少女A(OP)

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外に出てもシーザーは見つからなかった。どこにもいなかった。その代わり珍妙なものを見つけてしまった。



「何やってるの?」


「良い所に来たナマエ」


「あー!ナマエ!わりぃ、捕まっちまった。助けてくれー!」



なんか軍艦燃えてるなーと思いながらあたりをうろついてると上空にキャプテンと麦わらの一味とケムリン達が縛られて放り込まれた檻があった。なんだこれ。猛獣確保の檻ですか?それにしても中に入れられているメンツが意外性ありすぎる。なんで海賊と海軍が同じ檻に入れられてるの?どうやったらこんなことになるんだろ。というかキャプテン、何処いったと思ってたら捕まってたのか。役立たずだな。まあ私もなんの仕事も出来てないけど。



「マスターとかいう奴に捕まっちまったんだよ!ナマエなんとかこの鎖ほどいてくれ!」


「え、シーザーに捕まったの?それは情けないぞ。あんな見た目になよい奴に負けないでよ兄貴。まさかキャプテンもシーザーに、」


「俺はヴェルゴにやられたんだよ」


「え、ヴェルゴさんって口元にハンバーグつけてるヴェルゴさん?」


「そうだがなんでお前が知ってるんだ」



そういってキャプテンは眉を寄せ怪訝な顔をする。ふふふ、知ってるよ。ヴェルゴさん知ってるよ!キャプテンの保護者のヴェルゴさんだろ?さっきシーザーの部屋で会いました!それにしてもキャプテンがヴェルゴさんにボコボコにされたというのはどうやら本当らしい。ケムリンに勝ったキャプテンを捕まえるなんてヴェルゴさん強えぇ!尊敬します



「さっき偶然会ったんだ!へへへ、キャプテンの恥ずかしい過去とか聞いちゃったよ!知りたい?教えてあげようか?」


「どうせ俺がヴェルゴにヤられた話だろ。それよりお前よく無事だったな。殺されてもおかしくなかったぞ」


「なんだよ、もっと焦るかと思ったのにつまらんな。って、え?え゛?」



キャプテンのあたふたする姿を拝めると思ったのに全然平気そうだ。ちぇー、これでキャプテンを弄り倒せると思ったのに残念だと思ったら恐ろしい言葉が聞こえてきた。え、殺される?死ぬ?



「ヴェルゴは俺の敵だ。俺の船員であるお前はヴェルゴに殺されてもおかしくなかったが興が乗らなかったのか?まあラッキーだったな」


「えええええぇぇぇーーー!!!???そんなにヤバい状況だったの?あの人キャプテンの敵なの!?保護者じゃないの!?エ゛、エエエェッ!!???」



とんでもない事実に思わず絶叫する。私生死に危機に瀕してたの?全然気づかなかったわ。ショックです。あのおもしろいハンバーグのヴェルゴさんはキャプテンの敵だそうです。キャプテンが反抗期で花瓶とか割って謝ってないから向こうが怒ってるんじゃないのかと思わなくもないがそれで殺しにきたりはいくらなんでもないだろう。ヴェルゴさんは正真正銘キャプテンの敵なのだ。怖あああっ!私そんな敵のところへ無防備に訪れちゃってたのかよ。生きてて良かった!この助かった命を大切にしよう。



「なんかわからねえけどナマエ助けてくれよ!」


「それでなんで君たちはみんないっしょに捕まってるんだよ。ケムリンがいるのが一番意味わからん。君たちなんだかんだいって仲いいだろ。アラバスタでも捕まってたし。ぷぷぷ」


「あら、どうして私たちがアラバスタでも一緒に捕まっていたことを知ってるのかしら」


「あ、」



絵面が面白くてにやにやと笑っていたがロビンと思わしき女性に指摘され失言に気づく。しまった!やっちゃった!私がアラバスタのこと知ってるのおかしいじゃん!知ってる理由は原作知ってるからとうさちゃんマンという出来心によりやっちゃった正義の味方のフリをしたせいだ。前者の理由はいえないけど後者の理由も知られたくない。フハハハ言いながらお面かぶってかっこつけてたとか知られたくない。あれは私の黒歴史です。くっ、これはごまかさないと!



