少女A(JOJO3)

□36
1ページ/1ページ



風の鎧のガードのおかげで腹パンは防げたけど貯水タンクに激突して典明は気絶してしまいました。命は助かったけど無事ではなかったね!すまん、これが私の精一杯だったんです。

というわけで当初の目的通り花京院典明の死亡フラグを折ることには成功したのだが全てがうまくいったわけではなかった。典明が気絶したおかげでジョースターさんにDIOの能力を伝える人がいなくなったのだ。

これはまずい。非常にマズイ。ジョースターさんがDIOの能力を伝えなければ承太郎もそれを知ることができなくなる。そうなれば原作通りことが進まなくなるかもしれないのだ。

せっかく典明の命が助かっても承太郎がDIOに負ければなんの意味もない。というわけで誰かがジョースターさんにDIOの能力を伝えなければならないのだが、

…私しかいませんよね。現状でDIOの能力知っているの私しかいないよ。もう誰にも悟られず戦闘が終わるまでこっそり隠れていたかったけど承太郎の勝利には変えられません。仕方ないと肩を落としながら周りの空気を集める。つまり時計を壊せばいいってことだろ?


『風弾!』


「なんじゃ!?ひとりでに時計が壊れただと!?」


「ッ、どういうことだ…?」


風弾により壊れた時計にふたりは驚いていたようだがやがてジョースターさんがハッと目を見開き、『そうかDIOの能力は時を止めるものだったのか!」と叫んだ。よかった、正解ですよジョースターさん!これで原作通りの展開になるね!

ジョースターさんとDIOが走り去り視界から消えていくのを典明の側で遠目に見る。ここからの展開に誰かの死亡はないからもう私の出番はない。私が何もしなくても承太郎がDIOを倒してハッピーエンドになるだろう。

しかし、もし承太郎が負けてしまったら?ポルナレフが殺されてしまったら?ジョースターさんが助からなかったら?そう思うとすごく不安になる。

ここにいても焦れったい気持ちを燻らせているだけだから承太郎を探そうと思うのだが、1つ気になることがある。うん、さっきから思ってたんだけど私の身体さらに薄くなってませんか?なんか輪郭がはっきりしないし体内の風の残量をほとんど感じないし、これやばい状況なんじゃない?典明に風の鎧纏わせてただでさえ少なかった風がほとんどなくなったようだ。風がなくなったら私ってどうなるんだ?…うん、これから先はあまり能力使わないようにしよう。

風になり空を飛びながらジョースターさんとDIOが向かった方向を目指す。風が肌を撫でる感触すらないことにやっぱりこれ私の存在きえかかってるんじゃない?やべえとビビっていると空中で戦闘している承太郎とDIOの姿を見つけた。ふたりは殴り合っていると思ったら次の瞬間には別の場所にいたりと忙しない。全く展開が読めないのはDIOが時を止めているからだろう。やっぱりあの能力チートだよ。

DIOが両腕を広げて『ザ・ワールド!』と叫んだ瞬間DIOが承太郎に殴り飛ばされショーウィンドウの中に突っ込んでいった。展開早すぎてマジでよくわからん。たぶん承太郎が磁石で小細工して時の止まった世界に乱入できるのにできないふりしていたんじゃないかなと思うんだけど、実際にそうなのかはわからない。映像をコマ送りで見ているような感覚だ。

承太郎もDIOの後を追い地面に降りるとその辺りに落ちていた雑誌を服の中や帽子の中に詰めていく。あ、やっぱり時止めの世界に入れることがバレたあたりかと思ったところでDIOが女の人の首に手を突き立てながら歩いてくる。ひぃぃぃ、グロイ!そういえばこいつ吸血鬼だったわ。最低最悪のゲロ臭い悪役なことは覚えていたけどその設定が頭から抜けてました。早く太陽出てこないかな。

DIOは笑いながら『お前が時の止まった世界の中でどれほど動けても関係ない処刑方法を思いついたァ!』といって懐からナイフを取り出した。それを見て承太郎が青ざめる。DIOが時を止めた世界で承太郎にナイフの雨を降らせようとしているのが一目瞭然だ。

空中に逃げる承太郎をDIOが追いかける。何もしなくとも承太郎が助かるのはわかっているがここにいて本当に何もしないのはなんか罪悪感があるので 承太郎に風の鎧を纏わせる。私の風ではなくその辺りの空気を纏わせたので強度はあまりないがそれでも何もないよりはマシだろう。原作でどこにナイフが刺さってたっけ?足かな?じゃあそのあたりを重点的に保護しよう。

