少女A(JOJO2)

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先程までリサリサ先生とカーズが戦っていた場所から下を見下ろす。まるでバイオハザードのような光景です。群がるゾンビどもがマジ怖い。やめてー、私にT-ウィルスの抗体なんてないんだよー。

リサリサ先生は善戦してたがワムウとの戦いで力を使い果たしたジョセフがヤバい。もはやジョセフの拳には波紋は流れていないようだ。それただの物理攻撃です。波紋の使えないジョセフなんてただの筋肉質なイケメンお坊っちゃまよ!ということで本当は嫌だが私も戦いに参戦する。本当に嫌だわ。私ちゃんとシーザーとリサリサ先生助けたんだからもういいじゃん。絶対に私は働き過ぎている。

地上で戦うジョセフを援護する形で空中から風弾を打ちまくり(地面に降りるのはゾンビが怖いから却下する)ゾンビたちを攻撃するが波紋と太陽以外に弱点のないゾンビたちには大して効いてない。風弾を受けても暫くするとよろよろと立ち上がってしまう。こいつらタフ過ぎるだろ。ゾンビの数を減らすことのできるのがリサリサ先生ただ一人のためジリジリとこちらが追い詰められている。主にジョセフがヤバイ。空飛べる私と波紋の使えるリサリサ先生はゾンビに捕まることはないがジョセフはどんどん囲まれていった。ちょ、死ぬな主人公!お前が死ぬとこれからの未来に色々と霹靂が出てきてマズイんだって。ジョセフ生きろー!

と思った瞬間だった。辺りがパッと明るくなりそれとともにゾンビたちの悲鳴が聞こえてきた。え、なにごと?朝には早くない?

手を止め明るくなった方を見ると逆光でよくわからなかったがドイツの科学力は世界一ィィィィーーー!!という声が聞こえてきた。あ、はい。状況がわかりました。禿げ予備軍のドイツ軍人様がやってきてくださったのですね。ありがとうございます。これは勝てる!

ドイツ軍が持ってきた紫外線噴射機は次々とゾンビたちを消滅させていった。奴らは普通の方法では葬ることはできないからこれは本当にありがたい。さて、あとはカーズをやっつけるだけだ。原作と違いリサリサ先生が無事で人質にもなってないという大きな改変をしたお陰で戦力は充分なはずだ。リサリサ先生、ジョセフ、やっちまえー!と叫んだところではたと気付く。カーズがいません。え、あいつどこいったの?と思った瞬間ジョセフの叫び声が聞こえた。見るとリサリサ先生の胸に剣が突き刺さっていた。…え?

カーズは剣を抜き取り倒れるリサリサ先生から赤石を奪い取った。カーズの身体はその辺りのモブゾンビから出ており奴がゾンビたちの体内に潜みリサリサ先生に奇襲をかけたのは一目瞭然だった。ジョセフの怒号が聞こえる。リサリサ先生はやられたのだ。



「てめぇカーズ!卑怯だぞ!!」


「何をいう!勝てばよかろうなのだァァァーー!!!」



そうカーズは赤石を握り締め悪どい笑みを浮かべた。はい、名言いただきましたね。ありがとうございます。じゃねえよ!なんてこった。リサリサ先生がやられ赤石がカーズの手に渡ってしまった。これって原作通りの展開じゃないか?マジで?やっぱりなるようになっちゃうものなの?というかカーズの手に赤石が渡ったのホントやばい。人類滅亡の危機です。

ジョセフはリサリサ先生の元に向かう。取り敢えずリサリサ先生は重症だが息はあるらしい。よかった。リサリサ先生が生きてたのは本当によかった。あとはカーズの方をなんとかせねばならない。すぐさま取り返そうとカーズのところへ向かった瞬間シュトロハイムが奴が赤石を手に入れたぞ!赤石を使われる前に灰にするのだァー!と叫んだ。気合い充分なのはいいことですが、シュトロハイムさん待ってちょっと待って。今はダメなんだって紫外線らめぇー!!

シュトロハイムが装置を集め最大級の紫外線を噴射する。だがシュトロハイムが装置を集めていた間に石仮面に赤石を嵌め込んでいたカーズはその光を石仮面で受けついに究極完全生命体になってしまった。ひぎゃあああああッ!!!

