な事を言うゆりんちゃん。
「な、何言ってるの!皆ゆりんちゃんを見てんだよ?」
「あぁ、もう、鈍感。」
何故か呆れた様子のゆりんちゃん。
そうだ、さっきの男の子のこと、後でゆりんちゃんに相談してみよう。
そう思った時、後ろから女子がざわざわするのが聞こえた。
何だろう?
ソコには四人の男の子がいた。
うわっ、皆かっこいい、あれ?あの人…
彼の姿を目にした瞬間心臓が高鳴るのが分かった。顔が熱い…それでも彼から目を離すことが出来ない。
「あっ」
彼がコチラを見て微笑む。すると、周りの女子がキャーと歓声をあげるのが聞こえる。
慌ててペコリと頭を下げる
同じ1年とは思えないくらい大人っぽい。
何だろう、この気持ち。
初めてだ、なんて名付ければ良いだろうか。
「おはよう」
その言葉が特別なモノに聞こえたんだ。
「お、おはよう!」
彼はにっこりと微笑んだ。
ということで一話目。いぶちゃんは無自覚天然ツンデレ美少女。ゆりんちゃんはおっとりふわふわ辛辣美少女だと萌える。