少女A(OP)
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ロリコン隈の目に拐われてから暫くの時が経過した。
ぶっちゃけ海の下だと時間の経過が分からないんだよね。くっちゃ寝してたけど今何時だろ、あれ?これって肥満コース?
取り敢えずボーッとしながらぺたぺたと船内を歩き回る。最初は見知らぬ船でびくびく怯えていたが今では寝間着て船内うろつけるくらい図太くなった。なってはいけない領域が図太くなった気がする。女子力が低下しています。
そして今日もクマ柄のパジャマを着て船内を歩き回る。ご飯食べたいんだけど食堂どっち?
「あ、ナマエじゃん。また寝間着でうろついてるのか?服に着替えてこいよ」
「やぁ、シャチ。服は着ようにもないんだよ。海の中だからか全然乾かないんだ。だから無理」
「つなぎを着ればいいじゃん」
「やだよ。あのつなぎ『ハート海賊団』てのを自己主張しまくりだもん。恥ずかしいわ。てか、洗濯物干したいから海上に出てよ」
「そのつなぎ着てる俺に向かって面と向かってそんなこというなよ。うーん、海の上でるのはナマエに逃げられちゃうからダメって船長が言ってた」
「っち、」
上手く誘導して海の上に出させようとするがそううまくはいかないらしい。ちくしょう、いつまでも怪しい医者のいる船になんか乗っていたくないのに。てか、海の中ガチで暑いから外出たい
「ちぇー、じゃあ食堂の場所教えて。お腹すいた」
「ああ、それならいいぜ。ちょうど俺も昼飯食べようと思ってたから一緒にいこう」
せめて食堂の場所を教えてもらおうと思ったらシャチは快く引き受けてくれた。ハート海賊団っていい人間が多いよね。シャチとかペンギンとかベポとか。船長以外みんな大体好きだ
そう言えば今って昼なんだ。がっつりさっきまで寝てたわ。いかんいかん、確実にニートコースを歩んでる。
シャチとともに食堂に行くとパラパラと人がいた。その中でつなぎを着たしろくまがいらっしゃったのたで側に行く
「やっほー、ベポ。相変わらず可愛いね。何食べてるの?」
「あ、ナマエこんにちは。今起きたの?これは今日のシェフのオススメの魚料理だよ。おいしいよ」
ベポに声をかけるとそう返された。フレンドリーなクマだ。マジ可愛い。ハート海賊団最大の素晴らしいことはこの癒し系クマがいることだ。愛してます、ちょっと今は暑苦しいけど
「おお、いいね、魚料理。私もそれにしよう!」
「俺も魚にするか。俺が取ってきてやるからナマエはここに座っとけよ」
「マジで?やっふー!シャチ優しいな。ありがと!」
シャチの好意に甘えてベポの隣に腰かける。ハート海賊団の人って本当にいい人ばかりだ。もう乗っててもいいかな、とほだされる今日この頃。船長がアレじゃなければ本当に最高だ。
ベポとおしゃべりしているとシャチが魚の乗ったお皿を2つ持って帰ってきた。3人で和気あいあいとご飯を食べてるとそこにぱたぱたとペンギンがやってきた。
「あ、ナマエここにいたのか」
「おお、おはようペンギン。今日の魚料理はまじオススメ。クリーミーでおいしいです」
「そうなの?じゃあ俺もそれにしよ。それはそうとキャプテンが呼んでるから早く行けよ。船長室にいるから」
ペンギンの言葉にゲッ、と表情を歪める。そりゃ最も嬉しくないお知らせだ。あの陰気な医者に会ったらどんな目に遭わされるかわからん。お腹痛くなってきたよ。体調不良でサボれないかな
「アイタタ、お腹が痛い。ダメだペンギン、私はここまでだ。後のことは頼んだ」
「いつとくがナマエ、キャプテンは医者だぞ?体調悪くてもどっちにしろキャプテンのとこ行かないといけないからな」
確かに!とペンギンの言葉に納得する。仮病が使えないとは嫌な船だ。生理痛とかでもあの船長平気で呼び出してくるんだろうな。女の最大の切り札が使えないとはなんたることだ
「はぁ、嫌だな」
「ナマエはなんでそんなにキャプテン嫌いなの?」
「だって怖いじゃん」
「まあ確かに厳しいけどいいとこもたくさんあるんだぜ?」
「それにキャプテンって格好いいじゃん。何が嫌なんだよ?」
顔がロリコンなとこです。っていったら流石に怒られるかな。こいつらロー厨だし。
あの男に関することだけはこいつらのこと信用していない。だってこいつらドMだもん。そりゃドSな船長とは気が合うだろうよ
身体バラバラにされても気にしないとか私には理解できん。調教されとるぞお前ら。気づけ
取り敢えず隈の目医者に呼び出されたのなら仕方ない、行くしかない。残ってたご飯を掻きこみ立ち上がる。
「ごちそうさま!はぁ、じゃあ行ってくるよ」
「行ってらっしゃいナマエ」
「ああ、キャプテンによろしくな!」
食器を片付けてベポ達に見送られ食堂を後にする。
船長室は食堂から遠いので小走りで船内を駆けた。遅くなるとどんな言いがかりをつけられるかわかったもんじゃない。はー、憂鬱
船長室につくと呼吸を整えノックする。
すぐに『入れ』とローの声がしたのでドアノブを捻り中に入った。
「よう、遅かったじゃねえか」
「いやいや、伝言聞いてから最速できましたよ!言いがかりは止めて下さい!」
「ふん、まあいい。取り敢えずこれを見ろ」
そういって投げ出されたのは新聞だった。どうでもいいけどカモメが届けてるはずの新聞をどうやって手に入れたんだ?まさか船浮上してたの!?チャンス逃した!!
