singer
□ホントに好きですか?
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luzくんは基本僕に冷たい。他の人には、優しい…。何で僕と付き合ってくれたのだろうか。
付き合ってそろそろ5ヶ月が経とうとしている。その時に、キスはおろか、手を繋ぐ事もデートもしたことなんて一度もない。
(はぁ…ホントに付き合ってるのかな、僕だけ付き合ってるって思ってるだけじゃないかな。)
思考はどんどんネガティブになる。
今日は仲の良い歌い手さんたちとお食事。皆賑やかだなぁ。
そんな中に彼を見つけた。
ぱちっと交わる目。しかし彼はフイッと反らしてしまった。
(何だよ…分かんない)
そう落ち込んでいると急に後ろから抱き着かれた。
「kainくーん!ぎゅー!」
「う、うらたさん。もう、ビックリした。」
「へへー、kainくん可愛い!」
「ふえっ!?」
「ああ!うらたくんズルい、俺も俺も!」
ぎゅうぅ
「ちょっ、センラさん!は、恥ずかしい。」
てか何酔っ払ってんのさ。
(あーあ、luzくんがこんな風に抱き着いてくれたら良いのに。)
なんて、そんな想像をしていたらにやけていたようで
「kainくん何ニヤニヤしてんのー?」
「へっ、あ、別に」
「ああもう可愛い!」
「ねぇkainくんもういっそのこと付き合っちゃおう!」
「せ、センラさん、何いってんの…恥ずかしい。」
ビックリした。だってluzくんにすら言われないような事をぽんぽん言われるんだもん。luzくんのあの艶っぽい声で
「kainくん、可愛い。」
「る、luzくん、何言ってるの急に…」
「ホントだよ?可愛い、ねぇ、何でそんなに顔赤いの?」
「るすくん…」
なーんて。我ながら恥ずかしい。
「あれ?なんで顔赤いの?嬉しい?!」
「ち、違います!」
変なこと考えてたら顔が熱い。絶対に赤いだろう。
騒がしかった食事も終わり、お開きになった。
「あっ、luzくん!」
勇気を出して声を掛ける。
しかし彼は振り向かない。
「luzくん?」
近くまで行き再度声をかける。
ふと彼の顔を覗くと、何故かとても不機嫌な顔をしていた。
「る、luzくん?どうしたの?」
「ねぇ、」
「な、なに?」
「…あのさ、何で此方きてんの?うらたさん達のとこ行けば?」
「えっ、な、何で?」
「はぁっ」
びくっ 思わず身体が跳ねる。
「あ、あのluzくん?」
「ねぇkainくんはさぁ、何がしたいの?」
「な、何が…」
「さっきまでうらたさん達とイチャ
イチャしてたかと思えば、今みたいに僕の所に来たり。なに?誰でも良いんだ?まぁ、kainくんビッチだとはね。」
「ち、違うよ、僕は…」
「なに?イライラするからはやく言ってよ。」
「僕は、luzくんがす、好きだよ。」
「へぇ、kainくんは恋人以外にも愛想振り撒けるんだね。」
「ちがっ、」
「何が違うの?違わないでしょ。」
「luzくん、待って!好きだよ!」
「で?…なに?僕を怒らせたいの?その勇気だけは誉めてあげるよ。」
違うよ。でも、luzくんは聞いてくれなくて。
ホロリ
あれ?可笑しいな。前が滲んで見えない…
「…泣けば済むの?」
「ごめん、なさい」
「今更謝ったって遅いよ。まぁ許す気もないけど。」
「luzくん、すき、すき、だいすき、ね、じゃあluzくんはどうしたら僕のこと見てくれる?」
「kainくん?」
「luzくんはいつもそうじゃん、僕のこと見てくれない、僕だって、手繋ぎたいよ、デートしたいし、き、キスだってしたい、ヒック、」
「…」
「好きです、だから、ちゃんと見てよ」
やだな、涙が止まらない。
ふわっ
視界が暗くなる。
「…あんまり、他の人とベタベタしないで。」
「うん…」ぎゅうう
luzくんの指が優しく涙を拭う
そっと顎を掴まれ唇に温度が伝わる。
「んっ、ふあぁっ」
痺れるような感覚に溺れそうになる。
「あっ、やぁ」
啄むようなキスが次第に深いものに変わる。
くちゅくちゅと水音が響き、頭がおかしくなる。
離された時にはもうとろとろになってしまった。
「こんな風に言っちゃって、後悔しないでね?」
ボソッとluzくんが何かを呟く。
「な、なぁに?luzくん、はぁっ」
まだ息がととなわず呼吸が荒い。
「ううん、こっちの話。」
よく分からないけど、珍しくluzくんが僕と触れ合ってくれて、とても幸せな気分になった夜だった。
確かに恋だった様より