少女A(その他)

□1
1ページ/1ページ



目を覚ますと鎧やら旅装束を着こんだ人たちが大きな門に向かって一直線に並んでいた。そしてその周りには森が広がっている。


…はい、どうみても異世界ですね。またか、またなのかよ。ワンピース、ジョジョ、ハンターハンターの世界とトリップしてきたのだがまた他の世界に飛ばされたのかよ。いい加減にしてください。マジいつになったら元の世界に戻れるのだよ。

はーとため息辺りを見渡す。どうやらこのトリップも生活基盤のないトリップのようです。どの世界なのかもわからないし状況は最悪だ。とりあえずあの並んでいる人たちにここがどこか聞いてみる。ここはマグノシュタット への関所で中に入るには試験を受けないといけなくそれでみんな並んでいるらしい。マグノシュタット ?聞いたことがあるような気もするが思い出せない。どこだったっけ?だめだ脳みそが考えることを拒否してやがる。わからないけど仕方ない。ここでモダモダしてても物事は進まないので私も列に並び入国審査とやらをうけることにする。こんな何もないところにいるより人のいるところにいた方が何かと都合がいいだろう。森にいてもベッドもご飯もありませんから。どんな試験かはわからないけどふうふうの実の力は健在である。最悪のことにはならないだろう。

試験内容なんだろー。ペーパーだったら終わるなと思ってたら私の番が回ってきた。よし、さあカモン!と思った瞬間大きなハンマーが降り下ろされた。え、ちょっとまって。試験じゃないの?これ試験じゃないの?一方的に殴られるなんて聞いてませんよ?ヤバい避ける暇ないわ。風化します!



「ひぎゃあああっ!!」


「な、なんだ!?ハンマーがすり抜けたぞ!?」



風化した私の身体はあっさりハンマーを通したから私に痛みも怪我もないのだが思わず叫んでしまいました。目の前にハンマー凶器が迫ってきたらそりゃ叫ぶよね。仕方ないです。

ハンマーを持っていた衛兵とトンガリ帽子を被っていた試験官っぽい人とそして私の後ろで順番待ちしていた青髪の小さな男の子が驚いた表情で私を見ている。



「お姉さん何者なの?お姉さんの身体からはルフを感じないよ」



そう男の子がいう。え、ルフって?と聞く前にあの女を捕まえろ!あの魔導師を国内に留めておくのだという叫び声が聞こえてきて私はトンガリ帽子を被った人たちに連行されるのだった。








ここがどこの世界なのか判明しました。ここはどうやらマギの世界で私は今魔法国マグノシュタット にいるようです。マギか、マギも世界の命運かけて戦うバトルマンガだったよな。どうして私は戦闘系の世界ばかりトリップしてしまうのだろう。たまにはほのぼのした世界にトリップさせてよ。スポコンとか日常系とかさ。

マグノシュタット は現在周りの大国に睨まれておりいつ戦争が始まってもおかしくない情勢だそうで、優秀な魔法使いを逃がさないようにしていることが私が彼らに連行された理由だ。だが異世界人の私にはルフなどなく魔法が使えないことが直ぐに判明したのだがそれはそれでルフがない人間がいるのか!?魔法でないならあの槌がすり抜けたぞわけはなんだ!と彼らの知識欲を刺激してしまったらしくマグノシュタット に現在監禁されています。なんてこった。きてそうそう監禁プレイなんてちょっとマニアック過ぎませんか?なんで私の人生ハードモードなんだろう。イージーにしろとは言わないからせめてノーマルモードにしてくれよ。普通の生活を送りたいです。

まあとはいえ監禁という言葉を使ったけれど別に待遇は悪くない。まあ目の前で風になることを求められたり研究のためとかいってちょっと毛先持っていかれたりするけど3食おやつ付きでご飯が用意され部屋は広くて可愛いし衣食住に関してはいうことはない。1日ごろごろしているだけの生活です。こうして人は自堕落になっていくのか。明らかに社会不適合な生活を送ってますよ。うー、働きたくない。

そんなわけで取り敢えず快適な生活を送っていたわけだが問題が発生したのだ。いやまあ別に生命の危機に瀕するような問題ではないのだが乙女として看破できるものではなかった。単刀直入にいうと太ったのだ。ほら見ろよこの二の腕を。ぷにっと摘まめるだろ?うわわわわわーー!!

なんてこった!明らかに質量が増えてやがる!肉がつまめるレベルで増えてるよ!もはや体重計乗るのがハルマゲドンが地球にやってくるのと同じくらいの恐怖に思えます。ああどうしよう!他の世界では不本意ながら理不尽な運動によりどれだけ食べても太らなかったけどこの世界では違う。なんていったって私は食っちゃ寝しかしてないのだ。そりゃ太るよ太るに決まってる!今まで死亡フラグをなんとかするのに忙しくてあまり体型について気にしなかったけど乙女心は枯渇してないよ!豚にはなりたくないです!これはいかん。早急に手立てを考えねば!

