少女A(OP)

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アラバスタに着くとケムリンは直ぐに騒ぎが起きてる飯屋に行ってしまった。そのため私の手続きもできず解放されなかったので、たしぎちゃんに謝られたが気にしないでくれと苦笑いしておいた。

ケムリンが追いかけていった海賊うちの兄ですので。心の中で謝っとく。たしぎちゃんホントご免。

暫くするとケムリンが苦々しげな表情で戻ってきた。なんでも火拳のエースのせいで取り逃がしたらしい。おふっ。重ね重ねうちの兄がすいません。

たしぎちゃんがペコペコ土下座する勢いで謝ってくるので罪悪感が半端ない。なんかほんと申し訳ない。いや、たしぎちゃんは悪くないのでお気になさらずと返すとさらにナマエさん!優しいですね!ってキラキラした目がかえってくるからもうマジごめんなさい。許してくれ



「俺達が追ってる海賊がアラバスタに逃げ込んだ。今逃すと次何処で見つかるかわかりゃしねぇ。悪いがお前の調書はあとだ」


「あ、もうホントにお構い無く!全然待ちますので大丈夫ですよ!」



ケムリンが苦い顔でそういうので全力で頷いておいた。なんだろこの気持ち。浮気してる夫が罪悪感から家庭に優しくしてしまう感覚と似てる。そんな昼ドラのような体験したことないけど

その後ケムリンはアラバスタに着くなりさっさと海賊を探しに行ってしまった。

私は基本お留守番で大人しく残された海兵さんと待っていたのだが時々様子を見に帰ってきてくれるたしぎちゃんが何日も缶詰なのが可哀想だと言ってくれてボディーガード(という名の見張り)をつけるという条件で外出許可を取ってきてくれた。

留守中は借りてきた猫のごとく私は大人しくしていたのだが流石に部屋に何日も閉じ籠ってるのはしんどかったのでその申し出は素直に嬉しかった。

というわけで楽しい楽しい外出タイムだぜ!イエーイ!太陽の光を思う存分浴びれるの嬉しいぜ!浴び過ぎて干からびそうだけども!流石砂漠の国アラバスタ、外はサウナのように暑かった。なんかヒッキーでもよかった気がしてきた。この国気温高すぎです。

まあそれでも折角の外出なので美味しいもの食べてショッピングしてデザート食べてかき氷食べてあれ?食べてばっかだな。でも飯うま!

そんなこんなで自分的には充実した外出タイムを過ごしていたのだがふとでっかいワニの建物の側を歩いてると黒いスーツを着た男となんかごつくて毛深い男とボロボロな男がいた。なんかボロボロな男が電話して終わると黒スーツがそいつをぶん殴って止めをさした。ひでえ

で、その黒スーツの男なんか見覚えがある。

金髪にぐるぐる眉毛。あれ、ひょっとしてサンジじゃね?てことは横にいるゴツい男チョッパーか。人型可愛くない。ノーマルが一番可愛いです

そこではたと自分の横に海兵がいることを思い出す。やべ、これ取り敢えず暴行の現行犯じゃん。てか普通にマズイ。兄の仲間のとこに海軍連れてきちゃった



「お前!何故その男を殴った!!」


「おい、よく見ると麦わら海賊団の一味だ!捕まえろ!」


「な、海兵だと!?チッ、このくそ忙しい時に。取り敢えず逃げるぞチョッパー」


「ええええ!?何で海兵がいるの!?逃げるぞ!」



と、私の隣にいた海兵達はあっさり私を放置してサンジ達を追い掛けていった。これマズイよね?完全に余計なことしたわ。

確か記憶に間違いなければアラバスタ編ではクロコダイルに捕まったルフィ達をサンジが助け出すシーンがあった気がするんだけどコレじゃね?今クロコダイルに電話して誘きだしてたんだよね?ヤバいヤバいルフィの救出フラグ潰しちゃったよー!!

