少女A(その他)

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ザバン市についた。交通費なんてものは持ってないから勿論飛んできましたが何か?

到着してから定食屋さんを探す。確か立派な建物の近くにある地味な定食屋が試験会場だ。ナビゲーターがいないから自力で探さなければならなくてちょっとつらたん。でもナビゲーターがどこにいるかわからなかったんだもん。唯一知っているナビゲーターのキリコを頼るのはゴンに鉢合わせする可能性が高かったので止めた。主人公とのエンカウント率は少しでも下げなければならない。

それにしてもそれっぽい定食屋は中々見つからない。このザバン都市地味に広いぞ。え、困った。原作知識あるから余裕だろと思ったら全然余裕じゃなかった。どうしよう

うんうん唸ってるとふと見知った人影が視界に映った。

スケーボーを手に銀髪で小生意気そうな顔の少年がスタスタと歩いていく。あれってキルア?キルアだよね!ハンターハンターの二大ショタボーイの1人キルアくんではないか!

何を隠そう現世ではキルア派の私としてはテンションが上がる!うおおおおっ!めっちゃ美形!将来は間違いなくイケメンになると確信できるほど整った造形をしてらしてる。ちょっと写真撮らしてくれないかな。あとサインも下さい

と思ったところで正気に戻る。いかんいかん。確かにキルアはカッコ可愛いが奴は暗殺一家の跡継ぎだ。近寄っていいタイプの人間ではない。

生命は全ての感情を凌駕するのだ。キルアに会えたのはちょっぴり嬉しいが自分の人生には変えられない。ここは接点を持たないように大人しく過ごそう。うん。

キルアはスタスタ歩いていくとふと一件の定食屋に入っていった。キルアが定食屋に入るの似合わないなーと思って見てたんだけどよく考えるとあれ試験会場だよね?キルアもハンター試験受けてたし間違いないや。なんだこんな近くに試験会場あったのかよ。灯台もと暗しとはこのことだ。

私も定食屋に入る。中にはそこそこ人がいてキルアの姿はなかった。



「ご注文は?」


「ス、ステーキ定食で」



無愛想なおっさんに注文を聞かれたので原作知識をフル稼働させてそう答える。合ってるよね?合ってるよね?焼肉定食で合ってるよね?めっちゃ不安だわ。こんなことならキルアの後にすぐ続けばよかったわ。



「焼き方は?」


「弱火でじっくり」



そう答えると若いお姉さんに連れられ奥の部屋に通された。中ではジュウジュウと肉の焼ける音がしている。

どうやら正解らしい。よかったー、セーフ。英単語は覚えられないけど下らないことは覚えてられる都合のいい記憶力が役に立ったよ。私は席につく。ところでこの焼肉食べていいんだよね?

最近いいもの食べてなかったのでガツガツ食べる。なんか段々食い意地張ったキャラになってきてる気がするけど違うからね?私はおでぶキャラじゃないからね?生命維持に必要だからがっついてるんです。肉うめー

暫くすると地下につき私は口元を拭って外にでた。そこには厳つい奴等が屯していた。

係の人からナンバープレートを受け取り(100番だった)隅っこの方に移動する。皆目付きこええー!今さらながらとんでもないところにきちゃったよ。もう帰りたいです。

目をつけられたくないので出来るだけ気配を殺して印象を薄くする。ジョジョの世界で覚えた半透明になる能力が早速役に立ってるよ。役に立つような場面があることは悲しいが。

隅っこで体育座りしながらぼーっと待ってると続々と人が入ってきた。時々見知った顔もやってくる。

暫くするとトンガリ頭の黒髪の男の子と金髪で何処か中性的な美人さんと眼鏡をかけたおっさん風の青年がやってきた。

あれが主人公3人組だな。おっけー。あれらに近づかなければいいんですねわかりました。それにしてもレオリオ予想以上におっさんくさいな。アレが十代は詐欺だろ。

3人はトンパに話しかけられ下剤入りのジュースを貰っていたがうまくかわしてた。因みに私はトンパに話しかけられてない。風の残像がうまく機能してるんだなよしよし。

ジリリリと鐘がなって試験官が現れた。チャーミングなお髭にカールされた銀髪、あれがサトツさんか。原作読んでた時から思ってたんだけど実際みてもわからないな。サトツさん、あなたのお口はどこにあるの?

