少女A(OP)

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「あ!あんた見覚えがある!」


「そうだ!シャボンディにいた奴だぞ!」


「まさか子供たち閉じ込めていたのあんた!?この外道!そういえばあんたルフィの妹を浚ったのよね?もしかして後ろにいるその子!?ちょっとその子返しなさいよ!ルフィが怒ってたわよ!」


「それは断る。こいつは俺のクルーだ。今さら麦わらには返さねえよ」



そういってオレンジ色の髪を持ったナミと思わしき女性がキャプテンに食ってかかる。いや、ナミさん。私を浚ったことはアレだが子供たちの件は知りませんよ。冤罪です。うちの船長極悪人の顔してるけどそこまで外道じゃないです。本当に知らなかったわ。その子供たちどこにいたの?シーザーが連れてきたの?あのマッドサイエンティストやっぱりろくな奴じゃなかったよ。外道は奴です。

ごたごたルフィの仲間たちが何やら叫んできたがその目に海軍の姿を映すとすたこらサッサともと来た道を戻り逃げ始めた。なんていってもここにいる海軍はあの麦わらの一味と縁の深いケムリンだもんね。逃げたくなる気持ちはよくわかります。私も逃げたいです。キャプテン撤退命令はまだですか?早く逃げましょう!



「いるじゃねえか。何が一人だ!」


「ああ、いたな。今驚いているところだ」



たくさんの子供たちに麦わらの一味までいたもんだからケムリンはぶち切れている。うん、いましたね。私たちもびっくりです。子供がいたことも驚いたけど兄貴の仲間がいたことに目が飛び出そうだったよ。ルフィの仲間がいるということはルフィもいるということだ。ろくな未来は見えないと思ってたけどすでに事件は起こってたのね。どこに分岐点があったのだろう?逃げそびれたわ。

たしぎちゃんが麦わらの一味を追おうと号令をかけた瞬間キャプテンが“ROOM”と言葉を発した。え、キャプテン戦うの?戦うの?逃げるんじゃなくて戦うの?おk、了解です。私は逃げるのでキャプテンは頑張ってください。

キャプテンが“タクト”というと軍艦が持ち上がり宙に浮いた。相変わらずでたらめな能力です。もう誰も島から出すわけにはいかないらしい。どうやら足を奪いこの場で海軍をやっちゃうつもりのようだ。それはかまわないけどキャプテン、その戦闘の頭数に私は入ってないよね?大丈夫だよね?私は全然戦闘要員じゃないぞ?いや能力的には戦闘もできるかもしれないけど性格が戦闘に向いてないんです。戦うくらいなら逃げます。

キャプテンは麦わらの一味も逃がすわけにはいかないといい“ROOM”と唱え“シャンブルズ”と言いナミさんたちの精神を入れ替えた。っておい!



「キャプテン何やってんの!なんで麦わらの一味にケンカ売るようなことしてるんだよ!なんてことしやがるんだバカ!すぐに戻せ!」


「お前にだけはバカとは言われたくないな。悪いがお前の兄貴の一味だからといって見逃すわけにはいかない。奴らに余計なことをされると困るんだよ」


「いや別に私はルフィの仲間だからあの人たちを気遣ってるんじゃなくて単にルフィの怒りを買うことを恐れてるんだよ!仲間に手を出された時のルフィはアホみたいに強いんだって!わー!キャプテンの馬鹿野郎!ルフィの次の敵はキャプテンなの?次のワンピースの展開はキャプテンとの戦闘なの?原作ここまで知らないからわからないんだよ。やばい、キャプテン死んだかも」



麦わら一味に手を出したキャプテンを見てこれは詰んだかもしれないと絶望する。ルフィは主人公なのだから誰であろうと最終的には勝つことができない。だから絶対にルフィにだけは喧嘩を売ってはいけないのにキャプテンはやってはいけないことをしてしまった。

これってどうなの?原作通りなの?知識ないのがつらたん。ルフィの次なる敵がキャプテンならそれはどうやっても終わるのでここは大人しく再就職先を探した方がいいかもしれない。ルフィにはどうやっても勝てません。

だけれどここまでなんだかんだいって付き合いがあり自分が船長と呼ぶキャプテンを見捨てるのも後味が悪い。キャプテン横暴だけれどいいところもあったよ。顔とか強いところとか船員にべポがいるところとか、まあそんなわけでやられるとしてもキャプテンを放り出したくない。なんとかルート調整をしよう。

