少女A(JOJO3)

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ボインゴ・ホルホース戦が終わりDIOの館も目前だ。前回下手に原作介入して失敗してしまったのでもう貝のように口を閉ざしてジッとしていたいんだけれどもここからは本格的に死亡フラグの連続なので頑張って活動していこう。ああ、平和な日本が恋しいよ。

次は間違いなくペットショップ編だ。奴は鳥のスタンド使いで氷の門番としてDIOの館の前で立ちはだかっている。ペットショップはイギーが倒してくれるけどその代償にイギーは腕失ってしまうのだ。私はその未来を変えたいと考えている。

そりゃイギーは全く懐かないし可愛げはないし性格も悪いしでロクな奴ではないけれどもそれでも仲間だ。最終的にポルナレフを助けて死んでしまうイギーを見捨てるわけにはいかない。

さて、問題はどうやってイギーを救うかなんだけど実はいい案が全く出てないのだ。

イギーがDIOの館を見つけるのはわかっているので追跡すればいいのだろうけれども犬であるイギーをこっそり追跡するのはかなり難しい。なら堂々と後を追おうと典明と承太郎に声かけてイギーについては行こうとしたのだけどワゥ!と吠えられてあえなく撃沈した。典明も承太郎も放っておけばいいというがそうは問屋がおろさない。このままではイギーの右手は失われてしまって、それを私は嫌だと思っている。

というわけで、非常に、非常に嫌なのだが私が風化してこっそりイギーを追うことにした。限界まで影を薄くして距離を保てば追跡することはできた。何気にこれが初の単独行動だよ。今頃典明に『あれ?ナマエちゃんとイギーは?』とか言われているんだろうな。いつから私こんなにアクティブになったんだっけ?今からでも承太郎たちのところに戻ろうかな。

そんなことを考えているとイギーが大きな2匹の犬に絡まれた。体格差だけで見るとイギーがやばそうだけどスタンド使いのイギーはそこらの犬に負けることはない。案の定スタンドを出して威嚇しあっさり追い払っていた。うん、やっぱり心配することなんてなかったね。

2匹の大型犬は怯えるように去っていく。私の横を通り過ぎたけど私の存在にはあまり気付いてないようだ。全力を尽くした私の風化は犬さえも誤魔化せるようですね。戦闘回避スキルが高いのは嬉しいことだ。

そのままイギーの後に続き歩こうとした瞬間後ろから血の匂いが漂ってきた。驚いて振り返ると門の下から血が流れ出し2匹の犬の首とともに大きなハヤブサが飛び出してきた。おおぅ、なんというスプラッタ。というかもうついていたのですね。ラスボスが間近にいるというのに全然気付かなかったわ。

はい、というわけでペットショップと遭遇しました。ということはさっきの大型犬はネーミングが謎のチビとポチさんだったのですね。なんてバリバリ日本系の名前がつけられているんだよ、ここエジプトだよ。まあこれは取り敢えず飼い主が日本のファンということにしておこう。

ペットショップは辺りをじっと見渡し高級車に乗った1人の男を見つめている。あの人手に写真っぽいものを持っているよね。ということはアヴドゥルさんにDIOの館探しを頼まれたホームレスさんか。え、じゃあヤバイじゃん。今からペットショップの氷の刃が飛んできてスプラッタな光景が出来上がるぞ。

そんなこと考えていると案の定ペットショップが空中に大きな氷を作り始めた。なんてこった。もう時間がないぞ?ホームレスのおっさんには興味も関心も全くないけどそれでも目の前で死んで欲しいとは思わない。ということはもう助けるしかない。ああ、今ただでさえ風化していて空気の残量少ないのにあの氷の塊からホームレスのおっさんを助けなくてはならないのか。…難易度高くない?

