少女A(その他)

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また違う世界に飛ばされた。もういい加減にしてくれ


今度飛ばされた世界はワンピースの世界に比べたら元の世界に近い世界観だが明らかに外国なのに皆日本語を喋っているので異世界なのは確実だ。次はどこの世界だよ。

ここが何処なのかはすぐに判明した。この世界ではハンターという職業がありなると生涯安定した収入を得ることができる皆の憧れの職業らしい。

どうみてもHUNTER×HUNTERの世界だわ。オワタ

ワンピースの世界とどっちが危険が少ないんだろうと迷うくらいこの世界は物騒だ。

念とかいう超能力を使う集団がいるし蜘蛛とかいう殺人盗賊団がいるし人を補食するキメラアントとかいう昆虫がいるしとんでもない世界だ。

治安もそんなに良いイメージもないし最悪である。

経験則に基づくならある程度時間が経つと違う世界に飛ばされるっぽいので慎ましく暮らしながらその時を待つとしよう。できるだけ早く違う世界に行けるといいなー

そんな感じでハンターハンターの世界に腰を据える決意をしたのだがふと思った。

あれ?私お金持ってないぞ?


ワンピースの世界もジョジョの世界もトリップした瞬間から拠点があったので衣食住に困ることはなかった。だがこの世界は違う。いきなり見知らぬ街中にぽつんと取り残されたのだ。どうやって生きていけと?十そこそこの小娘に1人で生きていけとか酷くない?なんかどんどんトリップの質が落ちてきている気がする。もう本当におうちに帰してください。

取り敢えずこのままだと飢え死にする未来しかないのでアルバイトでも探そうとするがこれも上手くいかった。何処から来たの?親御さんは?とか聞かれて口ごもるとまさか流星街の人間か!というように疑われて心が折れた。こんな可愛くて華奢な女の子を前にしてなんで某盗賊団と同じ街の出身と思うんだよ!あの店主のゴミムシを見るような目が忘れられない。精神に痛恨の一撃が入ったわ。ヤダーもう働きたくなーい。ニートになりたい

だが現実問題として働かないのは本当にマズイ。でも働き口見つけるのが難しい。まさか異世界で戦闘以外で生命が脅かされるとは思ってなかったわ。でも本気で困った。どうしよう

そんな時ふと小耳に挟んだ。もうすぐハンター試験があると。

ハンター試験は現代人の私からすると非人道的な試験にしか見えない恐ろしの関門だがもし試験に受かったら一生安泰間違いない。

これはチャンスじゃない?確かに試験は難しいし命がけだが私は物理攻撃の聞かない風人間だ。どんなに非道な試験でも死ぬことはないはず、たぶん。

このまま何もせずじり貧で痩せ細っていくよりは一攫千金を狙ってハンター試験を受けてみるのもありなのかもしれない。

取り敢えず私はハンター試験の申し込みをし(文字が書けないので通りすがりのお姉さんに頼んだ)ハンター試験の受験票を受け取った。

受験票によると試験会場はザバン会場らしい。おや?と思いもう一度受験票を見る。この名前は知っていた。

これはハンターハンターの主人公であるゴンがハンター試験を受けた会場ではないだろうか?え、ひょっとしてこの試験って原作のアレ?あの試験なの?

ゴンが父親のジンを探すために初めて受けたあのハンター試験であるならこれはマズイ。何がまずいかというとゴンがいることがまずい。

ワンピースやジョジョの世界で学んだのは主人公という生き物は本人の意思の有無に関わらず周りを巻き込み事件を起こす誘発爆弾のようなものであるということだ。

別にゴン自身が嫌いというわけでもないしどちらかというとむしろ好きなのだが彼に降りかかる火の粉のことを考えると全くもって近づきたくない。主人公とはそこにいるだけで面倒な生物なのだ。

ゴンがいるならば試験受けるのやめようかと一瞬考えが浮かんだがでも考えようによってはこれはチャンスなのだ。

私は原作を知っている。ゴンがこれから受けるの試練のことについて知ってる。つまり試験内容について知っているということなのだ。これは圧倒的なアドバンテージだ。

試験内容を知っているから何処に危険があるかも知ってるし対策も立てられる。おそらくあの試験内容ならふうふうの実を使えば合格できるだろう。

だがその為には主人公のいる試験に挑まなければならない。リスクを避けるかアドバンテージを取るか、どちらを選ぶか迷っているときふと頭に過った。

次の試験まで生きられる生活能力が私にあるのかと。

私は無言で受験票を握りしめザバン会場を目指すのだった。


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