singer

□もしもし
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それは寒さで寝付けなかった夜の日――

ヴーヴー

着信が響く

(…誰だろ)

もそもそと布団から手を出しスマホを取る。

着信:けけさん

ドキッ

早く出ないと…

「も、もしもし!」
「あ、良かった起きてた。こんばんは、ゆりんくん。」

優しい声が耳に心地よい。

「どうしたの?けけさん。急に。」

ホントに珍しい。

「んー、 声が、聞きたくなっちゃって、。ゆりんくんの。」

「ふぇっ!な、なにそれ。」

不意打ちだ。顔が熱い。

「最近会えてなかったし。なんか、ゆりんくん不足。」

「…ぼ、僕も、けけさんがた、足りない、です。」

「ははっ、どうしたの?急に、そんな可愛いこと言っちゃって。」

「だって、ほんとですもん…」

「…今すぐ会いたい。」

「っ、けけさん…」
「と、ホントは言いたいところだけど、ゆりんくんが眠いもんね。」

別に、今すぐ会いに行きたいのは、此方だって一緒だよ。

「あーあ、まだ切りたくないな。」

「僕も、です。」

「何か今日のゆりんくん素直だね。」

「別に、」

「ゆりんくん、好きだよ。また明日、ね。」

プッ、プー プー

(ズルい…ホントに会いたくなっちゃうじゃんか)

でも、急に安心しちゃって、眠れそう。
けけさん、また明日。おやすみなさい。



確かに恋だった様より

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