な、なんだとー!?カーズが究極完全生命体になってしまっただとぉー!??え、なんでこうなっちゃったの?リサリサ先生助けたときにこれで勝った!2部完!とか思ってたのになんでこんなことになるわけですか?どこで選択肢間違えたの?嘘だといってよバーニー。

カーズは究極完全生命体になった自分の身体をゆっくり確かめるように身体を動かした。そして木の上にリスがいるのを見ると自分の右手をぐねぐねと変形させリスに変え野生のリスの方に向かい放った。2匹のリスは楽しそうに戯れる。わー、なんてかわいいのでしょう。この後展開を知っている私は黙って視線を逸らした。カーズのリスがまともなわけがない。

すると案の定カーズのリスは野生のリスをあっさり食い殺しそして続けてドイツ軍人までもその爪と牙で殺した。ですよねー。やっぱりこういう展開になりますか。もうカーズのリスは可愛らし顔なんかしておらずキシャー!と吠え目を赤く光らせている。なんだただの吸血リスですか。もう人類はリスにも勝てないんですね。滅びの道しか見えないです。

カーズはリスを手元に戻すとその手を次々と色んな生物に変えた。うわっ、すごい。なんというビックリ人間ショーでしょう。カーズが1人いればそれだけで動物園を作ることができるね。まあそんなところ行きたくないけど。どっちが見世物になるかわかりませんから。


そうこうしているうちに日が登り辺りが太陽の光で照らされる。これでカーズが消滅すると皆期待に胸を膨らませたがもちろんそんなわけはありません。カーズは太陽の光を浴びてもピンピンしていました。はい、人類滅亡タイムの始まりです。うわあああああっ!!!

終わったオワタ!最強究極完全生命体のカーズに勝てるわけがない!もうみんな死ぬしかないじゃない!私もヤバい。全力で逃げたい。本気でおうちに帰りたい。そりゃ私は物理攻撃効かない風人間だけどカーズ様と違って別に無敵なわけではないもん。むしろ地球の約7割が弱点ですよ?滅びの未来しか見えませんね。もうジョセフ!この状況を救えるのは君しかいない!あとは頼んだぞ!

そんなわけでジョセフとカーズの逃走劇が始まる。もう波紋戦士なとどうでもよいがワムウとエシディシとのケジメとして貴様だけは殺すぞジョジョォー!と叫んでカーズはジョセフを追いかける。だがただでやられるジョセフではなく飛行機に乗ると飛んで逃げていった。私はここで見守っているよジョセフ。え、助けにいかないのかって?ガチでカーズが怖いので行きません。それにこれはデリケートな問題なんだよ!ここで下手に動いて原作変わったら本当に詰むから!世界滅ぶから!手を出したくないんだよ!!大丈夫だ、ジョセフ。君は主人公なんだからうまくやれると信じてるよ。がんばれー

そんなわけで数時間後、カーズを宇宙空間にぶっ飛ばしジョセフ・ジョースターが殉死したとの報がこの場に届いたのだった。
















「俺のせいだ、俺があの時戦場に行っていれば!!」



そういってシーザーはガンと側にあった机を殴り付ける。その衝撃で机の上に置かれていた花瓶が倒れたので私は零れた水を拭き花瓶を窓の縁に置いた。どうやら机は危険地帯らしい。危ないから物はどけておこう。

ジョセフがカーズを宇宙空間にぶっ飛ばし世界に平和が訪れてから私はシーザーの元にいた。シーザーは結構な重体で脳と内臓は無事たったが頭蓋骨にヒビが入り肋骨がハギバキになってたらしい。お、おう。どうみても私の風弾の威力ですね。本当にすみませんでした。というわけで私はシーザーの元で粛々と看護に勤しんでいる。罪悪感が半端ないです。

そしてシーザーはシーザーで後悔に苛まれ毎日病室で物に当たり声を荒げそして涙を流した。どうやら彼はジョセフが死んだのは自分が助けにいけなかったからだと思っているらしい。自分もあの後の戦闘に参加していたら何か変わったかもしれないと悔やんでいる。何か変わってシーザーの死亡フラグがもう一度立ったら困るので私としてはもうあの場でシーザーが脱落しといてくれてよかったと思ってるだけどそんなことを知らないシーザーの気は晴れない。困ったなー、どうしよう。というかジョセフ生きているんだよね。スージーQが連絡忘れただけで今頃どっかの病室で嫁とイチャイチャしている頃です。なんか私も机殴りなってきたわ。1人だけリア充してるんじゃねえよ。ジョセフのばーか!もうお前も宇宙へ飛んでいっちまえ!

