少女A(JOJO2)

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「にしてもお前とスージーQがくっつくとは思わなかったぞ。いつの間にそんな関係になったんだ?」


「俺がニューヨークにいる時にこいつが看病に来てくれてそこで惚れたな。まあちょっとおっちょこちょいだが可愛い奴だぜ」


「もう、そのことはごめんってジョジョ〜 」



そういって謝りながらもスージーQがジョセフの胸にもたれかかりそれをジョセフが受け入れる姿を見て砂を吐きたい衝動に駆られる。新婚さんだけあって熱々のご様子だ。ちょっと離れていただけませんか?胸焼けが止まらないので。

葬式中に死んだことになっていたジョセフ本人がやってきてしかも嫁まで連れてきたことでその場は混乱を極めたがやがて皆落ち着きそれぞれの思いの丈を語った。

基本的に皆ジョセフが生きていたことに関する喜びと結婚したことへの祝いの言葉を述べたのだったのだがリサリサ先生はそれに加え自分がジョセフの実の母親であることを語ったためジョセフたちとシーザーの間に動揺が走った。そりゃ死んだと思っていた自分の母親が生きていてしかも自分の師範代だったと知ればそりゃびっくりするだろう。ナニィーー!?と絶叫するジョセフを見てリサリサ先生とエリナさんが微笑む。まあ色々思うことはあるだろうがせっかく母親と再会出来たのだからこれからゆっくり関係を築いていけばいいさ。個人的には親子と名乗りあうことができた本当によかったと思う。ジョセフがこのアマァー!と叫ぶ度に何度その人がお前のママンだぞと突っ込みたい衝動に駆られたかわからん。まあこれでジョスター家のごたごたについては一段落しました。よかったね。

それでその後仲のよかった若者組で集まり会えなかった1ヶ月間の話でもしようとお茶会を始めたのだが結論を言えばただのジョセフとスージーQのノロケ会場になりました。独り身にはつらい話題ですね。早く爆発しろ

私は適当な相づちを打ちつつ一人でお菓子を消化する作業に勤しむ。お茶会の場所はジョセフの屋敷の一室で行われているため出てきたお茶とお菓子は中々上等なものだ。これはうまいな。まあ、こんなおいしいもの食べれるなら二人のノロケ話くらい聞いてやってもいいわと思ってモグモグしてると不意にスージーQの視線がこちらに向いた。うん、なに?



「そういえばシーザーも入院していてそれをナマエが看護をしていたのよね?」


「うんまあそうだけど大したことはしてないよ。シーザーの病室行ってお見舞品を消化してただけだし」


「ああ、そうだスージーQ。恥ずかしい話だが俺は入院している時荒んでいて手のつけられない状態だったのだがナマエはそんな俺に根気よく付き合ってくれた。ナマエにはとても感謝している」



スージーQの質問に対して二人で答える。若干二人の言い回しには違いがあるが私がシーザーの病室にせっせと通ってたのは事実だ。やることなくて暇だったのと怪我の原因が自分だったことから罪悪感を感じたからシーザーのお見舞いには毎日行ってたが本当に大したことはしてない。医者でもない私が何かできるわけないだろ?ただお見舞い品整理してたりシーザーが暴れた後を片していたくらいだ。なんかシーザーの言い方だと私が聖女みたいに聞こえるけど断じてそんなことはしてない。私はお見舞いの果物を食べてただけです。

スージーQは私たち二人の言葉を聞くと私たちに交互に視線を向け楽しそうに口を開いた。



「それなら貴方たちふたりも付き合ったりしないの?私たちはそれが切欠で付き合い始めたのだからナマエとシーザーがそういう関係になってもおかしくないのじゃないかしら?」



そういうスージーQは明らかに恋話を楽しむ乙女の顔だった。スージーQよ、誰も彼もが君たちみたいに病室から恋愛が始まるわけではないのだよ。そんなんだったらナースには患者の数だけ恋人ができてしまうだろ?だいたいあの百戦錬磨のシーザーがそれくらいでコロッと私みたいな平凡顔に恋に落ちるわけがないだろう。私だって身の程くらいわきまえてるさ。というわけでスージーQが面白い冗談いってるね。笑ってやろうぜという意味を込めた視線をシーザーに送ったのだがシーザーは固まり目を見開いている。…え、あ、はい?あの、シーザーさん、それはどういうことですか?



「俺とナマエが付き合う?」


「シーザー、待つんだ。これはスージーQのただの冗談だ。奴らは自分らがハッピーで脳ミソが恋愛に汚染されてるからそれを他の人にも押し付けようとしてるのだ 。ここは笑うべきところです」


「あーん、ひどいわ、ナマエ。私本当にそう思っているのに」


「そうだぜナマエ。お前ら結構似合ってるぜ?」



そうジョセフがスージーQを援護するかのようにニヤニヤしながら言葉を紡ぐ。ちょっとお前は黙っておけよどうせ面白そうだから煽っとけくらいにしか思ってないんだから。それより重要なのはシーザーの反応だ。どう思ったのだろうかと思いながら恐る恐る顔を覗き込むとシーザーの顔は真っ赤だった。えええええーーーっ!!??



「そうかもしれない。俺はナマエのことが好きな気がする」


「落ち着けシーザー!スージーQとジョセフの策略にまんまと乗せられてるぞ!」


「ひっでえ言い様だな。俺らはただキューピッドになってやろうとしてるだけなのになー?」


「そうねー?」



そうニコニコと笑いながらスージーQとジョセフか互いの身を寄せ会う。バカップルは黙っててください。今シーザーが一時的狂気に陥っているんです。誰か精神分析使えませんか?正気にもどれシーザー!

