成り代わり(ブック)

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あんまり深く考えてなかったけどやっぱり殺せないもんなんだな〜

こういうのを何て言うんだろう?主人公補正?

当然と言えば当然かな。これは君の物語で君は神様に愛されてるんだからね〜

そんな君に勝てるわけないので叱られない程度に仕事して手を抜きましょうか。

ね、麦わらのルフィ。ホント世界は君を中心に須らく回ってるな











「やぁ黄猿くん。相変わらず怖いくらい容姿が変わらないな。君が食べた実がピカピカの実ではなく年齢操作系の能力じゃないかと疑ってしまうよ」


「あははは。こんにちはレイリー。いやいや、わたしの食べた実は間違いなくピカピカの実ですよ〜?私は元々童顔なんです。だから変わらないなように見えるんですかね?」



ロロノアに止めを指そうとしたその瞬間何処からともなく飛んできたレイリーにそれを阻まれる。

確実にヤれると思ったのにやはりうまくいかないのか。

その後瀕死のロロノアを追いかけようとしてもレイリーに邪魔される。

やはり"原作"通り冥王の相手をするしかないらしい。世界がその通りにしか動かないことも時には煩わしいな



「そんなレベルの話じゃないさ。もし私がうっかり街中で君にあったら声をかけてしまうよ。そのくらい君は綺麗だ」


「冥王に誉められてしまったよ。わたしも貴方のことは海賊でなければアプローチかけてしまうくらい魅力的だと思ってるよ。あとは他の海賊を助けようとしなければね」



そういいつつ能力を使い剣先を冥王に向ける。
すかさず冥王も剣を抜き応戦してきた。

カキンカキンと刃の交わる音が辺りに響く。

こっちはロギアでそれなりの覇気の持ち主なんだけどな〜。それなのに剣一本で対応されるなんてあの剣なんなんだろね。それとも冥王のそれだけ凄いってこと?

ホントに困るな〜、ロジャー海賊団。まあ現状でわたしがレイリーを捕らえることなど出来ないのだから気軽にやりますか。

逃げていく麦わらの一味達を戦桃丸が追いかけていくのを見て身体の力を抜く。

これは冥王を足止めするだけのお仕事です。



「あっちもカバーしてやりたいがそうもいかないな」


「大将相手にそんなことまでされたらこっちの面目丸つぶれじゃないですか〜。それに何の問題もないですよ。わたし達の介入なくてもこの件には区切りがつきますからね〜」


「それはどういう意味かね?」



ちらりと遠方を見るとバーソロミュー・くまが現れたのが見えた。

ああ、物語が進む。

‥これってわたしの責任にならないよね?
くまさんの責任です。止められなかったことに対してなんのお咎めもないことを祈ろうか

軽快な音とともにロロノアが消えた。次々と消えていく麦わら一団にわたしと冥王も手をとめその成り行きを見ていた。

バーソロミュー・くまが冥王に何かを囁いていたけど麦わらに関することかな?

まあ、別に好きにしたらいいけどね〜

所詮この展開も神様の定める物語からなんの常軌も逸脱してないのだから


最後仲間を失い蹲る麦わらのもとにくま・冥王・わたしが集まる。邪魔するつもりはない。ただ成り行きを見ていた。



「それで最後かい?バーソロミュー・くま」


「ああ」



その言葉とともに目の前の麦わらは消えた。

逃げられたのだ。

これ以上ここにいる意味はないからとわたしはその場に背を向ける。

どうやって帰ろうか、飛んでいった方が早いな〜なんて考えてると背中越しにくまに話しかけられた



「俺のしたことに対してなんの発言もないのか?」


「君がどの陣営の人間だとしてもわたしには関係ないことさ。それに麦わらのルフィは元々わたしが捕まえられる相手じゃないよ〜」



そう言って顔だけ振り返りくまに向け語りかけるとくまは驚いた顔をした。

わたしが革命軍について匂わす発言をしたからかそれとも麦わらを捕まえられないと言ったことに驚いたのか、どちらかはしならいがくまの表情が変わったのは初めてみたよ〜

なんとなくにんまり笑うと今度は冥王の方が口を開いてきた。



「光人間のセリフとは思えないな。君はルフィ君達を捕まえる気はなかったのかい?」


「捕まえる気はあったよ。捕まらなかっただけで。麦わら達は捕まらないさ。だって彼らは神様に愛されてるのだからね〜」



そういうと冥王は眉を寄せる。くまからも困惑が伝わってきた。

あまり麦わらのことは口にすべきではないだろうが今はだれも本部に告げ口する奴等はいない。

なら少しくらい口が軽くてもいいだろう。



「麦わらのルフィはそう運命付けられてるんだよ。彼はいつか海賊王になってしまうだろうね」


「まさか海軍の大将がそんな言葉を口にするとは思わなかったよ。君は何を考えてるんだい?」


「別に何も考えてなんかないよ。まあ強いていうならただこの世界を見物していたいだけかな」



冥王と問答するのも楽しかったが戦桃丸がこちらに向かって歩いてくるのが見える。

そろそろ退散しようか。流石に身内に聞かせられる内容ではない。

首をもとに戻しくまと冥王に背を向ける。

帰ってセンゴクさんになんて報告しようか。取り敢えずわたしのせいではないと訴えてみよう。



「君は海軍らしくないね」


「そうだね。自分でもそう思うよ〜」


「ならなんで海軍になったのかね?」



その言葉に思わず振り替える。口元がつり上がるのがわかった。なんでそんな当たり前のことを聞くのだろう。そんなの、



「わたしが『黄猿』に生まれたからに決まってるだろう?」



ピカッと身体を光に変えてその場を去る。これ以上ここにいたら余計なことを喋ってしまいそうだ。いや、もう十分すぎるほど余計なことは喋ったかな〜?

戦桃丸を置いてきてしまったけど彼は強い子だから大丈夫だよね?一足早く本部に戻ろうか。

甘い和菓子と熱いお茶が飲みたいな。ガープさんの硬い煎餅はいらないけど。

高速で月歩を使いながら空を駆けていく。

この世界は既に定められていてそしてその先を唯一知るわたしが何もしなければその通りに世界は進むだろう。

だからこそ鑑賞するするにあたってこの世界は面白い。

変えるつもりはない。

このままの世界を"私"が好きなのだから。

さあ、じゃあそろそろ始めようか。

結末が決まってる悲しい兄弟の物語を。

頂上決戦はすぐそこだ



〜閲覧側の内情〜


(ネタバレは好物です)


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