これどうなんの?サンジ来なかったらまさかのジ・エンドですか?マジで?どうしよう。

今からサンジ追いかけようか?いや追いかけたところで海兵を説得なんて出来ないだろうし下手したら私にも海賊疑惑がかかる。それは嫌だ

どうしよう。私が行くべきか?たぶんバナナワニくらいならヤれる気がする。いや待った!確かケムリンも一緒にいた気がするぞ?ということは

救出→ルフィに妹呼ばわりされる→ケムリンに海賊の妹とばれる→\(^o^)/オワタ

になるじゃないか!やべ、下手に助けられん。やっぱりここはサンジに助けてもらわないと!

ということでサンジ達が逃げた方向に向かって駆け出そうとした時ふと横のお店にお面が売っているのが見えた。

お祭りに使うような安っぽいお面だった。

…なんというかまあ魔が差したんだよ。










ビビはバナナワニ相手に1人で立ち向かっていく。しかし相手は海王類すら食糧とみなす好戦的なバナナワニ。結果は見えていた。



「うっ、」


「ビビー!頑張れー!でも逃げろー!」


「いや、どっちだよ!うわー!ビビ逃げろ!でも助けてくれ」



なんとかバナナワニの攻撃を避けるも巨体な割に中々のスピードを持つバナナワニから逃げ続けることも出来ず追い詰められていった。



「ぐるるるー!!」


「キャー!」


「ビビ逃げろ!」


「ビビー!」



その時だった。



「お困りのようですな」



バナナワニによって破壊された階段の上から声がした。皆が一斉に上を見るとそこには変なウサギのお面を被った人間が立っていた。顔はファンシーウサギのお面のせいで誰かはわからないが小柄で身体付きから女性だと推測された。

そのウサギのお面を被った人物はとうっとビビのいる地点に飛び降りると背後からビビを襲おうとしていたバナナワニに向かってビシッと指さす。



「か弱い乙女に牙を向けるとは笑止千万!女の子に優しくしろってママから習わなかったのかワニ野郎!女尊男卑万歳!1周回って来世からやり直りやがれ!」



そう叫びウサギのお面を被った奴が軽く手を振るとバンッと大きな音がしてバナナワニがぶっ飛んだ。

壁にめり込むバナナワニ。

そしてウサギのお面を被った人物はさっと地面に座り込んでるビビの手を取ると身体を支えゆっくり立たせる。



「ありがとう。あなたは誰なの?」


「私はうさちゃんマン!通りすがりの正義の使者だ」



そうビシッと親指を立てて宣言するうさちゃんマンをルフィを除く全員が残念な物を見るような目でみた。明らかに痛い感じの奴だ。ルフィは正義の味方だカッケーと騒ぐ。彼はある意味純粋だ。

いや、うさちゃんなのにマン(男)とか。センスないし檻のなかにいなければ変質者と殴ってたかもしれないくらい危ない人間にしか見えないのだが状況的にこの怪しげなお面野郎に頼むしかないので常識人代表のナミが口を開いた。



「ねえあなた。クロコダイルの手下じゃないの?私達の味方なの?」


「無論そうだ」


「ならこの檻の鍵食べちゃったワニ探してくれない?」


「ふむ、承知した。して、そのワニの特徴は?」



うさちゃんマンがそういうと同時に順番待ちしていたワニが大量に入ってきた。騒ぐルフィ達を尻目にスモーカーは口を開いた。



「三番目に入ってきたワニをしとめろ」


「え、どうしてわかったんだ?」


「てめえらの耳は節穴か?唸り声が同じだろ」



そういうスモーカーだがどう聞いても唸り声に差などない。皆変な物を見るような目でスモーカーを凝視するが今は助かったので黙秘した。

その後の展開は分かりきったものだった。うさちゃんマンがワニを仕とめると中からMr.3が出てきて檻の鍵を捨てやがったのでうさちゃんマンがボコボコにして鍵を作らせ皆で檻から脱出。