このことをシーザーに教えてあげたいところだがスージーQが連絡してこないのに私がジョセフが生きているのを知ってるのはおかしいので口をつぐむ。まあちょっと可哀想だが1ヶ月経ったらシーザーもわかるんだし放っておこう。恨むならスージーQのどじッ子を把握してなかったジョセフを恨んで下さい。くれぐれも君をぶっ飛ばした私は恨まないでねお願いだから。そんなわけでお見舞いのフルーツをもくもくと消化していく。ちなみにりんごはない。シーザーはりんごを剥く音が嫌いらしい。お見舞いといえばりんごをうさぎ型に剥くことだと思ってた私はやることがないのである。














そして時が流れて1ヶ月、今日はジョセフの葬式の日だ。ああ、ついにこの日が来たか。考えるのはこの墓石がいくらなのかってことだね。お墓って意外と高いらしいからもったいないな。

神父様がないやら厳かな言葉を述べ皆暗い顔して俯いているので私も空気読んで暗い顔をする。早くジョセフこないかな。私湿っぽい空気嫌なんだよ。エリナさんがハンカチを目に当てそれを見たシーザーが悔しそうに自分の手を握り締め顔をそらしたので傘をさしてやる。そんなに自分を責めるなよ。君のせいではないよ。強いて言うなら私のせいだよ。あ、それも嫌だな。この思い空気が自分のせいだなんて思いたくない。えっと、あー、じゃあこれはジョセフのせいです。あいつがさっさと戻ってこないのが悪いのだ。風邪をひくからここから離れた方がいいというスピードワゴンさんにエリナさんがもう少し、と返した瞬間エリナさんの目が覆われえへへ、だーれた?と愉快な声が聞こえた。おお、この声は、キター!


「よー、やっとニューヨークについたのに誰も迎えにきてくれないだろ?で、聞いたらみんな墓地で葬式やってるっていうから探したぜ」


そういって笑顔で話し掛けてくるジョセフに皆唖然とする。そりゃ葬式の真っ最中に本人がひょっこり現れたら皆驚くよな。幽霊ですか?まだ盆は来てないので帰ってくるには早いですよ?というような心境なのだろう。あ、イタリアには盆はないか。

ジョセフも皆の反応がおかしいのに気付いたのか首を傾げながらどうしたんだ?というか誰かの墓参りか?誰の、といって墓石をみたところで固まる。そりゃ自分の名前が書かれた墓石が置いてあったらびっくりだろ。生きているうちに自分のお墓を作るのはファラオだけで充分です。ジョセフが叫び声をあげる。



「ぎゃひーー!??なんで俺の名前が墓石に刻んであるんだ!?ま、まさかこの葬式は、」


「ジョージョー、まだ傷は治ってないんだから雨にぬれちゃだめよ」



そういって叫ぶジョセフの元に現れたのは怪我がすっかり治ったスージーQだった。ちょっと見ない間に綺麗になって色気が出てる。これが人妻の魅力か。お美しいです。

そして目ざとくスージーQの左手の薬指にはめられた指輪を見てメッシーナ先生がスージーQ、その指輪は。と恐る恐る問う。まあもうジョセフの答えを聞かなくてもなんとなくわかるよね。スージーQの肩を抱いて嫁のことも知らないのか!?とジョセフが絶叫しそれにつられて皆も驚きの声をあげる。うん、誰も知りません。君のその嫁がどじッ子属性持ってたため連絡忘れたのだ。そしてスージーQを問い詰め自分の失敗を思いだし逃げるスージーQの後をジョセフが追う。その姿にスモーキーは喜びの涙を流しシーザーはジョジョォー!生きてたならそういえよスカタン!といってジョセフを追い掛けた。その姿を見て私は笑った。

ああ、この光景を見たかったんだ。この日のために修行して死亡フラグの乱立する戦場に飛び込んで戦ってきたのだ。私の努力が報われてよかった。色々あったけど私この世界にこれてよかったよ。みんなが生きていて笑いあえる未来があって本当によかった。

私は持っていた傘を投げ出しじゃれる3人の後を追うのだった。



〜少女Aの異世界旅行記〜


(ゴラァーー!待てーー!!)


(いやーん。怒らないでジョジョ)


(レディを威嚇するんじゃないスカタン!くそっ、心配かけるんじゃねえよ!!)


(あははは、滅べリア充!)


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