ペットショップが氷を放つ、その少し前にホームレスのおっさんに風の鎧を纏わせる。風の残量が少ないから大した強度は持たせられなかったけど氷の塊はなんとか防げたようだ。ホームレスは潰れたクルマと氷のようの隙間で気絶している。無傷というわけではなさそうだけど命が助かったのだから良しとしよう。高級車が潰れたのはどんまいだ。

ホームレスを倒したと思ったのかペットショップは辺りを見渡しジッとイギーに視線を送る。それに気付いたイギーが馬鹿な犬の真似をしてその場をやり過ごそうとする。イギーって自分が良ければそれでいいっていうことなかれ主義だよね。あれ?私とイギーってわりと似ているんじゃない?なんだかイギーと仲良くできる気がしてきたぞ。

イギーは無事ペットショップをだませたようでペットショップは館の方へ戻っていった。しかし、そこへ飼い犬を探しに来た少年が館の方へと行ってしまう。彼はあのネーミングセンスを疑うポチとチビの飼い主だ。このまま門をくぐればペットショップの餌食となってしまうだろう。

うん、さあ出番ですよイギーさん!原作では犬好きの少年を見殺しには出来ないぜといいながらペットショップに挑んでいたよね。今回もその活躍を期待しているよ。というかイギーが戦ってくれなかったらペットショップとまさかの一対一対決が始まります。それ、なんという死亡フラグ。生き残れる気がしません。

イギーはチラッチラッと門の方を見ながら去ろうとする。あああ、イギー!だめ?むり?マジで私1人で行かないといけない?それは無理ゲーだろ。なんとか言いくるめて承太郎を連れて来ればよかった。最強のスタンドの存在が恋しいです。

だがそう思った瞬間ダッシュでイギーが門の下に滑り込み犬好きの少年を庇うようにペットショップの前に立ちはだかった。イギー!!君のことを信じていたよ!

さっと身を踊られ少年に向けて撃たれた氷のミサイルをイギーが弾き返す。イギーの参戦にペットショップが目を見開きそして敵を認識して氷のミサイルを周囲に浮かび上がらせた。その間にイギーは吠えて少年を外に出させる。よし、準備は万端ですね。ちなみに私は空を飛びながら門の上からこっそりと様子を伺っている。いや、だっていくら戦うことを決意したからってペットショップは怖いんだもん。ギリギリまで参戦したくないです。

イギーとペットショップの睨み合いが行われる。空中に注視していたイギーは地面に伸ばされていく氷に気づかない。そしてまさに伸ばされた氷がイギーの足を捕らえようとした瞬間バッと風が弾け氷を吹き飛ばした。イギーとペットショップが驚きの声を上げる。

よし、成功したぞ!この追跡を開始した時から実はイギーには風の鎧を纏わせていたのだ。まだ私も使い方があまり分かっていないのだがどうやらちゃんと攻撃に対して効果を発動してくれたらしい。ペットショップの氷を退けている。

それと同時にイギーに纏わせていた風が私の元に戻ってくる感覚があった。おそらくこの風の鎧は1回だけ攻撃を防いでくれるバリアのようなものなのだ。ただし使われた風が戻ってくるのに時間がかかるようなので連続使用は難しいだろう。まあそれでも1回攻撃を防いでくれるバリアの存在はありがたいですね。これからも活躍を期待しよう。

ペットショップはイギーに攻撃が届かなくて呆然としている。こちらの存在に気付いた様子もないしこれはチャンスじゃない?うん、先手必勝。


「風弾ッ!」


「ッ、クァっ、??!」


ペットショップに向けて風弾を撃つ。結構本気で撃ったからかペットショップは墜落し地面に叩きつけられた。動物をいじめるのは嫌な気持ちになるけどあの鳥は全力でこちらを殺しにくるからね。慈悲はない。

ペットショップは翼を羽ばたかせながら何とか起き上がろうとする。ダメージは与えられたけど致命傷ではないようだ。ここで倒せたならそれでよかったんだけど無理ならすることはひとつ!逃げるんだよォ!


「イギー逃げよう!」


「!?、わぅ!」


イギーを抱えて門を飛び越えて外に出る。え、ペットショップにトドメをささないのかって?ここがどこかわかってますか?ここDIOの館ですよ?そんな敵陣のど真ん中で戦闘なんて死亡フラグが乱立する未来しか見えませんね。ちょっと館からヴァニラさんが出てきたらそれだけで人生終了です。というわけで全力で逃走を図ります!

イギーを抱き上げた時は嫌がられてザ・フールに反撃されるかなとドキドキしてたけど意外にもイギーはおとなしく抱えられていた。これはちょっとは仲間として認めてくれたってことなのかな?

私は全力で走る。このまま承太郎のところまで戻るのが最善だけど後ろから風を切る音が聞こえてきてフラグが立てられていることを感じた。


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