少女A(JOJO3)

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カイロに入って2日目、今日も今日とてDIOの館を探しているのだが中々見つからない。もうDIOに会いたくない!といっている場合ではないくらいホリィさんの容態がヤバいので私も本腰入れて必死で探しているけど見つからない。原作でたどり着けることを知っている私ですら不安に感じるのだからジョースターさんや承太郎の焦燥感がどれほどのものかは想像もつかない。一刻も早くDIOの館が見付かるのを願ってます。

さて、それとは別にそろそろ次の刺客もやってくるはずだ。ここは敵地のど真ん中、やってこないって方がむしろありえない。次の刺客誰だっけ?そろそろペットショップだっけ?と思ってたところでポルナレフがなんかつけられている気がするといって姿を消した。

いつまで経っても戻ってこないポルナレフに首を傾げながら探しているとちょっと横道に入った建物の側で脂汗滲ませながら立っているポルナレフがいた。なんだポルナレフそんなに慌てて。何かあったのか?


「ポルナレフ、なんだ尾行者はいたのか?」


「い、いやあ尾行者はいなかったぜ。俺の気のせいだった」


そう言葉を詰まらせながらしゃべるポルナレフに私はぽんと手を打って思い出す。ああ、そうだ。ペットショップ編の前にそういえばこことの決着つけないといけないんだったね。

今来ている敵はホルホースとボインゴのペアだ。拳銃使いのホルホースと未来を予言することのできるボインゴのペアは意外と強敵でジョースター一行も一度は危機にさらされる。

うん、敵の手口もわかっているしあの木箱の下にボインゴがいることもわかっているんだけどこれどうしようかな。ボインゴの予言は本当に厄介で原作知っている私でも予言を変えることはできないのだ。以前オインゴボインゴペアがやってきた時に原作と違う店に入ったのにもかかわらず彼らはいたからね。もう下手に原作変えない方がいいんじゃないのかな。今困っているのはポルナレフだけだしほっといて典明と一緒にチェリーパフェでも食べに行きたい。

ポルナレフは口ではしょんべんしているだけだから先に行けって言っているが舌が一生懸命後ろを指している。舌が矢印の形になっていて面白いけどこれこの後の展開考えたら結構危ない状況だな。だって今からここにトラック突っ込んでくるんだよね。原作通りなら死なないんだろうけど原作より典明と私が増えているというイレギュラーが起こっているだからどうなるかわからない。最悪私はふうふうの実の能力で死なないけど万が一典明に危害が及んだら目も当てられん。これは行動した方がいい気がしてきた。

取り敢えず知りたいのはボインゴの予言の所の中身だ。その中身がわかればホルホースとボインゴの行動もわかるわけだから私の知らない予言が出ていれば対処もできわけだ。

そのためにも人質になっているポルナレフは助けておかないといけないな。不本意だけど、本当に不本意だけどポルナレフは助けないとなぁ。ハァ

半透明になってこっそりポルナレフの後ろに回り込む。そこには予想通りというかホルホースがいてポルナレフに向けて銃を構えている。私の存在には気づいていないようだ。よし、ならば遠慮なくいきますか。女の敵ホルホースに慈悲はない。


「くらえホルホース『風弾ッ』」


「な、ナマエ!?ぐああァぁ!!!」


真横からの攻撃を予期していなかったホルホースはあっさり風弾を食らって吹き飛んだ。ちょっと本気出しすぎて吹っ飛んだホルホースが壁に埋まっている。うん、これはやりすぎたわ。でもちょうどホルホースの姿も見えなくなってトラックに突っ込まれる要因も消えたしよかったことにしよう。

それより気になったことなんだけど今ホルホース私の名前を呼んだよね。うええ、敵側にしっかり存在認識されているよ。姿と同じくらい影の薄い存在になりたいです。

ポルナレフが『ナマエ!よく敵の存在に気が付いてくれたぁー!』と駆け込んでくるがさくっと風化して避ける。ポルナレフの暑苦しいハグはいらないのでそれよりもボインゴの予言書の方に興味津々だ。

なんか後ろの方でポルナレフが承太郎に急に絡まれ始めたがそれは置いといて私は木箱をひっくり返す。てめぇなにをしようとしたんだとめっちゃ怖い顔で承太郎がポルナレフに迫っているみたいだけどホルホースはいったい承太郎に何をしたんだ?まああの二人なら100%ポルナレフが悪いので放っておいて木箱の下から出てきた少年に注意する。間違いなくボインゴだ。


「ひ、ひいぃぃ!」


「君がホルホースの相方だね」


そういいながらボインゴの手から予言書を取り上げる。傍から見たら子供から本を取り上げる悪い奴なのだろうけどこちらも命がかかっているので許してください。視界の端に承太郎に胸ぐら掴まれながら『ああ!そうだ!そいつはホルホースの仲間だ!』と叫んでいるポルナレフが見えたけどお前言うのが遅いよ。知っていたならもっと早くいえよ。そのせいでどんどん私が目立っていくじゃないか。

