少女A(その他)
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「いやさ、だってさっき奇抜なピエロに話しかけられたんだもん。生命の危機感じて思わず叫んじゃったんだ」
「それってヒソカのこと?」
「あー、確かにあいつはヤバいな。逃げて正解だよあんた。下手したら殺されてたかもよ?」
ヒソカから逃げたらゴンとキルアに遭遇してしまったのだが話してみると案外普通に会話が成立した。そりゃこいつら自身は割りといい奴らなのだから当然か。ただ一緒にいると周りが被害を被るだけで彼ら自身は面白くて愉快な子供なのだ。でも被害は受けたくないので適当なところで逃げよう。何があっても共に行動とかは嫌です。
3人でペチャクチャ話ながら階段を登ってると光が見えてきた。よっしゃー!地上だー!階段地獄が終わるのは心底嬉しいが危険はまだ去ってないのだ。ここの森は人を騙して喰らう人食いの森なのだ。なんでこんな恐ろしい森が存在してるんだろ。絶対にいらんだろ。焼き払っといてよ。
騙し合いは早速始まった。猿が化けた偽試験官が生徒たちを騙して連れ去ろうとしたのだ。ヒソカが投げたトランプのお掛けで騙される受験生はいなかったがレオリオとハンゾーの目が泳いだのを私はしっかり見たからな。
あと、ヒソカが投げたトランプが私の頬を掠めたんだけど偶然だよね?試験官の近くにいたからたまたま当たっちゃっただけだよね?私狙い打ちされた訳じゃないわね?はは。取り敢えず夜道には気を付けることにしよう
サトツさんが歩き出し再びマラソン大会が始まってしまった。今度は平地だけど足元がぬかるんでいて歩きづらいし色んな生き物が虎視眈々と私らを食べようと狙ってるし状況は最悪だ。兎に角サトツさんから離れないように心掛けよう。サトツさんから一度でもはぐれたらアウトだし霧に乗じてヒソカという名の通り魔が出現するからな。おお、こわっ!絶対にそんなもんに遭遇したくない
暫くすると後方から悲鳴が聞こえた。どうやら狩りが始まってしまったらしい。後ろの連中がごっそりいなくなっちゃっていた。そしてレオリオの悲鳴も聞こえたらしい。ゴンが逆走して霧の中に消えていった。レオリオの悲鳴なんて聞こえなかったんだけどゴンの聴覚はどうなってんだろう。気にしたら負けか。もはやゴンは人間じゃないだろ。
「ああ、あいついっちゃった」
「そうだね」
「ゴンのことちょっとは気にいってたから残念たな。まあ仕方ないや。一度はぐれたら俺でも戻ってこれるかわかんねぇもん」
ゴンのいなくなった方角を見ながらキルアが残念そうに口を尖らせる。大丈夫だよキルアくん。君の親友は常人ではないからすぐに戻ってくるって。本当に人間とは思えないよ。確かレオリオの香水の匂い辿って戻ってくるんだもん。ゴンは嗅覚もおかしいです。
暫くするとサトツさんが足を止めた。目の前にはなんかすざまじく大きな音が出てる建物がある。どうやら二次試験会場に着いたらしい。やっとついたか。疲れたよ。汗かいた、お風呂入りたい。
次の試験は12時から始まるらしい。ちょうどお昼時ですね、試験内容も料理だ。ところで私達のお昼ごはんはどうなってるの?試験の前に昼ごはん支給してよ。
ぼーっと試験会場である白い建物を見ているとキルアにクイクイっと腕を引かれた。見ると顔の腫れたレオリオの側にゴンとクラピカがいた。無事帰ってこれたらしい。そのままキルアに腕を引かれて3人のもとに駆け寄る。
「よ!もうダメかと思ったぜ?どんな手品を使ったんだよ」
「レオリオの香水の匂いをたどったんだ!」
「マジで!?お前犬かよ!!?」
ゴンとキルアは再会を喜び合い和気あいあいと話を弾ませる。レオリオとクラピカは次の試験の内容について話してた。
‥あれ?なんかいつの間にか私もこのグループの一員にされてないか?いやいや、待ってくれ!そんなつもりは微塵もないんだって!
こいつらと一緒にいるのはヒソカとランデブーする並みに危険だからいたくないんだよ!くそっ、逃げるタイミング逃したッ!いや、確か次の試験は豚狩りだ。その混乱に乗じて逃げるとしよう。
12時になり試験会場の扉が開いた。中にいたのは刺々しい頭にダイナマイトボディを持った性格キツそうな女性とお前は巨人族か!ってくらいデカイぶた顔の男性だ。メンチとブハラこの二人が試験官だ。
早速ブハラのお題が出された。豚の丸焼きだ。世界一獰猛な豚らしいが弱点は知ってるしこちとら能力者なんだからなんとかなるだろ。よしよし、気配を薄くしてっと。ではこの隙に主人公組とおさらばするぜ!
「豚の丸焼きか。じゃあ豚を探さないとな」
「だけど料理事態は豚を焼けばいいだけだから簡単だね。よかったー!」
「そうだな。ん?ナマエどこいくんだよ。ほら、早く行かないと試験官の腹がふくれちゃうかもしれねぇしさっさと行こうぜ」
「げっ!いや、えっと、私は、その、」
こっそり抜けようとしたら二人にあっさり捕まった。え、私今風の残像使ったのになんで見つけられるんだよ!お前らの感覚野生の動物越えてるだろ!
うわわっ!ヤバイ、なんとか誤魔化さないと!
「えっと、あの、あっちに豚がいる気がしてね、はは」
「そうなのか?じゃあそっちいこうぜ」
「え゛」
「うんいいよ。そっちに行こうよ!」
私の苦し紛れの嘘をあっさり信じた二人に引きずられて私は結局主人公組とともに狩りをするはめになった。なんてことだ。ヤバイ逃げるタイミング完全に逃したよ。
もう一回半透明になるか?いやこいつらにそれは効かないっぽいし意味はないぞ。うわわわっ!?どうしよう!??
と思ったけどいいこともあった。私も分の豚もゴンがついでに倒してくれた。
おお、ラッキー。正直この突進してくる豚の頭を叩くとか怖いしめんどいしヤダったんだよね。これは嬉しいぞ。
どうやら主人公組についていくのにも利点があるっぽいぞ。どんな利点かというとおこぼれに与れる。こいつらは合格するの確定してるもんな。一緒に行動してたら合格のルートを辿れるということか。なるほど、その発想はなかった。
いやまあでもやっぱり一緒にいるのは嫌だわ。合格できるかより命の危険度上がるほうが嫌だもん。ハンター試験は毎年あるが命はひとつしかないんだ。大切にしなければならない。
豚を丸焼きにしてブハラに差し出す。無事私も合格することができました。イエーイ
そして次はメンチの試験だ。試験内容知ってるけどメンチって性格キツいからヤダなー。まあどうせ試験はゆで卵になるのだから気楽にしてよう。
酢飯を口に入れながら私は自分にそう言い聞かせることにした。
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