少女A(JOJO3)

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取り敢えずDIOの館を発見したことをみんなに伝え館まで案内する。ぶっちゃけ私は場所を曖昧にしか覚えていなかったのでイギーを頼ることになった。いや、だってあんだけペットショップに追いかけ回されてマンホールの中で戦闘までしたんだから覚えてられないよ。私の記憶力が低いのではない、イギーが凄いのだ。この旅はイギーがいなければ詰んでいたかもしれないな。いやわりと本気でマジで。

イギーの先導の元DIOの館に向っていくと館に近づくにつれ空気が重々しいものに変わっていった。気のせいか息苦しさすら感じる。あれ、さっき行った時は屋敷からこんなオーラでていなかったよね?なんでこんなダークサイドに落ちたような雰囲気になっているのですか?これってさっきの戦闘が知られDIOに見られているからこんな空気感になっているってこと?なにそれこわい。取り敢えず出来る限り気配は薄くしておこう。ラスボスに目をつけられたくはないので。

そしてDIOの館にたどり着いた。みんな色々な思いを胸に門をくぐる。私も内心ガクブル震えながらそれに続いた。最初の敵はたしかあいつだね、ダービーの弟テレンスだ。

門をくぐりゆっくりと館のドアを開ける。ドアの先にはどこまでも廊下が続いており妖しげなオーラを醸し出している。確かこれもスタンドの能力で館を作り変えているんだよね?なんて名前のスタンド使いだったかなぁ。モブだったから忘れた。

皆で慎重に様子を伺っていると何者かが奥から浮いた状態でやってくる。これラスボス戦だからシリアスな空気になっているけど普通に考えたら腕組みながら飛んで来る人なんてシュール以外の何物でもないですよね。まあ今飛んできている人は危険人物だしやはり気は引き締めておこう。

テレンスは私たちの前まで来ると急ブレーキをかけたように止まる。そして丁寧にお辞儀をすると自己紹介を始めた。


「私の名前はテレンス・T・ダービー。貴方がたに倒されたダビエル・T・ダービーの弟です」


「うん、貴方が何者でも関係ないですね。先手必勝!くらえ『風弾』!!」


自己紹介とか素直に聞きませんよ?騎士道精神とか興味ありません。戦隊モノでヒーローが変身するまで待っててくれる悪役じゃないんだから目の前にのこのこ現れた敵は撃破します!ということでテレンスに向かって風弾を撃ち込んだんだけど微笑みながらあっさり避けられてしまった。…え?


「貴女が我が兄のイカサマを見破ったというナマエですね?貴女のことはよく存じ上げておりますよ。我々の放った刺客の多くが貴女の何気ない行いのせいで台無しにされました。未だ能力が計り兼ねない貴女の行動を注視することは当たり前のことですよ」


そういってテレンスは丁寧にお辞儀をした。テレンスのその言葉と行動に私は全身から血の気が引いたのを感じた。

え、私の行動に注視してた?マジですか。え、なんで?私なんてただのモブですよジョースターさんたちの同行人ですよ。何故敵スタンド使いにここまで警戒されているんだし。これは原作知識を活用しすぎたということですかね。うん、確かに最近はわりと活動してたしここの門番とは戦っちゃったりしたもんね。今すぐ過去の私を引っ叩いてやりたい。

あれほど目をつけられたくないって言ってたくせになにしてるんだわたしぃぃぃ!!そりゃあんだけ原作変えたら注目されるわ!灰の塔、力、皇帝、ハングドマン、正義、アヌビス神、セト神、オシリス神、ホルス神あたりはわりと私も活躍しましたからね。うん、なんでもっと自重しなかったのだろう。そういえばホル・ホースにも名前覚えられちゃってたもんなー。心の底から後悔してます。


「それに貴女は重要な意味を持つ人物ですからね。ここでその魂を掴めれば事をスムーズに運べたのですが風の残像(クリアビジョン)の能力は手強いですね。残念ながら貴女の肉体を掴むことはできませんでした」


チラッと承太郎に視線を送るとテレンスは意味深に笑う。何故承太郎を見るのかはわからんが今テレンスは恐ろしいことをいったよね?私の魂を掴む?ひょっとして私は今原作の承太郎状態になりそうだったのですか?うん、はっきりテレンスに敗北感は抱いてたから条件は満たせてたのか。でも、風の身体だから肉体を掴むことができなかったと。…私ふうふうの実食べてて本当によかったよ。それからもう余計なことするのやめておこう。命は大事です。

その後は原作通り承太郎が攻撃を仕掛けて右手を取られて床に空いた穴に落ちていく。助けようとしたジョースターさんと典明も吸い込まれ2人の姿が小さくなる。

さて、ここで私には2つの選択がある。ひとつはこの穴に飛び込むこと、もう1つはこの場に残ること。穴に飛び込めばテレンス戦だけれど承太郎とジョースターペアが勝つことをわかっているから危険は少ない。

だけれどもこの場面での選択はずっと前から決めていた。衝動的にこの旅に出ると決めた時から私の目的はひとつだ。

典明の死亡フラグを折る。原作キャラを救うことだ。

次のヴァニラ戦でアヴドゥルさんとイギーは命を落とす。それをわかっていてこの穴に飛び込むことはできない。はい、というわけで残りますよ!そんでもって絶対にアヴドゥルさんとイギーの死亡フラグを折ってやるからな!

なんか向こうに目をつけられているっぽいしヴァニラは強敵だしでこの先の展開に全く期待は持てないけれども選んだ以上はやるしかない。涙を飲んで小さくなっていく穴を見送る。じゃあ、いったんさようならジョースターさん典明承太郎。これが今世の別れでないことを祈っているよ。いやマジで。

穴が消える瞬間『ナマエッ!!』と誰かに呼ばれた気がした。


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