取り敢えず急いで予言書の中身を確認する。中身はコミカルな漫画で描かれていてホルホースがポルナレフの鼻に突っ込んで擽るとジョースターたちは全滅すると書かれている。うん、原作通りだね。じゃあホルホースはレンガの壁に埋まっているしトラックにひかれることはないだろう。


「ナマエ、そいつはなんだ?」


「ホルホースの仲間らしいね。この本には予言がかかれていてこれによると私たちは全滅してしまうらしい」


「なんじゃと!??」


予言書をぱたんと閉じて驚くジョースターさんに差し出す。敵スタンド使いがいるとわかればそれを無視することはできない。ジョースターさんは神妙な顔で予言書を受け取ろうと手を伸ばす。とはいえもう原作のフラグは全部折ったしこれでもうホルホース・ボインゴ編は終了ですね。無事終わってよかったよ。

ジョースターさんが予言書に触れるまさにその瞬間だった。コロコロと空から石が落ちてくる。うん、・・・え?

驚いて見上げるとレンガの建物がガラガラと崩れ去りその破片がジョースターさんたちに降り注いだ。皆がレンガを食らい倒れていく。予言書を持ちながら私はそれを呆然と見ていた。

おそらくあのレンガは私がホルホースに風弾を撃った衝撃で壊れてしまったのだろう。マジか。私のせいか。こういうことは起こらないように気を付けていたのについにやってしまったよ。やはり余計なことはすべきではないですね。


「・・・君のスタンドは凄いね」


「ぼ、ぼくの予言は絶対ですから」


震える声でボインゴが答える。うん、無理やりかえても絶対にこの予言の書の内容は覆らないようだ。改めてこのスタンドの恐ろしさを知ったよ。原作知識がまったく役に立たないなんてある意味今までで一番おそろしい相手だわ。

ジョースターさんたちはレンガに埋まっている。だけれども風の流れから全員生きていることは感じ取れた。

よかった。本当によかった。保険をかけていて本当によかった。

私の今の姿は半透明のままだ。まあこれは目立ちたくないという意図もあるんだけど今はもっと別の要因で薄くなっている。

私が操れる風は実は2種類ある。ひとつは周りの空気を動かして作る風、そしてもうひとつは私自身を風化して作る風だ。

周りの風を使えば風弾はいくらでも打てるし風の膜を使うときもこの風を使っている。基本的に使っているのはこの周りにある空気で、それに加えたくさん風を使う時にも使うようにしている。それとは逆に私自身を風化して作った風は風量は限られているがその代わり使い勝手がいい。例えば同じ風弾でも自分自身の空気を使った方が威力が高くコントールがしやすい。

この自分自身を使った風の使い方をずっと考えていた。この能力を使って花京院を救う方法をずっと考えていた。DIOの能力は時を止める物だというのは何処かで伝えようと思っているけどそれを伝えただけで典明の死亡フラグが折れるとは到底思えない。だって時を止められるんだぞ?そんなのわかっていても防げないじゃないですか。

不意打ちを食らったときても守れるような防御体制を敷いておきたい。それで考えたのが周りを遮断する空気の膜に自分自身の風を使ったら強度が上がるんじゃないかってことだ。

風化してこっそり他の皆に風を纏わせることができるか実験していたのだがどうやら大丈夫のようだ。名付けて『風の鎧』!うん、ネーミングセンスについては突っ込まないでください。自分でもそのまんますぎるとは思っているから。

で、今回も原作ではトラック突っ込まれて危ないということをわかっていたからみんなに風の鎧を纏わせてみた。風の鎧は風量に限度があるから典明、ジョースターさん、承太郎、アヴドゥルさん、ポルナレフの順に風を纏わせてある。お、典明と承太郎はほぼ無傷みたいだな。もう起き上がってきたわ。承太郎はそんなに風を纏わせてなかったから持ち前の強運かな?流石承太郎さんは主人公補正が効いてますな。逆にポルナレフは重傷のようだ。どんまい

これ以上被害を拡大させないためにはトト神に予言を出させないことだろう。起き上がったジョースターさんに今度こそ予言書を渡しボインゴの手元に戻らないようにする。

そしてスピードワゴン財団にボインゴとホルホースを拘束してもらって今回の事件は終了です。ホルホースは起き上がって承太郎とポルナレフにもう1発もらって全治6カ月の重傷になり、ボインゴはまだ子どもということで監視はつくが酷いことはしないらしい。

ホルホース・ボインゴ戦が終わったのは良かったけど思った以上に強敵だったわ。原作ではあんなにコミカルで楽勝だと思ったのに戦ってみるとわからないものだな。

それにしても私の原作知識じゃどうにもならないことあるのか。私、ちゃんと典明の死亡フラグ折れるかな?


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