少女A(JOJO2)

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いよいよジョセフとワムウとの戦いが始まるってときにとんでもないことを思い出してしまった。いや思い出せないよりは思い出せた方がよかったと思うんだけどヤバい。非常にヤバい。

なぜなら原作と違いシーザーが生きていることにより赤いシャボン玉がジョセフに渡っていないのだ。別に解毒剤がなければジョセフが今すぐ死ぬということではないが解毒剤の入っているリングとシーザーのバンダナをジョセフが持ってないことがかなりの問題だ。そんなもの何の役に立つのだよと思うかもしれないがめっちゃ必要です。ないと命の危機に瀕します。死亡フラグが樹立します。ぐはあっ!どうしよう!

リングは確かハンマーを手にするのに必要でバンダナはワムウにトドメを刺すのに必要だ。どちらもないと非常にヤバい。というわけで自分の持ち物をガソゴソ漁る。何か代わりになるものを探しているのだ。取り敢えずハンカチが出てきたのでこれをバンダナ代わりにしよう。柄は残念なことに花柄だがあんな三角か連なった柄のハンカチなんて出てくるわけがないので諦めていただこう。使うべき用途としてはなんの問題もない。うんよし。バンダナはこれでいいや。

それでリングの方だがまあ一応あるにはあった。修行時代皆で町へ遊びに行ったとき露店で売っていた可愛らしい指輪、の隣に売ってた異世界への行き方という本をガン見してたら勘違いしたシーザーが指輪を買ってくれたのだ。いや、見てたのはそのとなりの本ですと思ったのだがキラキラした笑顔でさあシニョリーナ、お手をどうぞと言われたら断れませんでした。怪しげな本見てたとも思われたくなかったし。どうでもいいがその本は後でこっそり調べに行けばただの旅行の仕方について書かれているだけでした。異世界って異なる国って意味です。そりゃそう簡単に元の世界に戻れるわけないよね。はは、泣いた。

そんなわけで指輪も手元にあるわけだがどうしようか。いやだってこの指輪明らかに女物なんだぞ?ハートの飾りがついててキラキラしているしこんなものをジョセフみたいな大男が着けたら違和感では済みません。ガチでつけてたらえ、ちょ、そういう趣味なの?と引いてしまう自信があります。だけれどもリングがないとジョセフに死亡フラグが立ってしまう。仕方ない、命には代えれないし指輪は小さいから端から見ればわからないだろう。遠くから見ればきっと気になりません。いいやこれで。よし!早速ジョセフに押し付けにいこう!



「ジョセフちょっと待て!ワムウ戦はこれをつけていけ!」


「ん?なんだナマエ?げっ、それ女物じゃん。やだよそんなもん身に付けるの」



ジョセフは私の手の中にあるハンカチと指輪を見るとあからさまに嫌そうな顔をした。テキーラ持って女装した身長195cmの男のセリフではないですね。バカ野郎!私だってお前に自分の持ち物渡すのは嫌だよ!しかもハンカチに至っては返ってこないのが確定してるだぜ?そのハンカチ気に入っているのにちくしょう。出世払いでいいから後で買って返せよ未来の不動産王。

嫌ではあるが受け取ってもらわないとジョセフは最悪死んでしまう。というわけでここは多少強引でもジョセフに身に付けさせねばならない。私の舌よ回るのだ!



「いやいやジョセフ!そういうなよ!このハンカチは私の最もお気に入りのハンカチなんだ。このハンカチには私の思いが込められている。だからこれから戦いに赴く君に持っててほしいんだよ」


「そういうことならハンカチはもらっとくぜ。だけど指輪は?」


「えっと、指輪は、その、そう!これはシーザーにもらった指輪なんだ!だからこの指輪にはシーザーの思いが込められている!そうに決まってる!この指輪にはシーザーの意思が宿っているんだ!」


「シーザーの?」



自分で言いながらわけがわからなくなってきた。シーザーの意思ってなんだよ。そんなもん絶対に込められてねえよ。だけれどもジョセフはシーザーという言葉に反応したぞ!よし!この隙に叩き込め!