キャプテンは私があんまりにも必死に訴えるものだからちょっとは心動かされたらしい。眉を寄せて考え込むような表情になった。



「麦わら屋を敵にまわすのはそんなにヤバいのか?」


「ヤバい!ものすごっくヤバい!世界政府敵にまわすよりも絶対にヤバい!」


「そこまでいうのか。わかった。麦わら屋をなるべく敵にまわさねえように立ち回る。それよりも今は目の前のこいつらの相手をするぞ」



私の説得はどうやらキャプテンに効いたらしい。兄貴たちを敵にまわさないようにすると言質は取った。よっしゃー!これで最悪のシナリオからは脱出できたぞ!キャプテン中ボス認定、そしてやられましたエンドは防げたぞ。ナマエちゃんがんばった!でもまだ最低のシナリオの中にはいるけどね!兄貴が絡むことでろくなことが起きたためしがない。最善はこの島から出ることです。

麦わらの一味と子供たちの足音が遠のきケムリンと向き合う。ケムリンは十手を構えてた。キャプテンも鬼哭を抜いてるしやる気満々だ。私はすっと一歩後ろに下がる。うん、だって戦いにまきこまれたくないもん。

船を返せというケムリンにキャプテンは軍艦を真っ二つにしその場に落とした。氷塊やら船の部品やらがルームの中を飛び散り中は非常に危険だ。あれ当たったら痛そうだな。風になっておこう。

キャプテンは海兵たちからでんでん虫を奪いぽいっと私の方に放り投げた。うわっ、大量ですね。その一つを手にとる。これで通信ができるのだから不思議な世界だ。



「おいナマエ。そいつを奴らに取り返されないように見張ってろ」


「了解です!」



キャプテンから指示が出たのでびしっと敬礼をして答える。そうそう、こういう危険度の少ないお仕事がしたいんだよ。キャプテンもわかってるじゃないか。戦闘は任せました。頑張れキャプテン!

最初にたしぎちゃんがキャプテンに切りかかってきたがすぐに切り捨てられてしまった。斬られたのに息しているなんて屈辱だというたしぎちゃんにキャプテンが弱い奴は死に方も選べねえという。女の子に対していう言葉じゃないだろキャプテン。お前には血も涙もないのか。ひでえ。最低ぃ。この人でなし!腹が立ったので周りの海兵と一緒に野次を飛ばしてみたが睨みつけられたのですぐやめる。やだなキャプテン冗談ですよ。そういってもキャプテンの目つきは鋭いままだった。めっちゃ怖いです。

たしぎちゃんにとどめを刺そうとしたキャプテンの刀を受け止めて続けてケムリンとの戦闘が開始される。絵面だけ見るとケムリンがヒロインのピンチに助けに来たヒーローでキャプテンが悪役に見えるね。なんか不思議とケムリンを応援したくなるよ。ケムリンがんばれー。

キャプテンとケムリンの戦いは激戦だった。飛んだり跳ねたり回ったり、字面で見ると楽しそうだが実際は船の破片と岩と氷が飛び交う中で行われる激戦です。手貸した方がいいのかなとも思ったがめんどくさ、ゲフンゲフン。私はキャプテンを信じてるので大人しく見守る。キャプテンは強い子なので大丈夫です。

やがてキャプテンがケムリンから心臓を抜き取り戦いは終結した。あのケムリンに勝っちゃうなんてキャプテンただのヤブ医者じゃなかったんだ。キャプテンかっこいいぞ



「お疲れ様ですキャプテン!」


「ああ。お前本当にまったく手だししねえんだな。スモーカーと能力の相性いいんだから手伝おうとか思わないのか」


「私はキャプテンを全面的に信じておりましたのでそのようなこと思いもしませんでしたわ」


「その口調うぜえ。まあいい。いくぞ」



キャプテンは懐にケムリンの心臓をしまうとすたすたと歩きだした。私も後に続く。

はぁー。取り敢えずケムリンに勝てたのはいいけどこの島にはルフィという核爆弾がいるからな。キャプテン説得して心臓取り返してさっさと逃げないと。

なんて思って建物の中に戻ろうとした瞬間おーい!と聞こえた声に心臓が飛び出そうになる。ぎょっとして思わず振り返った。こ、この声はッ!



「おーい!やっぱりナマエじゃねえか!ひさしぶり!エースを助けてくれてありがとな!それとお前よくも俺の妹をさらったな!ぶっとばしてやる!!」


「・・麦わら屋か」



声のする方を見ると下半身ワニの茶色いひげのおっさんに乗ったルフィと残りの一味がやってきていた。どうやらヤバい状況はまだまだ続くらしい。


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