少女A(その他)

□少女Aとマフィアの世界
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異世界にトリップするのは何度目だろう。そろそろ数え飽きたわ。

またしても異世界にやってきてしまった薄幸の美少女ミョウジナマエちゃんです。どうも。そろそろいい加減元の世界に戻りたいです。

今回もジョジョと同じく家ごとトリップらしく家庭環境はそのままだ。拠点があることを喜べばいいのか家族がいるのに元の世界に帰れてないことを泣けばいいのかどっちなんだろうね。そろそろいい加減新しい制服を着たいです。あの制服着るために受験頑張ったというのに私の努力はいつ報われるんでしょうか。泣ける

今回のトリップは前みたいに幼女に戻るほどではないが若返っている。この春から私は中学生になるらしい。ホントいつになったら私は高校にいけるんだよ。早く花の女子高生生活をエンジョイしたい。

さて、それで今回はどの世界にトリップしたかというと私の住んでいる町が並盛町で私の行く中学が並盛中学校といえばだいたいわかるだろう。はい、家庭教師ヒットマンREBORNの世界ですね。またしても戦闘のある世界かよ。そろそろ許していただきたい。

家庭教師ヒットマンREBORNの世界は最初はコメディ路線で主人公の沢田綱吉は苦労する代わりに世間一般的には平穏な展開が多いのだが後半からは世界の命運をかけたガチバトルが繰り広げられることになる。絶対に巻き込まれたくはない。

だが恐ろしいことに沢田綱吉の家庭教師のリボーンはツナをサポートするための人材を常に探していて、相変わらずふうふうの実の力を持つ私はそれを知られれば目をつけられること間違いないだろう。並盛生のほとんどはモブなんだ、私も一般人として埋没していたい!ということでふうふうの実の力を使わずひっそり生きていくことを決意する。早速沢田綱吉と同じクラスになってしまったけど。私の人生は前途多難だ。


そんなわけで沢田綱吉が転校生である獄寺隼人に10代目と崇められたりクラスの人気者野球部のエース山本武と親友になったりするのを傍目に見ながら私はひっそりと生きていた。沢田綱吉が彼の家庭教師に無茶な課題を突きつけられてヒイヒイいわされてるのに同情しながら過ごして気付けば1年が過ぎた。この辺りで私は油断した。

うん、だってあの凄腕ヒットマンに目をつけられることなく平穏に1年を乗り切ったんだよ!そりゃうかれもするし気も緩む。そしてさらに季節は春眠暁を覚えずと歌われるほどの春、お布団の中は暖かくてとても気持ちい。つまり何が言いたいかというと2度寝して寝坊してしまったのである。うばばばば

私は今全力で学校への道のりを走っている。入学祝いに買ってもらったちょっと文字盤が洒落た時計を見ると門が閉まるまでの時間は5分だ。私がオリンピック選手だったら間に合うかもしれない時間だ。つまり完全に遅刻なのだ。

私は全身から血の気が引くのを感じた。一時の幸福のために我が身を犠牲にするようなことをするんじゃなかった。たかが遅刻でなんでそんなに慌ててるのかって?ここで思い出してほしい。並盛中学の風紀委員長が誰なのかを。それにより遅刻者の憐れな末路がどうなるかを。

並盛中学では風紀委員が遅刻者の取り締まりをしておりそのトップは雲雀恭弥だ。雲雀恭弥は風紀が乱れることと群れることを嫌いそれを破るものにはトンファーによる物理制裁をくわえてくる恐ろしい人物だ。のちに沢田綱吉の守護者の1人となり守護者の中でも最強と謳われるといえばさらにその恐ろしさが際立つことだろう。雲雀恭弥の気の障ることをしてはならない。遅刻などしてはならないのだ。

遅刻者はトンファーにより咬み殺されそのまま校門をくぐることなく病院送りとなる。そんな恐ろしい攻撃は受けたくない。だが遅刻寸前である。

この状況を打開する策が私にはひとつだけあった。風紀委員は校門を見張ってる。ならば校門を通らず校舎に入ればいい。そう、私にはふうふうの実を使うという手段があるのだ。

