series(ブック)
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ローと暮らすにあたってローの持ち物を揃えることが必要だ。
取り敢えず服は近所に実家があるので(バイクで15分くらい)私がひとっ走りして取ってきた。ローを連れていくと間違いなく家族に誤解されるのでローは留守番させた。ごめんロー。でも私も家族に男に孕まされて逃げられたとは思われたくないんだ。
服に関しては私の性別は女であるが小学生の頃はやんちゃで男の子用の服ばかり着てたので問題ないだろう。
実際にローに着せても色目とかセンスとかは悪くなかった。本人も良いと言っていた。
‥ただ心なしか服が少し大きく見えるのだが、気のせいだと思いたい。いくらローが華奢な身体つきだとはいえ子どもの頃の自分がローよりでかかったとは思いたくないので。女としてのプライドが認めません。でも新しい服も買ってあげよう
その後二人で近所の100で細々したものを買って(歯ブラシとか。イチゴ味の歯みがき粉買おうとしたら怒られた)地元をぶらぶらしていた。
その際ローに何か欲しいものあるかどうか聞いてみたが全然何も欲しがらない。物欲のないやつ。欲しがらないと逆に何か買ってやりたくなるのだよね。
言葉のキャッチボールをし、何とかローが医者になりたいことを聞き出す。
この年から勝ち組コースを目指すとは恐ろしい子だ。いや、待て。大きくなったらお医者さんになってたくさんの人を助けたいからです!みたいな可愛い理由かもしれないぞ?と思って聞いてみると
「医者になったら戦闘になった時スムーズな手当てが出来るしあとヤるとき相手の急所もつきやすいだろ?」
「びっくりするほどゲスな理由だな。医者としての本来の機能を全く果たせてないぞ」
思いの外リアリストな答えが返ってきてぶっちゃけ引いた。ローってどんな環境でいきてるんだろう。少なくとも平和ボケした日本みたいな所ではないだろう。
ここで命は大切だから人を殺すために医術を学ぶのはおかしいと口にするのは簡単だが私はそういわない。
ローにはローの世界があり殺人が認められローが生き残るために医術が必要だというならば私に何かいう権利はないだろう。
「まあとにかく医療を勉強したいんだな。取り敢えず専門書は流石に無理だけどある程度のもんは本屋でも売ってるだろうから探そうか。あと、人体の急所だっけ?さすがにそれはわからん」
「‥止めねえんだな。」
「何を?」
「ナマエは平和ぼけした人間だから人殺しを懸念した発言をした俺を咎めるかと思った」
「変えるのが可能なら変えてほしいとは思ってるよ。ローと私は生きてる環境どころか世界も違うんだ。私の価値観を押し付けられないよ。」
ローは目を丸くして驚いてるが最初から怒られるかもと思ってるなら人体の急所知りたいから医者になりたいって言うんじゃない。
それとも叱られたくて言ったのか?まさかのドエム?
取り敢えず医学書探して本屋いくとまさかのローが字が読めないことが判明。え、そんなに頭いいのに字は読めないのと思ったらそもそもローの国では日本語は使われてないらしい。お前が今喋ってるの何語だよ。
と思ってローがいた国の文字を書かせてみたら英語だった。どうやらローのいた国では言語は日本語、文字は英語らしい。どんな世界なんだろ。激しく謎だ。まあいいや。
結局その本屋には英語表記の医学書はなかったでAmaz●nで買うことにした。ローはすまなさそうにしてたか別にネットで買うのってそんなに高くないんだよ?取り寄せたわけでもないし。個人的にはローに欲しいもの買ってあげれて満足である。
「ナマエは変な奴だ。」
「おいおい、聞き捨てならないな。どこが変だ。」
「普通は俺が人殺しの要素があるってわかったら止めるんじゃねえのか?そんなことはいけませんって。しかもそれをわかっててまだ俺を家に置いておくなんて正気の沙汰じゃねえ。」
追い出して欲しいのだろうか。
ローって賢そうなのに馬鹿だな。私を利用したいなら自分に不利益になることは黙ってればいいのに。これが誠実さから口を滑らせてしまったのかそれとも本当にバカなのかはしらないが私はそんなローのことが結構好きである。
「ローの周りにはいいやつが多そうだな」
「は?いきなりなんだ」
「いやだってちゃんと君に人殺しはいけないから止めなさいって言ってくれる人がいるんだろ?なら私が言うまでもないじゃん。いつかそんないい人がいる自分の世界にちゃんと帰れるといいな」
そういうとローは少し不満そうだった。追い出さない理由を言わないことが気になったのかそれとも他に気にくわないことがあったのかはわからんが前者なら答えは簡単に言える。君が子どもだからです。大人だったら通報してました。
子どもだから何かあっても対処できると思ったしあとはやはり子どもを追い出すことは気が引けるから。大人なら追い出してたね。私は全然お人好しではありません。
ローは子どものくせに考えすぎだ。元が頭いいから考える癖がついてて自虐的になってしまってるんだろうけど難しく考えるなよ。
私は君が子どもで私の家にやってきてしまった異世界人で君のこと好きだから一緒に暮らしてもいいやと思っただけなんだって。
だからローも助けてくれた大人がいたから甘えようと思えばいいんだよ。それだけでいいんだよ。
「ごちゃごちゃ考えないんでいいんだよ。」
まだ眉間に皺を寄せるローの頭をぐしゃぐしゃにかき混ぜてやる。ローは嫌そうな顔をしたがやめてなんてならない。
「君はただ助けてくれる大人に甘えればいい。それが子供の特権だ。難しく考えるなよ。」
そういってもローはまた考えこんでしまった。もうこれは癖だろう。考えたければ考えらばいい。でも私は甘やかすぞ
ひょいっとローをだき抱えおでこにチューしてみる。ローは驚いて目を見開いたので私は茶目っ気たっぷりに小首を傾げてみた。
「でも殺さないでね?」
自分でやっててなんだけど小悪魔ポーズって痛いな。26の女がやるもんじゃない。でもローは見開いた目をもとに戻しそしてニヤリと笑った。
「じゃあ俺のことしっかり面倒見ろよ」
「仕方ないから見てやろう。で、閣下今日の夕飯は何を食べたいですか?」
「和食。梅干しはいらねえ」
「ローって結構偏食っぽいよな。よくないぞ?というわけで今日のご飯は梅ゆかり飯です。」
「てめえ」
ローと軽口を叩きながら夕飯について考える。梅ゆかりのふりかけなんてないな。買いにいかないと
この小さな同居人との生活はまだ始まったばかだが意外と心地よい。
私はこの生意気な子供がなんだかんだいって好きなのだろう。
いつかは別れる間柄ではあるがその日までローは構い倒して甘やかしてやりたい。
取り敢えず今日のところは夕飯のためにローを連れてスーパーにいくとしよう。
嫌がらせも愛情の1つです。
〜end〜
(そんなに梅が嫌なら仕方ない。こののり●まを君にやろう)
(‥馬鹿にしてるだろ)
(イヤ全然)
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