というわけでトンガリ帽子を被った人たちに外に出たいと頼み込む。このままだと確実に肥えていくので取り敢えず日常的な運動から始めなんとか社会復帰しなければ!

マグノシュタット の人たちは私が外に出ることにあまりいい顔はしなかったが人をつけるなら街を見て回ってもいいといった。私の目的はカロリーを消費することだから監視つけられるのはいいけど無理矢理監禁しといてその上から目線はなんか腹立つ。ムキーッ!私に自由はないのか!とはいえ今監禁解かれても困るので口をつぐむ。ほら、私ただのただ飯くらいですから。

監視にはそれなりの魔導師をつけることになっていたそうだが私に会いたいという学生たちがいるらしく急遽その子たちが私の監視役になるらしい。私の監視なんかに時間を割くなんて心底時間の無駄だと思うのだがなんで私に会いたいんだろうね。わからんけどまあいいや。こっちだってムサイおっさんの監視なんかよりも年の近い若者の方がいいもんね。うんうん。



「やあ、僕はアラジン。門のところで会ったよねお姉さん」


「ティトス・アレキウスだ。アラジンの言葉を疑うつもりはなかったが本当にルフのない人間がいるのだな」


「俺はスフィントス。まじかよ。本当にルフのない人間がいるんだな」



というわけで来た三人組は3色のカラフルな頭をしていてそれぞれお名前がアラジン、ティトス、スフィントスだそうです。あ、はい。マグノシュタット の主要三人組ですね理解しました。ちょっと監視役はおっさんにチェンジしていただけますか?原作メンバーに関わりたくないので。

うわああああっ!なんで主要キャラが私に会いに来るんだよ!そりゃここマグノシュタット だし原作メンバーがいるのはおかしくないのかも知れないがだからといって私に関わりにくるなよ!こんな凡人の何に興味があってきたんだよ!どうしてこうなった!

いや、まて。門のところ?あの青髪の男の子は見覚えがあるぞ?確か入国の試験で私の後ろに並んでいた奴だ。お前がアラジンだったのか!そんなところでフラグ立ってたのね!予測できるかバカ野郎!

3人はガヤガヤと私にルフがないことについて質問し論議を始めた。いや知らないよ!どうして私にルフがないかなんてわからんわ!お前らだってなんで髪の毛が絵の具塗りたくったような鮮やかな色なの?とか聞かれたら困るだろ!それと一緒だよ!

そんな感じで私に関する議論でその日は終わった。いやお前らが知識欲旺盛なのはわかったから仕事しろよ。私を街に連れてってくれるんじゃなかったのかよおい。

それからなんだかんだいってマルガを加えて4人と仲良くなり魔法の街でキャッキャッと楽しい時を過ごしていたのだがついにその時が来てしまった。レーム帝国との戦争が始まったのだ。国中がバタバタと慌ただしくなる。

あー、戦争か。戦争。うん。死ぬほど逃げたい。だってこれレーム帝国との戦争だけでなくアルサーメンとの戦いも含まれてるんだもん。死亡フラグの乱立です。空飛んだら逃げられるだろうか。全速力でいけば巻き込まれずにすむかもしれない。

だがこの劣勢のマグノシュタット を、ほぼ半強制とはいえ養ってもらってたマグノシュタット を見捨てて出ていくって人としてどうよ?薄情じゃね?

正直、私は薄情者ー!と罵られるよりも命は大事何ですなにか?と思うタイプなので全力で逃げたいのだが今はマズイ。なぜならここにはアラジンがいるからだ。

マギは主人公が誰だかわかりにくいがアラジンが主人公の一人であることは疑いようがない。アラジンは主人公なのだ。この主人公に嫌われるのは死亡フラグと同じレベルで避けなければならない最重要項目なのだ。

なぜなら主人公は物語の中で絶対の存在なのだ。主人公補正という言葉が世の中にあることからもわかるように主人公というのは世界に優遇されている。彼が中心に世界が回ってるといっても過言ではない。

そんなわけでこの状態のマグノシュタット を放り出して逃げてアラジン『君って最低だね。軽蔑するよ』とか思われたらこの世界での人生オワタ状態になることは間違いない。だからアラジンに嫌われるのはマズイ本当にマズイ。

さすがにそれくらいで見捨てられたりしないと思うけど万が一という可能性があるから怖い。こういうことがあるから主人公組と関わりたくなかったんだよ!ここで私がモブならいなくなったとしても誰も何も言わなかっただろうに友情築いちゃってるから逃げにくくなってしまってる。ちくせう。もうどうしようもない。戦いに参加してる振りだけしておこう。どうせレーム帝国の攻撃は物理で殴るだけだからきっと私には効かないさ。うん、死なない。ああ、私今心の底から食べた実がふうふうの実でよかったと思ってるよ。物理攻撃効かない身体でよかったです。

そんなわけで戦場の末端にこっそり潜む。参戦はしないぞ!と思っていたはずなのに意外に巻き込まれていくことになるとはこのときの私はわかっていなかった。




[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