今までリボーンに目をつけられないために自重していたふうふうの実の能力であるがこれを使えば空を飛び校門を通らずに校舎内に入ることができる。

リスクは大きい。だがリターンもでかい。一瞬悩んだが痛い思いをするのがいやな私は能力を使うことを決断する。だってあのトンファーってスイッチひとつでトゲが出てくるらしいじゃないか。そんなもんで殴られたら死ぬわ。

一応用心して周りに人がいないことを確認してから半透明になり空へ飛び上がった。半透明になった私は気配が薄くおいそれと発見するのとはできない。

空を飛びながら下を見ると風紀委員たちが校門を閉めている様子が窺えた。やはり地上をいけば遅刻しトンファーの餌食となってたのとだろう。私は自分の選択に満足しゆっくりと屋上へ降り立った。

地面に足をつけてガッツポーズをする。よっしゃー!私は最大の関門を潜り抜けたぞ!見つかったらどうしようかと思ったが風になった私はほとんど見えないから大丈夫でしょう!さあ、早いとこ教室に向かうとしよう。風紀委員の目からは逃れられたとはいえグダクダしている人目につく可能性が高いからね!



「ねえ、」



私がいそいそと屋上のドアに手をかけた瞬間だった。上から降ってきた声に私は背筋が凍るのを感じた。

え、これって見られた?確実に見られたよね。私がふうふうの実の能力を使ってここに来たのは確実に見られたわ。うん、どうしよう。この状況を放っておくのは確実にダメである。私が摩訶不思議な能力を持ってることを人に知られればリボーンに伝わりマフィアルートに引きずり込まれる確率が高くなる。マフィアなんか絶対にごめんだ。今回のトリップこそは穏やかな生活を送ってみせるのだ!

ならば目撃者の口封じをしておくべきだろう。ふふ、大丈夫だ。ちょっと痛いかもしれないが目覚めたときには記憶ごとすっきりしているさ。もう頭部を殴り付けて記憶を奪うしかない!食らえ!風弾ッ!!

私も度重なる異世界トリップでだいぶ脳筋になったらしい。だからといって戦闘好きとかになったりはしませんから。私は平和を愛する民族です。

そんなわけで振り向き様に風弾を放とうとした瞬間視界に入ったその姿にピタリと身体が止まる。

給水タンクのところにいたのは学ランを靡かせ黄色い鳥を肩に留めている風紀委員の腕章をつけた男だった。そんなの該当する人1人しかいないじゃないですかヤダー。え、なんでここにいるの?遅刻者の取り締まりしていたんじゃなかったの?理由はわからないけどとにかくヤバい。状況は最悪だ。だってそこにいたのはあの雲雀恭弥だったのだ。



「君どうやってここにきたの?さっきまで誰もいなかったよね。どんな手を使ったの?」



そういうとサッと給水タンクのところから飛び降りて雲雀恭弥は私の前にやってきた。おおおお、落ち着け。取り敢えずなんとかこの状況を誤魔化さなければならない。雲雀恭弥がいくら戦闘好きだからといって言語が通じないわけではないのだから誠心誠意心を込めれば意志疎通ができるかもしれない。なんか言い訳を考えよう。実は私は天使で天界からやってきたとかどうだ?仮に誤魔化せたとしても私の心に傷がつくのは間違いないからそれはやめておこう。自分を天使と言い張るのは流石に痛すぎる。

私がうんうん唸りながら言い訳を考えると雲雀恭弥は少し考える仕草をした後チャキッとトンファーを構えた。え、タイムオーバーですか?



「まあ君が何者かは後で聞くよ。取り敢えず遅刻者は咬み殺す!」



その言葉にああ、と納得する。そうだ、私遅刻してたわ。説得を諦めた私はくるりと後ろを向きダッシュで逃げ出すのだった。

だが本気の雲雀恭弥から逃げられるはずもなく殴られても風になり攻撃を受けることのない私は何故か奴の気を引いてしまい気付いたら風紀委員の中に組み込まれているのだった。



〜少女Aとマフィアの世界〜


(ううっ、なんでこんなことに)


(うるさい。じゃあ咬み殺されるのと風紀委員に入るのどっちがよかったの?)


(是非とも風紀委員にいれてください!)



ーendー

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