「浮上してたのなら教えて下さいよ!ああ、外に出そびれた!」
「なんでわざわざお前を逃がすようなことしなきゃいけねぇんだよ。いいからそれ読め」
反抗するもすぐに諌められたのでしぶしぶ新聞を手に取り中を読むとルフィがうつってた。
何でも海軍本部に乗り込み鐘を鳴らしたらしい。何してんのこいつ?せっかく逃げれたと思ったのにもっかい戻りに行くなんて。馬鹿だと思ってたけど馬鹿だったのか。
「アホ兄貴。何してんだこいつ。目立ちたがり屋なのは知ってたけどなんかアホ過ぎて理解できん」
「麦わら屋の行動はお前にもわからないのか。まあいい。お前に読ませたいのはそっちじゃねえ、こっちだ」
ローに指さされたところに視線を向ける。そこにはデカデカと私の顔が張り出されていた。は?何で私の顔が写ってるの?肖像権の侵害で訴えるぞ
読んで見ると『最悪の血筋ポートガス・D・エースとエニエスロビー等で問題を起こしたモンキー・D・ルフィの妹、ミョウジナマエに賞金100,000,000ベリーが懸けられることが決定して』って、
「えええええーー!?何これ!?1億ぅ!?はっ!?えーーー!?」
思わず新聞にへばりつくが何度数えても0は8個有りやがる。何で?掲示ミス?1億はないだろ?ルフィの初期でも3000万ベリーだぞ!?
「なんで?なんで?ありえねえ!!」
「そりゃ頂上戦争で兄貴助けちまったしオマケにロギアの能力だったらそれくらいの値はつくだろうよ」
ローの言葉に改めて自分のしてしまったことを認識する。
そんなにやらかしてしまったのか。オワタ
ちくしょう、あんなくそ兄貴なんか助けるんじゃなかった。イヤ、でもそれは後味悪いし。てかそもそも捕まるなよ馬鹿兄貴!
自分の現状にリアルorzとなっているとさらにローが追い討ちをかけてきた。
「この額なら将校が動く。お前のしたこと考えると大将がやってきてもおかしくねえ」
「ぐはっ!マジか。てか大将?大将くるレベルなの?ギャアァァーー!!」
大将ってあのヒエヒエしたりピカピカしたりマグマグしたりする人々のことだよね?なんという人生ハードモード。これは詰んだ。マジ人生終了です。うん、どうしよう
「ううっ、どうしよう」
「だから俺の船乗っとけばいいだろ?」
「え?」
半泣きで頭抱えていると聞こえてきたローの言葉に思わず顔をあげる。
ローの船に乗ればいい?するとどうなるんだ?
「俺の船は潜水艦だ。いくら大将といえど海の中までは追ってこれねえ」
「なるほど。大将って皆悪魔の実の能力者だもんね。ふむふむ」
「だから俺の物になれ」
ローの言葉に納得するが最後に聞こえた言葉にえ゛と反応する。
聞き間違い?なんか恐ろしい単語が聞こえたけど気のせい?と思ったらローがニヤリと笑っていて気のせいではなかったとガタブルする。
「俺の船に乗ってたら大将からも守ってやる」
「いや、でもその」
「断ってどうするつもりなんだ?1人で海軍から逃げ切れると思ってるのか?」
ローの言葉は正論だ。反論の余地はない。ないのだが
選択肢がドM海賊団に入ることorDeadってどうなの?いや、流石にここで断ったら監獄endか死亡endにしかならないのはわかってるんだけどさ、
ローになじられてるのを構われてると喜ぶ海賊団に入るのもどうよ。ホント救いがない。何処かに生存ルートありませんか?ありません(涙)
選択肢なんてあってないようなもんだ。だって死にたくないもん。もう仕方ない。覚悟を決めろ!女は度胸だ!
「よろしくお願いしますキャプテン!」
「いい返事だ。これからお前はハート海賊団の一員だ。取り敢えずコレを着ろ」
ああ、ついに海賊の仲間入りを果たしてしまった。清く正しく生きてたのに。ううっ
まああいつらの妹だった時点で無理だったな、諦めよう。
ハート海賊団はいいやつらだ。ベポはかわいいし皆優しいし、うんなんとかなるよ!
こうして私はハート海賊団の一員となったのだが取り敢えず渡されたつなぎがサイズぴったりだったので船長はキモいと思いました。
〜ハート海賊団での再出発〜
(ナマエ!船員になったって本当!?)
(本当だよ!これからよろしくベポ!)
(おお、よかったなナマエ!)
(これからよろしくなナマエ)
(よろしくシャチ、ペンギン!)
〜end〜
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