「そうだよジョセフ!ここまでこれなかったシーザーの無念を思い出せ!あいつだってお前と一緒に戦いたかったに決まってる!ジョセフ、シーザーも連れてってくれよ。3人で戦おう!」


「ナマエ。‥そうだな、これは俺達の戦いだ!ああ、ナマエ、シーザー。俺の戦いを見守ってくれ!!」




そういうとジョセフはガッと私の手を握りしめハンカチと指輪を受け取った。やったぞー!私はミッションをクリアしたぞ!

ジョセフに指輪をつけさせついでに気合いが入るだろうと言いくるめ頭にハンカチを巻かせる。そんなわけで花柄のハンカチを頭に締め小指にハートの装飾品のついた指輪をはめたジョセフが出来上がりました。どうしよう、目を背けたいです。

確かに指輪は大して気にならないけど花柄のハンカチの場違い感が半端ないです。どこのお花畑に向かう人ですか?と問いたくなります。

そんなおかしな格好のジョセフを吸血鬼達が囃し立てるけどジョセフは気にすることなくへへーん。これはシーザーとナマエが俺の側にいる証なんだぜ?羨ましいだろ!と得意顔である。お前騙した私が言うのもなんだけどなんでそんな信じきってるの?いや信じてくれたのは嬉しいよ?言うこと聞かなかったら縛り付けてでも持たせようと思ってたから手間が省けてありがたいがお前ジョジョ界一のペテン師の称号はどうしたんだよ。あれですか?私のいうことだから信じてくれたんですか?仲間だから信用に足りると思ってくれたんですか?どうしよう、罪悪感で胸が痛い。ファンシーなハンカチ巻かせてさらに視覚の暴力とか思っててごめんなさい。本当にすまん。ジョセフがいい奴過ぎて生きるのが辛いです。

そんなわけでいよいよジョセフとワムウの対決が始まる。スタートの合図は雲に隠れている月が現れた瞬間だとカーズが宣言する。なんでそんなわかりにくい合図なんだと思ったが公平なのでそれでよしとする。いくらカーズでも雲の動きまでは操れないだろう。いい判断です。

そんなわけで皆で空を見上げるがジョセフはしゃがみこみせっせと自分の戦車の前にある石を退かしていた。こういう小細工にかけては本当にこいつ一流です。雲の端に月がかかり、リサリサ先生の急かす声を聞くとともにジョセフが戦車に飛び乗った。そして月が完全に姿を現しスタートの合図とともに走り出したジョセフとは対照的にワムウは戦車を走らせることが出来なかった。ジョセフが予めワムウの戦車の車輪に小石を仕込み動けないようにしていたのだ。高笑いするジョセフに吸血鬼から野次が飛ぶ。まあ確かにズルいよね。だが勝てばいいのだろ?ふふふ、所詮勝者が正義なのだ。個人的にはジョセフを全面的に支持します。だって負けたら死ぬんだもん。卑怯だろうが狡猾だろうがやったもん勝ちである。いいぞー!ジョセフ!もっとやれー!

最初にスタートできたアドバンテージでジョセフはトラックを一周するごとに得られる最初の武器を手にいれた。まあ案の定落としそうになってたけど指輪に引フックが引っ掛かりなんとかジョセフの手元に残ることができた。ほらね?指輪持ってて良かっただろジョセフ。私って役に立つだろ?もっと私のこと敬ってくれてもいいのだよー。

ハンマーを手に入れて上機嫌なジョセフ。だがワムウの方がこの件に関しては1枚上手だった。ワムウは柱をへし折るとそれを抱え込み武器にする。ワムウにハンマーをブチ込もうと構えていたジョセフはそれを見て発想のスケールで負けた、と絶望的な表情をする。いや、発想あったとしてもできませんから。柱の男の人外レベルの筋力があって初めてできる芸当ですから。どうせできないんだから考えても意味はありません。はい、切り替えていこう!

