成り代わり(ブック)

□WJ2号(藤虎成り代わり女主)
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ドフラミンゴに飛ぶ斬撃を切り捨てる。庇いたくはないが今の私の地位的には致し方ない。

受け止めた刀からくる衝撃で相手がかなりの使い手だと悟る。流れ的にロロノアだろう。

やっと出会えたと思えばいきなり戦闘から始まるのか。数奇な運命だな。まあ私が海軍を選択した時点で決まっていたのだけど。

能力を使いロロノアを吹き飛ばす。手応えはあったけどどうせ大したことはないのだろう。彼らは麦わら一味なのだから



「なんてこった。賭博の盲目の女が海軍大将だった」


『なんだって!?海軍大将?!』



遠くから騒がしい声が聞こえてくる。麦わら一味が連絡を取っているのだろう。遠くでドフラミンゴが錦えもんからトラファルガーを奪取したのを感じた。

そちらは置いといて意識をロロノアに向ける。見ることのできないロロノアの姿に今日ほど目が見えないことを悔いたことないだろうなと思った。



「賭博場ではありがとう。でもどうやら恩を仇で返さないといけないみたいだ。因果な渡世だね」


「ッチ、海軍大将とは最悪だっ!!」



悪態をつくロロノアを見てると少し寂しい気持ちになる。立場はともかく個人的な見解で言えば麦わら一味は好きなのだ。

海賊でありながら彼らには正義がある。“昔”から彼らのことが好きだったのだ。だけど味方にはなれない。サカズキに怒られてしまうしね



「おい、行くぞ藤虎。俺についてくれば奴らの首はやるぞ」



ふわりとドフラミンゴの身体がトラファルガーを抱えて浮いた。この戦いの仕上げに入るのだろう。

だけど私はこの先の展開を知っている。彼はうまくいかない。そして彼の行動のせいでこちらも被害を被ってしまう。このまま彼について行けば何も変わらない未来が待ってるのだろう。それは海軍大将の“私”としてはよろしくない

刀を抜いた。それをドフラミンゴに向けて降り下ろす。斬撃はギョッとするドフラミンゴの手元にあたりトラファルガーの服を切り裂いた。再び地面に落ちたトラファルガーを見て苦々しげな表情をしたドフラミンゴが降りてくる



「おいおい、海軍大将が七武海に攻撃するとはどういうことだよ」


「トラファルガー・ローはここで私がもらっておく。私は君を信用していないんだドフラミンゴ」



刀の先をドフラミンゴ向けそういい放つ。“昔”からこの男だけは信用ならないと知っていた。最も知らなくともこんな男信用などしないが。

ドフラミンゴに反抗することによって下手したらドレスローザを落とさなければならなくなるかもしれないがかまわない。私は初めからそのつもりだ

その為にこれだけの海兵を用意したのだし責任を取れというならばそれも取ってやろう。ただしその場合はドフラミンゴ、貴様にもこのドレスローザでの罪の責任を取ってもらうことになるがな



「フッフッフッ、大将といえどこの俺に楯突いてただで済むと思ってんのか?」


「先に仕掛けてきたのは君の方だろドフラミンゴ」


「何のことだ?」


「部下達の記憶がなくなっている。とある犯罪者についての記憶だ。君の事情は知らないがこれは海軍への妨害行為だ。よって君を信用するわけにはいかない」



ドフラミンゴの表情が驚愕に変わる。心当たりはあるはずだ。だけれども私が覚えていることが腑に落ちないのだろう。当然だ、肉親だろが記憶を失う能力だというのに私は彼らを覚えているのだ。この現状を彼が理解できるはずがない。



「‥なんで覚えてんだ藤虎ァ」


「答える必要はないな。1つ言うなら君には私の記憶は奪えない」



“今”の記憶を失おうと私には“昔”の記憶がある。これは誰にも関与できない私だけの記憶だ。奪うことなどできるはずはない。

ピリッとした空気が流れる。覚悟ならできている。

私はこのドレスローザの戦いを終わらせるためにここに来たのだから。



〜将校の記憶〜



(麦わら一味を背に私はドフラミンゴの前に立ち塞がった)



〜end〜

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