その際に出てきたルフィがうさちゃんマンに握手とサインを求めるがあれ?なんかあったことある?いやありません。みたいな会話をしていると壁が割れて水が入り込んできた。

皆が水に呑み込まれていく中うさちゃんマンことナマエは風で水を遮断しスモーカーを抱えルフィと別の方向から地上にあがったのだった。

水面からあがるときに水飛沫で二人の身体は濡れた。ポタリポタリと彼らの頭から水滴が地面に吸い込まれていく。

そして水に濡れたからか激しい戦闘によるものからか結び目が緩みナマエが顔を上げた瞬間お面が滑り落ちうさちゃんマンのお面の下が露になってしまった。

ばっちりスモーカーと目が合うこと数十秒。ナマエは両手をバンッと地面に叩きつけてそして額を地面に擦り付けた。



「すんませんでしたああああああああ」



うあああああ!やっちまったー!何で私あのお面とキャラを選択したんだ!もうこれ黒歴史!

いやでもほら、なんかお面つけたらテンション上がるじゃんか!男の子が戦隊物のオモチャ買ってもらったらへーんしーん☆とかやりたくなるでしょ?あれと同じだよ!自分で言って自分にダメージきた。小学生と行動同じって、終わってる。痛い。これじゃ厨二真っ盛りのガキじゃねえかあばばばばば

ケムリンは私の行動に呆れてるのかため息混じりに息を吐き出している。あの時の自分を抹殺してやりたい。



「何で彼処にいた?」


「たまたまぐる眉がスモーカーさん達があのワニの建物の中に捕まってるって言ってるの聞いて助けないとと思ってでも海賊に目つけられたくないから変装しようも思ったらあんなことになりました。ごめんなさいいいいいいい!お願いですから忘れて下さい!」


「何で誰かに言わなかった。見張りは?」


「見張りはぐる眉追いかけて何処かいっちゃいました!他に海軍の人見当たらないし緊急だと思ったのでやっちゃいました!ああああ!」



うわ、もう本当死にたい。いっそ殺してくれー!いや、死にたくはないな。それならいっそあの姿見たやつらを殺してやる。

てかこれケムリンの中ではどういう評価になってんだろ?どう考えてもいい印象ではないよね。終ったかも。ルフィとも関係もバレたらどうしよう。

びくびく震えながらケムリンの言葉を待ってるとポンッと頭に何かが置かれた。

不思議に思って顔を上げるとケムリンか私の目の高さと同じになるようにしゃがんでいてそして私の頭に手を置いていた。



「助かった。よくやった」



そういうとケムリンは立ち上がり私に背を向け海兵達を呼び始めた。

残された私はポカンと状況がわからず間抜け面をさらしていたが暫くして誉められたのだとわかりじんわりした。

これってアレねオトガメなしですか?うっひょー!やったね!やっぱり人は助けるものだね!恥ずかしいアホらしい思いしたけどよかったよ!いや、よくないけど!

今回のことでケムリンは私を評価してくれたらしく海賊船沈めたことも多目に見てくれてその日のうちに解放された。

その後私は直ぐにアラバスタを出て近くの島を目指した。

後の新聞でアラバスタが無事クロコダイルから守られたのだと知ったほっと息を吐いたがもうこれ以上原作変わるかどうかヒヤヒヤするのはごめんである。

まあ確かこの後のルフィ達の行き先は空島だったし私もこれ以上原作の知識ないのでもうこんな事件は起こらないだろう。

にしても怖かった。私のせいで主要キャラ全員死ぬとこだったわ。もうこれからは何がなんでもルフィには近づかないでおこう。本当怖かった。

色々あったがアラバスタ悪いことだけではなかったな。取り敢えず今の私のすべきことはこの手元にあるうさちゃんマンのお面を処分することである。


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