少女A(JOJO2)
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今いるバルコニーの真っ正面に古くそして全ての窓を封鎖した廃ホテルが見えた。あの建物が赤石の送り先、カーズとワムウの潜伏場所だ。そう、決戦の地だ。
まだ日があるというのに遠目で見てもその建物は不気味でお化けでも出てきそうな雰囲気を醸し出している。まあ中にいるのはお化けよりももっと厄介な古代生物と吸血鬼なんだけどね。
さてそれで敵の根城を見つけたわけだが今すぐ攻め入ろうというシーザーにジョジョは夜まで待つべきだといった。
奴らは1万年以上生きてきたわけだし太陽に対して何らかの対抗策を持ってるはずた。それを知らず中に飛び入るのは危険だ。カーズが来るのを待ち迎撃したほうがいいとジョセフはいう。なるほど一理あるかもしれない。カーズたちが太陽に対して何らかの手立てを持ってる可能性は高いしホテルという敵地に入るのもかなり危険だ。カーズが出てくるのを待って自分達にとって有利な場所を築きそこで戦うのもありかもしれん。
でも私的には太陽あるうちに戦った方がいいと思うんだよな。どんな対策されたところでカーズたちが太陽が苦手であるのは事実だ。ならやはり陽のあるうちに行くのがいいと思う。内部を知らないホテルに入るのは怖いというのなら建物を破壊しながら中に入るのはどうでしょう?ドイツ軍に爆弾とかもらってさ。
私の提案はまあ置いとくとしてその弱気な発言に憤慨するシーザーにジョセフが祖父の因縁を持ち込むのはどうかしてるぜ!と食って掛かった。う、うわああああ!!ジョセフ!!何てこというんだ!そりゃ祖父の因縁なんて気にしない方が合理的な生き方といえるだろうがお前の祖父はジョナサンだぞ!あの初代ジョジョにして歴代主人公の中でも最強だとと囁かれるジョナサン・ジョースターだぞ!関係ないとかいうなよ!ディオを倒すために様々な苦境を乗り越えそして若くして海に沈んだジョナサンの人生をその子孫がどうでもいいとかいうとなんかすごく辛くなるだろ!あとシーザーの祖父のツェペリ男爵も本当に素晴らしい人だったんだよ。二人の信頼を蔑ろにするんじゃない!
ジョセフの発言を聞いてシーザーは激昂する。そしてジョセフに殴りかかった。今の状況的に仲間割れなんかすべきではないがいいぞー、もっとやれ!っと思ってしまうのは仕方ないことだろう。ジョセフはちょっと殴られとけ。
戦いの前に仲間割れなどしてる場合ではないと先生方が止めに入ると未だに怒りの収まらないシーザーがこんな腰抜けに構ってられん!俺1人でも行く!とバルコニーを飛び越えスタスタとホテルに向かって歩き出した。え、ちょっと待って。私も太陽のあるうちに戦う方がいいとか思ってたけどやっぱりちょっと待って。この展開ってちょうど帰ってきたワムウとバトルが始まるあの状況だよね?シーザーの死亡フラグが樹立されるあの戦いだよね?うばばばばば。いや確かにそろそろ原作の流れ的に戦闘始まるだろうと思ってたけど心の準備がまだできてないんです。え、今から原作シーザーが死んじゃうくらいとんでもない戦いが始まるんだよね?そんなの一生心構えなんてできないわ。取り敢えずシーザーは待ってください。君を1人で行かせるわけにはいかないんですよ!
「困りましたね」
「どうしますか?」
「取り敢えずメッシーナ、彼を追い建物に入ろうとしたら力づくで止めなさい」
「先生私も行っていいですか?」
「ナマエがですか?勿論構いません」
メッシーナ先生を派遣しようというリサリサ先生に許可をもらい先行組には加えてもらえた。でも嬉しくないわ。今からワムウ戦始まると思うと心臓が爆発しそうだ。取り敢えず生き残ろう。別に勝てなくていいこら生き残ろう。ワムウ自体はジョセフが何とかしてくれるから命さえ無事ならそれでいいのだ。私のミッションはシーザーを死なせないことなんだ。まあそれが難しいから原作では赤いシャボン玉が出来たんだけどね!うわああああっ!ちくしょう!絶対に死なせないからなシーザァァァーーー!!