そして次の瞬間にはナイフまみれの承太郎がすっ飛んでいった。ダメ押しとばかりにDIOの投げたナイフが頭に刺さり側から見るとトドメを刺されたようにみえる。え、これ大丈夫だよね?承太郎が死んだふりしているだけで助かるよね?原作知っているけどいざハリネズミのような承太郎を目の当たりにすると不安になる。あ、足にはナイフ刺さってないぞ?風の鎧ちゃんと仕事してますね。これなら普通に上半身守っとけばよかった。

死んだふり(たぶん)をしている承太郎の様子をDIOが遠くから伺う。『ジョースター家の奴らは狡猾だから死んだふりをしてこのDIOを騙そうとしているかもしれない』ということらしい。いやまあ確かに実際はその通りなのだけど、DIOがよく知っているジョースターってジョナサンだけだよね?それなのに何故ジョースター家の人間が狡猾だとか思っちゃうんですか?紳士ジョナサンだぞ!?単純にお前の性根がねじ曲がっているからそう思うんじゃないですかね?

DIOが承太郎の生死を確かめようとした瞬間ポルナレフが飛び出しDIOの頭を突き刺した。

しかし次の瞬間にはDIOの頭からチャリオッツの剣は抜き取られておりポルナレフは吹っ飛ばされ壁に打ち付けられている。もう時止められると次の展開に移るのが早すぎて状況についていけないです。これ、原作知識あるから何が起こっているのか想像つくけど時の止まった世界に入らないポルナレフはマジでわけわかめなんだろうな。ドンマイです。

ポルナレフにトドメを刺そうとDIOが近づく。助かるとはわかっていてもただ見ているのはハラハラするのでこっそりポルナレフに風の鎧を纏わせると承太郎の方からガリッと何かを引っ掻く音がした。DIOが勢いよく承太郎の方を振り向く。

DIOの注意が承太郎の方に向いたのを確認してからこっそりポルナレフの安否を確かめる。ポルナレフはぐったりとしていたが呼吸をしているし心臓も動いている。よしよし、ちゃんと生きているね。じゃあもういいや。生きているならポルナレフはちょっと放置します。大事なのは承太郎の勝敗です。

DIOは承太郎の生死を確かめるためにそのあたりにいた警官に銃を撃たせたり呼吸音を聞いたり心臓の鼓動を調べたりと色々やっていたがついに承太郎に完全に騙されたらしく標識をへし折って承太郎に振り下ろそうとした。よっしゃー!チャンス到来、やっちゃえ承太郎ー!

スタプラ使って止めていた心臓を再び動かしDIOの振り下ろした標識を止める。そして殴り掛かったと思ったら頭から血を流しているDIOがいた。またきっと時が止まったのですね。本当にコマ送りのように展開が動くからようわからん。

DIOは『頭痛がする。は…吐き気もだ…くっ…ぐう
な…なんてことだ…』と唸っている。頭痛と吐き気でそこまでの敗北感を感じるとは吸血鬼って逆に軟弱じゃね?箪笥の角に小指ぶつけたら死にそうだ。

なんてことを思ってたらDIOがいなくなっていた。視界の端に車に引きずられていくDIOの姿が見えた。どうやら逃走を図ったらしい。ホーリーさんの命がかかっているから見逃すことはできないのに承太郎余裕だなって思ったら自分に刺さっていたナイフを一本抜いてDIOを引きずるトラックに向けて投げた。当たり前のようにトラックがパンクする。精密度Aは伊達じゃないってことですかね。それにしても恐ろしい命中度だよ。

トラックが横転してDIOが地面に投げ出される。そういえばトラックの運転手がどうなったんだろうと思ったが深く考えない。きっとエアバックが作動していきているだろう。トラックは不動産王が賠償してくれますよ、うん。

そしてDIOが逃げ出そうとしたマンホールの先には承太郎が待ち構えていた。え、承太郎いつの間にそこに移動したの?まったく気付かなかったんだけどもうお前実は時止め習得しているんじゃないの?

お茶目な場面だったけれどもここからはシリアスだ。承太郎に殴り飛ばされDIOが到達した場所はジョースターさんがいる場所だ。

いよいよ物語はクライマックスに入ったようだ。


37

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