成り代わり(JOJO&その他)

□インターハイ二日目 オーダーとヒメヒメ無双
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「鳴子、田所はいつから来てないんだ、」


巻島さんの言葉で皆が振り返る。そこにいるはずだった田所さんの姿はなかった。

はい、2日目のアクシデントが来ました!1日目は私が転けるし2日目は田所さんがいないし総北はイレギュラーだらけだな。まあこんなのが可愛らしく思えるくらいとんでもないアクシデントが3日目には待っているんだけどね。それは原作通りにならないといいなー。真波くんとガチバトルとか勝てるわけがない。

それより大切なのは田所さんをどうするかだ。鳴子くんがオッサンメカトラブルか!?と声をあらげているけど答えは違う。田所さんは身体の調子が悪いのだ。もう、ひとりで登ってくることはけしてできないだろう。

そのことを知っている巻島さんが悔しそうに表情を歪めると田所を置いていくと宣言した。当然鳴子くんから反対があがるがそれを叱責して田所さんの具合が悪かったことを告白した。鳴子くんも今泉くんも信じられないといった表情をしたあとぎゅっとハンドルを強く握る。誰も何も言わない、チームの方針は決まったのだ。あとはここで私がどうするかだ。

原作では坂道は田所さんを助けに向かった。だけれどもそれを私にできるか?昨日の100人抜きもものすごっく大変だったのにそれよりもさらに難易度の高い田所さんの救出を私にできるのか?

昨日の100人抜きは東巻という萌え(餌)があったから私の女子力(物理)が発揮されなんとかなったのだ。田所さんのところにいっても萌えは落ちてないだろうし、むしろ萌えだけを考えるのならば巻島さんに今泉くんに鳴子くんのいるこの場の方が多いのだ。この場から離れて田所さんのところへいくもいうことは私のモチベーションが落ちることにも繋がる。そんなことになれば田所さんどころか私すら戻れなくなるだろう。私は凡人なのだ。私には不調の田所さんを連れ帰る実力はない。

田所さんを見捨てなければならないということでチームの雰囲気はまるでお通夜だ。これが小野田坂道だったならチームを奮い立たせ田所さんを連れ帰るのだろう。あいつ本当に人間なの?どうやったらそんな神業的なことができるのですか?坂道の背中にも実は羽がついてたんですか?同じ名前を持っているというのに私にはできる気がしないんですけど。

主人公だからっていうのを含めても小野田坂道は凄い。だってあいつヒメヒメ歌いながら田所さんを引っ張りあげるんだよ?なんでここにいるのが小野田坂道本人じゃないのだろう。なんで私なんかがここにいるんだろう。坂道だったらきっと田所さんを助けに行けるのに、って、ちょっとまて。ヒメヒメ歌いながら助けるだと?誰が歌うの?もちろん坂道は歌うよね。でも、もうひとり、


田 所 さ ん も 歌 う よ ね ?


え、マジですか?この世界のヒメヒメはほのぼの可愛い系アニメじゃなくてがっつりBLなんですがそのOPを田所さんが歌うのですか?BLですよ?ベーコンレタスですよ?歌っちゃうんですか?ヒャッホーイ!

うわああっ!田所さんがあのがっつり男声帯でヒメヒメ言っちゃうんですか!なにそれ聞きたい!いや、でもそれ聞くには田所を引き上げに戻らないといけないんだよね?そんな無理ゲーに挑戦するのか私。全くもって帰ってこれる気がしないぞ?

だがしかし、このチャンスを逃せば2度と田所さんのヒメヒメコンサートを目にすることはできない。安全をとるか、萌えをとるか。

・・・そもそも原作では田所さんをきっちり助けているんだからここで展開変わるのもまずいよね!最後田所さんに引いてもらわないと総北勝てないぞ?なんだ、最初から選択肢は1つしかなかったのか。田所さんがヒメヒメ歌うしかなかったのか。

私はにやけそうになる顔をなんとか表情筋を駆使して留め真剣な表情を作ると巻島さんに直訴する。巻島さん!どうか田所さんのヒメコーラスを聞きにいかせてください!



「巻島さん、田所さんを助けに行かせてください!お願いします!」


「小野田、いくらお前でもそれは無理っショ。昨日のような100人抜きをもう一度やるっていうのか?昨日と今日では状況が違う。弱った奴を連れて走るなんて無茶だろうしそれにこれから先は平坦が続く。クライマーのお前が活躍できるところはない」



そういって巻島さんは首を横に振る。客観的にいえば巻島さんの言葉が正しいのだろう。ついさっきまで私もそう思っていた。だがしかし、田所さんがラブ☆ヒメを熱唱してくれることなどこの先ないのだ。それを聴き逃すわけにはならないのだ!

それに原作の小野田坂道だってできてたんだ。私もやればできるんじゃね?自分の限界がここだと諦めているのではないだろうか?絶対にやれる!頑張ればできる!要は気持ちの問題だ!私は絶対に田所さんを連れ戻して見せる!

たった1度しかないレアイベントのために命を張る生き物、それがオタクだッ!



「行かせてください巻島さん。金城さんに全員連れてくると約束したんです!」



が、ここで田所さんのヒメヒメ歌うところを聴きたいといっても送り出されるどころか絶対零度の視線をもらうことは目に見えているので坂道の名セリフをいってごまかす。まあ巻島さんに養豚場のブタを見るような目を向けられるのはそれはそれでご褒美なんだけどさすがに空気は読んでおこう。総北が優勝するまではチームの雰囲気を壊すわけにはいかないのだ。

私の熱意が通じたのだろう、巻島さんはクハッと笑うとさっと右手を翳した。そして田所を連れて戻ってこいという巻島さんにはい!と勢いよく返事をして私は速度を落として田所さんがくるのを待つ。

あー、ヤバい。にやけるのが止まらない。確か原作ではエンディングも歌ってたんだんだよね?うっひょー!テンション上がるぅー!はっ!そうだ!今のうちに田所さんとデュエットできるように喉の調子を整えておかなければ!ヒメ〜、スキスキ大好き〜、


そうして合流した田所さんにエンディングどころか二期のオープニングまで歌わせることができて私は非常に満足したのだった。


〜インターハイ二日目 オーダーとヒメヒメ無双〜


(・・・歌わなきゃダメなのか)


(はい!皆に追い付きますから(私のやる気とテンションを引き上げるために)歌って下さい!!)


(・・・ひめ、)


(うっひゃああああっ!CV.伊○さんのヒメごちそうさまですぅぅぅーー!!!)


ーendー

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