そんなわけでメッシーナ先生と共にシーザーを追いかける。シーザーにはホテル前で追い付いた。もしもしそこの人、中に入ってはいけませんよ?中には筋肉ムキムキの乳首ピアス人がいらっしゃるので。
「まったく、シーザーとジョセフには困ったものだな」
「そうですねー」
メッシーナ先生の言葉に同意する。とはいえジョセフはジョナサンの因縁について知らないらしいからしょうがない。ここは事実を伝え生きたシーザーを連れ帰って謝らせる他にないだろう。そのためにも今から頑張らなければならないのだが、うわっ、建物近づいてきた。やっぱりワムウと戦うのは怖いです。
「シーザー、何をしている。1人で中に入るなんて思慮を欠いた行為だ。戻りリサリサ殿と合流しよう」
「違う!俺は中に入らないのではない、入れないんだ!そこに何かいるぞ!」
「何!?」
そういってシーザーが示す方向を見るが何もいない。確かワムウが風を使い水蒸気を纏わせるとかなんとかして潜んでいるはずなんだがどうしよう、全く見えません。え、これヤバくない?敵の姿見えないとかどう考えても不味いです。だってどこから攻撃してくるのかわからないのだから。どうしよう、ピンチです。
そうこうしてる間に正面に1つの足跡が現れた。1つ?と思って首を傾げているとシーザーが跳躍したんだ!上から攻撃してくるぞ!と叫んだ。え、上と思って空を見上げた瞬間隣からザシュッと嫌な音が聞こえてきた。慌てて横を向くと左腕を切り落とされ倒れているメッシーナ先生と何らかの攻撃を受けたのか右腕を押さえるシーザーの姿があった。
メッシーナ先生はそのまま引きずられるようにホテルに連れていかれた。私はそれらの光景を呆然と見てた。
え、あ、え?これどういうこと?いや状況はわかるんだけどどうしてこうなったんだよ。目の前で行われたはずなのに目で追えませんでした。ワムウ速い。知っていたけど強敵だ。隣を見るとシーザーも驚いている。そしてホテルへの扉が開き透明になったワムウが現れた。
「ジョジョとやらはいないのか?あいつの姿は見えんようだが」
「やってやる!ワムウ!貴様の相手はこの俺だ!」
「貴様は確かシャボンを使うシーザーという男だったな。その構えから察するに相当な修行を積んだのだろう。いいだろう。このワムウに殺される資格あり!」
そういうとワムウはカッと目を見開き風を吹きすさませた。腕を前にやり風を防ぎながらシーザーは口元を吊り上げ獰猛な笑みを浮かべる。それはいつものスケコマシーザーの顔ではなかった。例えていうなら牙の生えた口を開けてニタリと笑う獅子のようだった。
「俺の精神テンションは今!貧民街時代に戻ってる!父が貴様らのワナにかけられ殺されたあの当時にだッ!冷酷!残忍!その俺が貴様らを倒すぜ!」
そういって鋭い眼光でワムウを睨み付けるシーザーを見ながら私は3歩ほど後ろに下がる。いやだって貧民街時代のシーザーって殺人以外の犯罪はやってしまってるあのシーザーだろ?普通に怖いです。さすがにベンチ持ち出してくるとかはないと思うが本能的に引いてしまう。あと単純にシーザーがこれから使う技の邪魔になると思ったから退いた。
シーザーが両手に仕込んでいた石鹸水を泡立てる。あの技を使うらしい。
「シャボン玉だから風で吹き飛ばせるかと思ったかワムウ!風で吹き飛ばせないシャボン玉もあるんだぜ!くらえシャボンカッター!!」
「なにッ!?」
ワムウからの風圧に逆らうようにシーザーの手から楕円形のシャボン玉が飛んでいく。シーザーの祖父が使った波紋カッターをシャボン玉で応用したのだ。ツェペリさんは確かワインでカッター作ってましたね。おしゃれな一族です。
シャボンカッターは不意をついたワムウの両足を切り裂いた。バランスを態勢を崩し不利を悟ったワムウがホテルに逃れようとするのをシーザーが追撃する。だがシーザーが蹴りを食らわそうとした瞬間ワムウが飛び上がり逆にシーザーに向かい反撃した。その衝動で逃げていく。
ワムウは壁に穴をあけホテル内に逃げ延びた。取り逃がしたことを悔しそうに見ているシーザーを傍目に見ながらなんでわざわざ壁に穴あけたんだ?と疑問を抱く。ドア開いてたからそこから入ればいいのにワムウは壁に穴をあけて中に入っていった。理由が全く分かりません。あとワムウが建物に入った瞬間自動的にドアが閉まったんだけどどういう仕組みですか?自動ドアなの?1万年以上昔の古代生物のくせにハイテクだ。
ワムウが逃げ込んだ穴を見てすぐさまシーザーが後を追おうとする。いやいや待って。もうすぐジョセフたちがくるだろうしそれから戦おう。相手は戦闘の天才なんだから出来る限り安全な選択をしていこう。
というがシーザーはメッシーナが心配だしワムウに手傷を負わせた今こそチャンスだ。この機会を逃すわけにはいかないとバッと敵地に飛び込んだ。ぶっちゃけメッシーナ先生よりもシーザーの方が大切だかろ回れ右して撤退して欲しいのだがもうすでにシーザーは駆け出している。なんてことだ。
ここで放置したら確実に原作と同じ展開がくる。仕方なしにシーザーを追いかける。
今から死闘が始まるのだと思ったら胃がキリキリ痛んだ。
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