singer

□君に伝えたい事があるの
3ページ/3ページ

僕はそう言って教室を飛び出した。

なつしろ、どこ?

今なら素直に言えるから。

気持ちばかりが焦る。

はやく、はやく

全速力で階段をかけあがり、辿り着いた先は屋上。

扉の前に立ち、深呼吸をする。

がちゃり

思った通り、ソコには彼がいて、驚いた顔でコチラを見てくる。

「い、いぶ?」

あぁ、なつしろだ。
そう思っただけで涙が込み上げてくる。
「…な、つしろぉ、 はっ はぁ、す、き。」

つっかえつっかえのたどたどしい告白。

拒まれるかもしれない。気持ち悪いと罵られるかもしれない。

そう思うと余計に涙が止まらない。

じゃりっ

彼の近付いてくる足音がする。

俯いていた自分の足元に影ができたと同時に優しく抱き締められる。

ふわり、

あぁ、彼の匂いだ。
「な、なつしろ?」
「俺も、すき」

「…うそだ」

「嘘じゃないよ。俺の方がずっと好きだった。」

「どういう、こと?」

そう尋ねると彼はぽつりぽつりと話し出した。

「この高校の受験の時さ、おれ、消しゴム忘れちゃったの。どうしよう、やべーって焦ってたら、隣の子が貸してくれたの。その時さ、その子が笑った時の顔が超可愛くて。」

「その後、その子の名前を知って、入学式の時にその子に会ったの。うわ、あの子だ、って嬉しくて。」

思い出した。隣で焦ってる人がいて、消しゴムが無いって呟いてて、貸したんだった。

「同じ学校だ、同じクラスだって、めっちや嬉しくて。」

「でも、仲良くなれたって浮かれてたら、喧嘩しちゃって」
「落ち込んでたら、告白されたんだけど。」

「夢だと思った。」

「ねぇ、いぶ、俺と付き合ってください。」

ぎゅうぅってより一層強く抱き締められた。

「っ〜、はい!」

涙が止まらない。愛しい愛しいと心が悲鳴を上げる。

「…いぶ、」

「へっ、ふっ、ん」

目の前にあの向日葵みたいな髪の毛が見える。

(…なつしろの匂いだ)

嬉しくて、なつしろのキスに一生懸命になって応える。

「うあっ、あ、なつしろ、なつしろ、き、すき」

何度も、何度も。

初めてのキスは涙の味がした。



「うわぁ、どうしよ、夢じゃないよね…」

目の前でなつしろは顔を赤らめながらそんな事を言い出した。

ソレがなんだか可笑しくて、

「なつしろ、」

「え?」

精一杯の笑顔で、

「だぁいすき」

「っ、それは、ズルいよ…」

?意味が分からずきょとんとしてしまう

「…ううん、俺も大好きだよ、いぶ。」


あぁ、こんなに幸せで良いのだろうか。

でも、この幸せが永遠に続けば良いのに。

そう思いながらもう一度なつしろに抱きついた。


ということでなついぶ大好きなんですよ(笑)
告白話、いかがでしたか?楽しんで頂けたら幸いです
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