少女A(JOJO3)

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皆で墜落したヘリコプターに近付く。機体を掻きむしっていたパイロットはやはり死んでいたようだ。なむあみだぶつ。



「なんだこの水の量は、」


「砂漠のど真ん中だというのに溺れ死んでおる!」



ジョースターさんが死んだパイロットの頭を横に倒すと口の中から大量の水と小魚が出てきた。ピチピチと跳ねる魚はいったいどこからやってきたのだろう。まさかこのためにわざわざ小魚を連れてきたのかなんて考えているとおーい、こっちのパイロットは生きているぞ!とポルナレフの声が聞こえてきたので慌ててそちらに向かう。生き残ったパイロットも疲弊していてすっかりやつれ果てていた。



「おい、しっかりしろ!何があったんだ!」


「み、水を、」



ジョースターさんが近寄りこの惨状の原因を問えばパイロットは弱々しい声で水を求めた。その言葉にジョースターさんはその辺りに落ちていた水筒を拾いあげパイロットに渡そうとする。うん、それはマズイ。すっごくヤバい。確かその水筒に敵スタンドが入っていてこれからパイロットの頭を引きずり込むんだよね。そんなグロ映像見たくありません。このままだとこのパイロットは原作通り死んでしまうのだろう。ああ。本当は全くもって近付きたくないが人命救助のためにちょっとだけ頑張ります。よし、撃てー!



「ひぃぃぃ!ちがう!水が襲ってくるんだッ!」


「風弾っ!」



水筒から手が飛び出しパイロットを襲おうとした瞬間風弾を撃ちジョースターさんの手から水筒を弾き飛ばす。軌道を無理矢理反らされた水の手の攻撃は空振り砂の上を転々と水筒が転がる。どうやら無事間に合ったようだ。よかったよかった。私の勇敢なる行動のおかげで尊い命がひとつ救われたね。ナマエちゃん頑張った。これで今日のお仕事は充分だってことで残りの戦いはよろしく頼んだ!



「なんじゃ!?水筒から手のようなものが飛び出してきたぞ!?」


「どうやらあの水筒に敵スタンドが潜んでいたようです!距離を取りましょう!!」



アヴドゥルさんがそういうとともに皆水筒から離れていく。因みに瀕死のパイロットはジョースターさんとアヴドゥルさんが運んだ。その時によく敵スタンドの攻撃を防いだと誉められた。やったね。

水筒からはチロチロと水が溢れていく。おそらくあの水に乗じてもう敵スタンドが外に出てるんだろうな。こっちに来るなと全力で祈っておこう。

何も起こらないまま緊迫した空気だけが流れていく。このままではなんのアクションも起こさないのはまずいということで典明がポルナレフに水筒を攻撃しろと命じるがポルナレフがそれに対してなんで俺がはぁ!?嫌に決まってるだろ!なんで俺がやらないといけねぇんだよ!と文句をいう。お前こそなにいっているんだよポルナレフ。こういう汚れ仕事とトイレに関するポジションはお前の役割だと決まっているだろ?今さら何をいう。ほら、ちょっとポルナレフさんのいいところみてみたいなー。

とまあ悪ノリはこのあたりにしといてそろそろヤバイ。だって砂の中に潜んでいる敵スタンドがもうすぐ攻撃を仕掛けてくるんだもの。確か原作では典明が狙われてその攻撃を受けて目を負傷してしまう。典明はここで一時リタイアしてしまうのだ。そうなってしまったらとても困る。だって残りのメンバーを見てみなよ。ジョースターさんとアヴドゥルさんとポルナレフと承太郎だぞ?どうみても気まずくなる未来しかみえません。一番仲のいい典明がいなくなるとコミュニケーションが取れなくて寂しい旅路になってしまうのは間違いない。そんなのは嫌です。

というわけで私のためにもここで典明をリタイアさせるわけにはいかないのでちょこっと頑張ることにする。これがポルナレフならば絶対全く少しも助けようとは思わないけど典明のためならしかたないね。え、差別だって?いえ区別です。これが人望の差という奴なのだよ。



「お前な、自分が嫌だと思うことを人にやらせるなよ。って、な、」


「っ、馬鹿な。もう外に出ていたのか、」



典明の足元からじわりと水が溢れだしそれは手の形となって目の前に現れた。やはり原作通りの展開だ。このことはわかっていたので現れた敵スタンドに向かって用意していた風弾を撃ち込む。すると敵スタンドは飛び散りあたりを水浸しにする。どうやらなんとか攻撃を防げたようだ。



「ありがとうナマエちゃん。おかげで助かったよ」


「いえいえ、どういたしまして」


「いや待て花京院!ナマエ!敵スタンドはまだ倒せてねえ!また元の形になって襲ってくるぞ!」



一難去ってまた一難。どうやら私の攻撃は敵スタンドにあたりはしたけど倒すことはできないらしい。そりゃ風で水は倒せませんよね。このスタンドはどうやら原作通り本体を叩くしかないらしい。遠距離操作できて強くておまけにこちらの攻撃効かないなんてンドゥールさんのスタンド強すぎでしょ。一方的にタコ殴りにできるなんてズルいです。え、お前がいうなって?何をいう。私はただのか弱い乙女ではないか。

