series(三角関係)

□恋愛戦争勃発中
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「…」

「…」


気まずい。あの電話から一時間後、海軍本部大将青雉の執務室に宣言通りやってきたジュラキュールさんに連れられて私はどこかの高そうな建物のいわゆるvipルームというやつに連れてこられた。流石七武海、権力者ですね。

お洒落でお上品な個室はいかにもいいとこのお嬢さんがティータイムに使いそうな内装である。じいや、今日の気分はダージリンのストレートフラッシュですわ、みたいな。いや、紅茶とか知らんけど

注文取りにきたウェイトレスにジュラキュールがエスプレッソ頼んでるのみて見栄はってカモミールとか言っちゃったけどカモミール結構クセつよい。おいしくない。メロンソーダのみたい

てかいい加減いつまで黙ってるんだよ。二人で黙りこくるとかコミ障か!誰かフォローして!クザンさん助けて!



「…俺の子を孕んだというのは本当か」



クザンさんに電波送ってたらいきなり話しかけられて思わずビクッと肩が震える。ちよ、いきなりはやめろ下さい。チキンハートが震えます。



「ふへっ?え、あ、そうです。たぶんジュラキュールさんの子です。」


「多分?」


「ひっ!いえ絶対です!」



ふへっとか何語だよ。もっと女子力高い悲鳴はでないのかよこの口はとか思ってたらそれどころではなかった。

何がお気に召さなかったのか空気が凍った。しかも右手が黒刀に添えられてるんですがどういうこと。命の危機しか感じません。



「そうか、良かった。」



ジュラキュールさんが黒刀を手放す。オッケーセーフ。命の危機は去った。



「俺以外の男の子供なら相手を切っていた」



…おふっ。これまだピンチじゃないの?下手な返答すると死人がでるぞ。世界最強剣士の切るは冗談抜きで恐ろしい。

この子のことなら気にしないで下さい。ちゃんと育てるんで。あと、別に責任とか気にしないで下さい。じゃ、バーイ

みたいな展開でいこうと思ってたのに全然言える空気じゃねぇ。マジ下手な発言出来ないよ。

落ち着け私。コマンドは命を大事にだ。死にたくはないからジュラキュールさんの発言にはイエスorはいでいこう。逆らってはダメだ。



「これを受け取ってくれ」


「はい!了解しました!」



ジュラキュールさんが差し出す青い小箱を受けとる。宝石でも入ってそうな箱だ。なんか結婚指輪とか入ってそう。

と、開けたら本当に指輪が入ってた。どういうこと



「こういうのは給料3ヶ月分だと聞いた。だからここ3ヶ月で狩った賞金首の額全てつぎ込んで買った」



世界一の剣豪が3ヶ月で稼いだ賞金額って凄そう。きっとあのひとふりは私の年収越えるね、私の給料薄給だもん
ごめん現実逃避してた。だってこの流れどう考えてもアレじゃん。アレだよ、



「俺と結婚してくれ」



そう本気顔で言われて私の顔がひきつった。ほらね!やっぱりプロポーズだよ。マジだよ!

やったね!ナマエちゃん!ついにモテ期がきたよ!えへへ、…どうしよう

落ち着けナマエ。よく考えるのだ。

今の状況を整理しよう。イケメンで高収入で権力者なジュラキュール・ミホークさんと一夜ともにしたら子供孕んじゃってそしたら給料3ヶ月分の指輪とともにプロポーズされたというわけか。好条件すぎて受けるしか選択肢ない気がしてきた。たぶん二度とないよこんなチャンス。

てか、なんで私なんだ?シンデレラストーリー過ぎて現実味なくなってきたわ



「どうして私なんですか?ぶっちゃけ責任感じてとかならいいですよ、結婚とかしなくても。でも出来れば養育費は下さい」


「いや、俺は本気なんだ。」



せこく養育費せびろうとしたらとんでもない惚れ気聴かされるはめになった。

曰くちょこまか働く姿が可愛かったとか文句を言いながらも一生懸命なとこが好きだとか淹れたお茶が美味しかったからとか、他人の口から好きなとこ語られるって恐ろしく恥ずかしいな。

でもジュラキュールさんも恥ずかしいらしい。目を閉じて顔を赤らめてる。なにこのおっさん可愛いんですけど。


「…一目惚れだった。好きだ。だからあの夜も食事に誘ったんだ。手を出したのはすまなかった。酔った君があまりにも魅力的で自制がきかなかった」


そう真剣な顔でいうジュラキュールさんは恥ずかしい奴だった。まったく!
ああ、顔が熱い。そりゃそうだこんなイケメンに口説かれたらときめくわバカ野郎!

喉がカラカラになってきたけどあるのは目の前の冷えきったカモミールだけ。こんな上品なものは飲めやしないよ。私はただのしがない一般人ピーポーだもん。




「…私はカモミールみたいな上品なもんも飲めないただの一般人ですよ?ちなみに好物はメロンソーダです」


「そんなことは俺がナマエを好きなこととなんの関係ない。だがナマエの好きな物には興味がある。メロンソーダとはなんだ?」



なんだ、と?メロンソーダも知らないのか鷹の目は。どんだけボンボンなんだよ、所詮メロンソーダは庶民の飲み物か。

けど、いいや。私だってジュラキュールさんのこと全然知らないし。



「今から飲みに行きます?オススメの喫茶店があるんです。」


「それはいいな、俺も妻の嗜好は知っておきたい。」



もう妻扱いだと?まだ受けてないぞ?受けるけどな!

もういいや。イケメンで高収入なちょっと可愛いおっさんだぞ?そらプロポーズ受けるわ。ラブストーリーが突然始まったって仕方ないよ!

さりげなく立ち上がる時手を取られ腰を支えられた。お姫様扱いか。そろそろきゅん死にするので許して下さい。



「ジュラキュールさんが紳士過ぎてそろそろ心臓が持ちません。爆発しそうです」


「それは困ったな。私もナマエの心臓を爆発させたくはない。それと、」



中途半端に途切れた言葉に?を浮かべジュラキュールさんを見るとよい笑顔で微笑まれなさっていた。



「ナマエもジュラキュールになるのだから是非とも名前で読んでほしいものだな。」



…ダメだこのおっさんひとの話聞いてなかったな。それとも確信犯か?喧嘩売ってんのか?そうですか。よろしいならば買ってやろう

だからなんで心臓がもたないといってるのにこのタイミングで名前呼びを要求するんだ!バカヤロウー!



「あざといぞ鷹の目。そんなこと言っても可愛いじゃないかちくしょう」


「ふむ、可愛いのは俺ではないが。さて、鷹の目でもないぞ?言ってくれナマエ」



囁かれるようにナマエを呼ばれる。ちくしょう声もえろい。なんか全てに置いて負けてる気がしてきた。いや、むしろ勝てるわけがないか。

そしてジュラキュールさんがキラキラした目でこちらを見つめてくる。はいはい言えばいいんでしょう。えっと、



「私も好きですよ、









イーグルさん」



ビシッと固まったジュラキュールさんの顔が絶望に染まっていてやっと主導権を取り返せたことに満足してる私であった。


〜恋愛戦争勃発中〜


(からのミホークさん)

(心臓に悪いから止めてくれ)

(それがあなたの妻なのです)


〜end〜

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