「えっとですね、それは私が超人的な力に目覚めてすべての事象を知れるようになったからであり、」


「こいつがあの兎のお面の奴だったからだ」


「なんでいっちゃうのケぇぇムリぃンッ!!それを知られたくなくてごまかそうとしたのに!!!」


「うるせえ。兄妹そろってケムリンいうんじゃねえ」



なんとかごまかそうとしたのにケムリンの余計な横やりにより台無しになった。ちょっ!お前がいうんじゃねええ!!せっかくあの時助けてあげたのにひどいケムリン!この人でなし!男前!なんかルフィがキラキラした目でこっち見てくるけどそんな目で見ないで。死にたくなるから。気分は中学時代に書いた黒魔術の本を親に見られた感じだ。



「すげえ!ナマエがあのうさちゃんマンだったんだな!正義の味方だったんだな!本当に助かった!ありがとな!」


「ああ、うん。ちょっともうしゃべらないで。私の精神が削られていきます」


「ほう、うさちゃんマンねぇ」


「キャプテンやめてぇ!それ以上何も言わないで!自分でも痛かったとわかってるんだよわああああああっ!!!!!」



なんかもういろいろ辛くてバンバン近くにあった壁を叩く。もうなんだか手が痛いのが心地よいよ。すごく自虐的な気分です。こうして人はドMになっていくのか。目覚めたくないので壁叩くのはやめよう。手が痛いです。

くっ、こうなったら檻ごとこいつらをヤって事実を抹消するしかないッ!幸い全員縛られてるし、ってえ?キャプテンの鎖がほどけてるぞ?!なんで!??



「ええええっ!?なんでキャプテンの鎖ほどけてるの?キャプテン能力者なんだから普通使われるのは海桜石の錠でしょう?なんで動けるの!??」


「俺はこの島に何か月も滞在してたんだぞ?こうなるかもしれないことを予測してあらかじめいくつか普通の鎖を用意してたんだよ」


「キャプテン抜かりないなちくしょう!うわあああっ!せっかく私の黒歴史を知った奴らを一網打尽にできると思ったのに!!!」


「お前は誰の味方なんだ」



そうキャプテンが呆れ声でいった。もちろん私自身の味方だ。私自身の恥ずかしい過去を消すためなら手抜かりはしない。この場で兄貴もろともキャプテンも葬り去ってしまおうと思ったのにちくしょう!!

キャプテンは頭を抱え悶絶する私を無視し淡々と兄貴たちの縄を解いていく。ついでにケムリンたちも助けるらしい。取り替えていたケムリンたちの精神を戻し縄を解いていった。なんだかんだいってキャプテンもいい奴だよね。敵とはいえケムリンのこと見捨てないもんな。え?取引だって?キャプテン素直じゃないな。いいよ、そういうことにしといてやるよ



「ナマエ俺の心臓を取り返すのはもういい。今俺の心臓を持っているのはヴェルゴだ。いくらなんでも覇気の使えるヴェルゴにお前では敵わない。俺が行く」


「え、マジで?キャプテンの心臓持ってるのあのヴェルゴさんなの?キャプテンぼこぼこにしたことがあるあのヴェルゴさん?うん、無理です。キャプテンに任せました。頑張れ」


「ああ。だからお前は兄貴とシーザーの誘拐にあたれ。ここがお前の適任だろ。兄貴と上手くやれよ」


「無理です。おいなんて無茶をいうんだよキャプテン。ルフィの横暴さがまだわからないのか?こいつは誰かの手に負える人間じゃないんだって。自分本位で他人を振り回すのは得意だけど誰かの指示に従うとかは全くできないだよ。協調性が欠けているです」


「それでもやれ。正義の味方なんだろ?」



そういってキャプテンがハッと鼻で笑う。ぐぬぬぬぬっ!キャプテンの弱み握るどころか逆に私の黒歴史知られてるぞ?なんてこった!くそっ、取り敢えずキャプテンには後で不意打ちを仕掛け後頭部から殴りかかって記憶を奪うとして私が兄貴とともにシーザー誘拐組に入れられるのはもう決定?いやまあ確かに兄貴を一人単独行動させたところでうまくことが進むとは思えないけど私がやるの?すごく、嫌です。

でも果てしなく残念なことに私がキャプテンに逆らえた試しがないのでしぶしぶ従う。全然できる気しないわーと呟くとキャプテンに何言ってやがる誘拐得意だろ?といわれケムリンにギロリと睨まれる。ちょっとやめてケムリンその目はやめて。私主犯じゃないから。主犯はそこの刀もって平然としている隈野郎だから!え、でも実行犯なんだろって?て、てへぺろ。

こうして再びシーザー誘拐作戦が実行されたのだった。


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