ワムウはジョセフに向かい柱を投げる。距離を詰めていたジョセフはその攻撃を避けることができず戦車から飛び降りた。地面に転がるジョセフに向かいワムウの吸血馬が駆けていく。逃げることはできない。左右に避ければワムウは馬を止め神砂嵐を撃ってくるからだ。

ジョセフは落ちてたハンマーを掴むとワムウの戦車に向かい駆けていった。そして馬と馬を繋ぐ仕切りにハンマーを勢いよく当てその反動で馬に飛び乗った。取り敢えずワムウの戦車に引き殺される驚異からは逃れられた。

だがワムウの攻撃はこれからだった。吸血馬に飛び乗ったジョセフが戦車の中にワムウがいないことを疑問に思った瞬間吸血馬の中から腕が伸びてきた。ワムウの手だ。柱の男であるワムウの能力の1つに他の生命の身体の中に潜ることができる。それを使ったのだ。

そしてワムウの腕は捕らえようとジョセフの足首を掴んだがジョセフはブーツを脱ぎ難をれる。うおっ、危ない。捕まれてたら確実に足首潰されていたもんね。ジョセフの足の装備がブーツでよかったよ。奴は本当に神に愛されている。

ジョセフはハンマーに改めて波紋を流すとワムウのいる吸血馬に向かってそれを降り下ろした。ワムウと吸血馬を一網打尽にしてしまうつもりらしい。だがそれよりワムウが上体を吸血馬から出す方が早かった。両手の空いたワムウがジョセフと対峙する。勿論放たれる技はワムウの必殺技、神砂嵐だ。



「し、しまった!」


「闘技!神砂嵐ッ!」



ワムウの両腕から放たれる小型の竜巻はジョセフを直撃し宙にぶっ飛ばした。ジョセフの身体が戦車に叩きつけられる。うわっ、ナイスコントロール。たまたま飛ばされた先に動いている馬車がいる確率ってどれくらいなのだろう。まあそれはいいや。端から見ればジョセフはワムウの攻撃をまともに受け敗北したように見える。観戦者のカーズもそう思ったようだ。ソンビ達にワインを持ってこさせ優雅にワイングラスを傾けると口を開いた。



「中々面白い戦いだったがやはり勝ったのはワムウだったな。次は私と君との戦いだが女と戦うのは好まん。だが波紋戦士を生かしておくわけにはいかない。それで自害しろ。苦しまずに死ねる薬だ」



そういうとともにカーズは白い容器をこちらに投げて寄越す。それはコロコロとリサリサ先生の足元に転がった。女と戦うのが嫌だから自害しろとか言ってるけど恐らくその方が手間がかからないからそう言ってるだけだよね。できるだけ楽に赤石手にいれたいからそう言ってるだけだよね。ここまでは頭脳派クール系イケメンのポジに収まってるけど本質は外道のカーズならそれくらい思ってるだろう。なんとも最後のラスボスに相応しい奴だ。悪役の鏡です。そんな敵の親玉はきっちりジョセフが倒してくれるので取り敢えず放置。それより気になるのが投げられた毒薬が2つあるということだ。え、これ私の分?私も抹殺の対象なのですかそんな馬鹿な。いや、私波紋戦士ではないんですよ?ただの巻き込まれた哀れな一般人ですよ?でもこれどうみてもカーズに私もロックオンされてるよね?あわわわっ!どうしよう!これカーズ側が勝ったら私も生き残れないってことじゃないですか!いやまあカーズが勝ったら人類は滅びるしかなくなるんだけどそれでも種として狙われてるのと個として狙われてるのでは死亡フラグの重みが違う。もうここまでくればどうしようもないのでジョセフに勝っていただくしかないだろう。頑張れジョセフ!

リサリサ先生は白い容器を当然拒否した。そしてまだ決着はついてないと闘技場を指し示した。そこには両腕に波紋を受け目を虚ろに曇らせるワムウの姿とまたまたやらせていただきました!と笑みを浮かべるジョセフの姿があった。ワムウが神砂嵐を撃つ瞬間手綱をワムウの腕に絡ませそこに波紋を流したのだ。この攻防はジョセフが制した。

いいぞー!ジョセフよくやった!と叫びながらまだまだ戦いは困難を極めることになるのを思いだし私は表情をひきつらせる。最終的にジョセフが勝つとは思うがいくらか原作は変わってきている。先のわからない未来に脅えながら私はジョセフの主人公補正がきちんと発動することを祈るのだった。


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