そういいながらガクガクとシーザーの肩に手を置き揺さぶるがシーザーの目から熱は引かない。ちょっと冷えピタ買ってくるわ。



「ナマエは荒れ果てた俺を見捨てずずっと付き添ってくれた。これほどまで俺を想ってくれる女性は他にいないだろう」


「いやいや、シーザーそれ盲目になってるよ!自分が弱ってる時に優しくされたから好きかもって思ってるだけだよ!吊り橋効果と同じで雰囲気に惑わされてるだけだって!」



そういってペチペチシーザーの頭を叩く。いい加減夢から覚めてくれという思いで衝撃を与えてるのだかシーザーは中々快復してくれません。いいか、シーザー。怪我してるときとか精神的に追い詰められてる時にちょーっと優しくされると人はコロッ落ちちゃうんです。だからナースはもてるんだよね。入院している男性からは天使に見えるらしい。でもそれ恋じゃないから!一時的に感情だから!履き違えてはいけません!

そうやって一生懸命説得しようとするがシーザーは首を振りバッと私の手を掴むと私の目を見て話し始めた。え、なにこの展開。



「俺の気持ちは一介性のものではない!ナマエ!君はいつも俺を気にかけてくれた!修行中もそうだったが俺が単独行動をした時も追いかけてくれてワムウとの戦いでは俺の命を救ってくれた!俺はそのことを心の底から感謝している!」


「え、それただの義務感じゃね?恋愛じゃなくて命の恩人だからお礼しないといけない的なお話だよね?」


「違う!それもあるが俺は君に気にかけられるのが嬉しくて堪らなかったんだ!戦いの最中も終わって俺が自分の無力さにうちひしがれているときも君が側にいてくれたのが心の支えになっていたんだ!俺はこれからもナマエに側にいて欲しい!そして君からもらったものを少しずつ返していきたいんだ!」



そういってシーザーは真剣な表情でこちらを見てくる。どうしよう、これガチな奴だわ。どうしてこうなったし。

そりゃシーザーのことはめちゃめちゃ気にかけていたよ。たって君には死亡フラグが立ってたんだもん!そりゃ気になるわ!ワムウ戦で命を使い果たして赤いシャボン玉なんか遺して欲しくなかったんだもん!戦い終わってから付き添っていたのはそもそもの怪我の原因が私にあって申し訳なかったからだ。そしてシーザーは愛情だと思ったのか。あちゃー

正直シーザーのことは嫌いでない。こんな女の子の扱いになれたイケメン紳士を嫌いになるはずがない。だが急に好きといわれでどうすればいいのかもわからん。シーザーに対しては死亡フラグ的な意味ではずっと気になっていたのだがそれ以外では何か特別な感情は抱いていない。というかぶっちゃけ生きるか死ぬかでそれどころではなかったんです。

どうすればいいのかと私が悩んでいるとふとシーザーに握られていた手が緩んだ。なんだろうと思って顔をあげると先ほどの必死な表情はなりを潜め穏やかな顔のシーザーが目の前にいた。



「こんなこといきなり言われても困るよな。俺も急に思いを自覚して焦ってしまったようだ。すまない」


「いや、あの、うん。まあちょっと困ったかな。シーザーのことそういう目で見てなかったし。あ、でもそういってもらえるのはうれしかったよ。ありがと」



ゆっくりとした口調で謝罪を口にするシーザーにちょっと肯定しつつ礼をいう。まあびっくりしたが好意は純粋に嬉しいよ。嫌われるよりは好かれたい。よくも俺を攻撃してくれたなナマエ!なんて言われるよりは全然いいです。そんなことシーザーに言われたら社会的にも精神的にも死ねます。嫌われてなくてよかったわ。

私が内心安堵しているとシーザーがじっと見つめてくる。なに?そんなに見つめられても私の顔には目と鼻と口くらいしかついてませんよ?あなたみたいなイケメンフェイスはついてません。そう心の中で訴えたが当然シーザーには届かないので私に視線を置いたままシーザーがゆっくり口を開いた。



「そういってくれるということは俺のこと嫌いなわけではないよな?」


「え、シーザーを嫌ってる女の子なんてこの世にいないでしょ。私も好きだよ。ただ、えっと、兄とか同志とかの意味でだけど」


「俺もナマエのことは妹のように思っているのだと思っていた。だけど違うと今ははっきり言える。今すぐに君に答えを出してくれとは言わない。好きになってもらえるよう口説いていくから少しずつ答えを出して欲しい」



シーザーがそういうと共にピーと口笛がなった。ジョセフがニヤニヤと笑いスージーQがパチパチと手を叩きながら笑みを浮かべてる。どうやらまず外堀が埋められたもよう。なんだこれ。取り敢えず外野は黙っててくれ。私は今人生の岐路に立たされているのだ。

シーザーに手を握られながら顔をひきつらせる。どうしてこうなったんだろう。私はシーザーが生きててくれればそれでよかったのにどこでフラグが立ったんだろうね。わけがわからないよ。

その思いにどう返せばいいかはわからないがそれでも握られた手からシーザーの体温が伝わってくることにはギュッと胸が締め付けられる。シーザーが生きててくれたことが心の底から嬉しかった。あの悲しい世界を知っているからこそこの世界の素晴らしさを改めて知ることができる。シーザーに答えを返すことはまだできそうにない。だけれども私はこの世界で笑ってられる。

私はシーザーに向かって笑いかける。するとシーザーもちょっと驚いた後笑みを浮かべた。



「うん、ありがとうね」



答えが出るのはそう遠くない気がする。


ーendー

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