サトツさんが歩き出し皆もそれに続いて歩き出す。ハンター試験が始まった。一次試験は持久力を試すテストで二次会場までサトツさんについていければ合格だ。ふふふ、この程度の試験ワンピース、ジョジョと修羅場を潜り抜けた私の敵ではないなわ!

と思ったけど何時間も走り続けるのはやっぱりキツかった。これいったいいつまで走らなきゃいけないんだ?もうギブです。私はレオリオ以下かよ。うわっ、階段も見えてきた。もうこれはダメだ

というわけでこっそりふうふうの実の力を使うことにする。目立つからなるべく使いたくなかったが空を飛べば走るよりずっと楽に移動することができるので誘惑に負けた。まあいいか。試験官もただついてこいって言ってただけだしね!空飛んじゃダメとは言ってないもんね!よし、オッケー

とはいえあからさまに飛んで周りの注意を引くこともない。半透明になってた自分の気配をさらに薄くする。これでよし。今は階段登ってるところだから皆疲れてるだろうしバレないと思うけど用心は必要だ。

気配を薄くして少しだけ地面から足を離す。飛ぶっていっても堂々と飛んだりしないよ?ドラえもんみたいにちょっとだけ身体浮かせるだけです。ドラえもんって実は身体浮いているらしい。タケコプター使ってる時じゃないよ?常にです。ほら、ドラえもんって靴履いてないじゃん。だから土足でのび太の家歩き回ってるじゃないかどうなんだっていうクレームが来たらしく常に浮いているっていう設定をつけたらしい。浮いているから土足じゃないってただの屁理屈だな。あほな設定だ。まあドラえもんが浮いているかどうかはどうでもいい。大事なのは私が楽して試験を突破出来るかである。

ふふふ、やっぱり空飛ぶと楽だな。特に階段がマジ楽だ。これなら何の問題もなく試験突破できるぜイエーイと思った瞬間ぞくりと肌が粟立った。

寒気がして背筋が凍る。なんだこの感じ、嫌な予感しかしない。

わからないが視線を感じる。恐る恐る振り返るとそこには奇抜な格好をしたピエロがいた。ピエロは私と目が合うとニィッと笑みを浮かべた。ああ、ヤバイ。ホントにヤバい。絶対に目をつけられちゃいけない奴に見られた。



「やぁ、キミ今何かしたよね?気配が極端に薄くなってるし浮いてないかい?能力者かな、おもしろいね♢ ねぇ、僕とあそば」


「ぎゃあああああああああああッ!!!!!」



私は絶叫しピエロ野郎が何かいう前に全力で階段を駆け上がる。とにかく走りまくった。ピエロの視界にいたくない。

だってあいつヒソカじゃないか!ヒソカじゃないか!ハンターハンターの世界で関わりたくない男ランキングでぶっちぎりのナンバー1のヒソカじゃねぇか!

ヒソカといえば変態で戦闘狂でちょっと面白そうとか強そうとか思ったら直ぐに相手に斬りかかっていく傍迷惑な狂人だ。

こいつとだけは関わらないようにしようと思ってたのに目つけられた?ヤバい?もうやばたん?人生詰んじゃった?

うわあああああっ!どうしよう!もうなんでキャラとのファーストコンタクトがヒソカなんだよ!それならせめてレオリオが良かったよ!あいつ無害そうだもん。いやもうヒソカはあかん。早く忘れてくれることを祈ろう。

せめての救いはヒソカはこの試験でゴンというお気に入りの対象を見つけるということだ。ゴンの将来性と輝きに比べたら私なんてゴミみたいなもんだよね!私のことなんて忘れてさっさとゴンにラブアタックしてきてください。私は二人の仲を全力で応援してます

と、そうこうしているうちに先頭にきていた。軽やかに階段を登るサトツさんの背中が見える。

あー、先頭なんかにくるつもりはなかったけどまあいいや。試験官の近くならヒソカもあからさまの攻撃はしてこないだろう多分。

そう思いほっと息を吐いた時だった。2つのモノクロの髪が視界に映った。



「ねぇ、なんか急いで登ってきたけどどうしたの?」


「さっきの悲鳴もあんただろ?なんかあったのか?」



つんつんした黒髪を持つ少年と銀髪で猫目な顔の少年が話しかけてきた。あーあ、なんでこんなことになるんだろう。

どうみてもゴンとキルアだよ。誰か頼むから私のキャラとのエンカウント率を下げてください。


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