そして再び敵スタンドが典明たちを襲おうとした瞬間ピピピとパイロットの手についていた腕時計のアラームがなり水の手がそちらに向かう。それによりジョースター一行は敵が音で感知していることを悟った。敵の探索能力がわかったところで全員で車に向かう。そしてなんとか全員敵スタンドに捕らわれることなく車に乗ることができたが本体を見つけてないし形勢はまだまだこちらが不利だ。そしてしばらく皆で車の上で警戒体制を取っているとイギーが車から飛び降りた。あ、ということは敵スタンドが今から襲ってくるのですね。ということでついでに得た情報にのっかって私も車から飛び降りる。その瞬間車が砂の中に引きずり込まれていき全員砂漠の上に投げだされた。わお。

なんていう破壊力だよ。これが遠距離型スタンドとか嘘だろ?ゲブ神がチート過ぎてがちで笑えない。そしてアヴドゥルさんが敵スタンドを倒そうと腕のリングを投げて一計案じたが見事にすかされ反撃を受けました。スタンドだけでなく本体も勘が鋭いです。こんなのどうやって倒せばいいんだろう。普通に無理ゲーです。

だがどんなに相手が強かろうとこちらは主人公サイド、正義は勝つのです。こんな中ボス程度にはやられませんよ!ということで我らが承太郎の出番がやってきました。

攻撃を受ける前に車から飛び降りたことからイギーが敵の位置を探し出せることに気付いた承太郎はイギーを拾い上げ無理矢理戦闘に参加させた。仔犬を地面に押し付ける姿は絵面的には動物虐待で完全にアウトだがこちらも命が掛かっているのだから仕方ない、イギーにも協力していただこう。

敵の攻撃を受けそうになったイギーはスタンドを出しひとりで空に逃げようとしたが承太郎にあっさり捕まり敵の場所まで運ばされることになる。いきなり乗り心地の悪いヘリコプターで連れてかれたと思ったら戦闘に巻き込まれて酷使されていると考えるとイギーもちょっと可哀想になるが私は私の命が大切なので知らんぷりしておこう。それにイギーに対してはあんまり同情心が出てこないんだよね。イギーの性格が悪いからとポルナレフに対する態度が悪いからだな。なるほど。

承太郎を乗せて飛んでいたイギーのスタンドだがハングライダーのように滑空することしかできないから重さで高度が落ちていく。このままだと地面に落ちてしまうとハラハラしながら見ていると承太郎がこちらにジェスチャーで何か伝えようとしてきた。え、なに?何いっているの?言葉がないから何がいいたいか全然わかりません。私承太郎と目と目で伝えあえる熟練夫婦のような関係じゃないから伝わらないぞ?いったいなんなんだ?

そう思って首を傾げていると典明が自分に向けて風弾を撃てといっているのだと思うよと耳打ちしてきた。え、マジですか?驚きながら確かめるために風弾を撃つ構えをしてみると承太郎が頷いた。どうやら正解だったらしい。あのジェスチャーで伝わるなんて典明と承太郎は仲良すぎだろ。以心伝心ですね。私には全くわからなかったわ。

というか、え、承太郎風弾撃って欲しいんですか?なんか変な性癖にでも目覚めたのですか?痛いのが好きなのですか?どうしよう、承太郎がおかしくなったのかもしれない。長い旅で疲れたのだろうか。この戦いが終わったらちょっとお休みしましょう。

なんてポルナレフでもあるまいしそんなことはないか。おそらく私の風弾の威力を利用してイギーのスタンドの飛行を手助けをしようということですね。承太郎を撃つなんて気は進まないが相手スタンドを倒すためだから仕方ない。飛行を手伝えるように面で押し出すイメージで大きめの風弾を承太郎に向かって撃つ。その結果うまくいったようで翼に風が当たり空へ舞い上がった。

そしてそのまま承太郎は敵スタンドの本体の所までたどり着き無事ンドゥールさんをやっつけることができました。最後はあっさりとしたものだったが戦闘が楽になるならそれに越したことはない。これからもビシバシやっていきましょう。

ということでエジプト九栄神のひとりを倒すことができました。原作と違って典明は無事だから戦力的にも心情的にも嬉しいです。これからの戦いが少しでも楽になると嬉しいな。そして後は残りのエジプト九栄神とホルホースとDIOですね。まだまだ敵は多いけど承太郎強いしなんとかなるだろう。

戻ってきた承太郎とイギーに手を振りながら取り敢えずまた新しい車を手配しないといけないなと壊れ果てた車を見てそう思った。


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