series(ブック)

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「ローすまないが今日は遅くなる。戸締まりはちゃんとして早めに寝ろよ」


「やけにめかし込んでんじゃねえか。男か?」


「いや、昔の友人に飲みに誘われて断りきれなかったんだ。本当思い詰めてるっぽくてな。て、こら。そんなセリフどこから出てきたんだ?マセガキめ」


「さあな。ナマエの教育の賜物じゃあねぇのか?いってらっしゃい」


「まあ!ママはローちゃんにそんな教育はしてないわ!んじゃ、いってきます」



ローと軽口を叩きながら家を出る。ローは朝苦手なのにいつも見送りをしてくれる。いい息子だ。お母さん嬉しいよ

今日は高校の時の友人に会うからがっつりメイクして服もいいもの着てお洒落してるんだけどローに指摘されてちょっと恥ずかしい。

でも昔の友人の前くらい少し見栄はらせてくれ。リアル生活は多分全部負けてるだろうから

そんなこんなで会社を出て指定された飲み屋に入る。

友達はすでに中にいて私を見つけると手を振ってきたのでその席についた。

お互いに酒を煽りながらポツリポツリ話を聞くに友達はどうやら育児で疲れ果ててノイローゼになってるらしい。

確か高校卒業と同時に社会人のイケメンの旦那捕まえて結婚してたから察するに5,6歳の子供の話か。一番やんちゃな時期の子どもだな。ローは大人しいけど



「もう6歳になるっていうのに全然言うこと聞いてくれないの。他のママ友さんの話聞くとこの歳になれば言い聞かせればちゃんと理解するっていうのに」


「やっぱりそういうのってしっかり叱らないとダメなんじゃない?○○○っておっとりしてるから子どもにもなめられてるんじゃないの?」


「でも、あんまり怒ったら子どもがグレちゃうって本にも書いてあったし。それに子どもに嫌われたくないの」



そう言うと○○○はしょんぼりと俯いた。昔から○○○はおっとりして優しい子だったからビシバシ叱れないのだろう。私からそんなやんちゃな子どもは即お尻ひっぱたくが。‥私の子どもはグレるのだろうか。子育てしたことがないからわからん。

って、今日は育児疲れした○○○をフォローすべきなのについ口を出してしまった。いかんいかん。今から全力だ援護射撃出すべし



「いや、でもやんちゃしちゃうのはお母さんにかまってほしいからじゃないかな?僕だけを見てーみたいな、」


「そうかな?」


「そうだよ!大体子どもってのは皆お母さん好きなんだよ。つい甘えたくても素直になれなくていつもは饒舌に話すくせに甘える時は黙って俯いて袖をぐいぐい引っ張ってきたりするもんなんだよ。だからやんちゃするのも構って欲しいだけかもよ?一度ぎゅっと抱き締めてみたら?」


「なんかナマエのアドバイスって具体的だね。ひょっとして子どもいたりする?」


「へ?あ、いや、姪の話。ほら、姉がもう結婚して子どもいるからその子の話」



友達に突っ込まれ動揺する。

やっべー。ついローのこと話しちゃった。お酒って怖い。すぐ口が軽くなっちゃう。別にはいってなくても口固くないけど

ローのことはこの友達に相談することは出来ない。てか、普通に異世界から来た子どもと同居してますなんて相談できる内容でない。いったら卒倒される。で、病院につれてかれるだろう。それはごめんだ


その後は適当に友達の愚痴を聞いて相づちを打っていた。

友達も取り敢えず吐き出せてすっきりしたという感じで今日飲みに付き合ったことに対してお礼を言われた。

飲み屋を出て別れて友達の背中をみて子育てって大変だなとしみじみと思う。それと同時にうちのローは手の掛からないいい子で良かったと思う。これノロケです。

家に帰るとまだ明かりが点いていた。ローがまだ起きてるらしい。前言撤回、ローは悪い子だ。お尻ぺんぺんしてやろう。



「ただいま〜。こらぁ、ロー。こんな時間まで起きて。だから隈が消えないんだぞ?」


「おかえりナマエ。うげっ、酒くせえな。寄るんじゃねえ。」



ローが本を閉じ手でしっしと追い払う仕草をしてくることに地味に傷つく。うう、酔っ払いは嫌われる運命なのですね。これからは控えます。



「今日は仕方なかったの〜。ごめんって。で、ローは何で起きてるの?今日は帰るの遅くなるってちゃんと言ったよね?」


「うるさい。そんなん俺の勝手だろ。酔っ払いのナマエに怒る権利なんてない」



そう言うとローは勢いよくソファーから飛び降りた。

え?何でローそんなに怒ってるの?まさか、反抗期?ごめん○○○、うちの子もやんちゃさんになっちゃった。助けてー!

ローは私の所まで歩いてくるとグイグイと服の袖を引っ張った。



「いいから寝るぞナマエ。」


「え?あ、うん。」



そのままローに誘導されて寝室に向かう。そしてローはそのままさくさくと一人でベッドの中に入っていった。

そして無言で自分の隣のベッドをバシバシ叩くローに私はピンときた。



「ローが起きてたのってひょっとして私と寝るため?」


「うるせえ、さっさと寝ろ」



そういうとローは不貞腐れて布団の中に潜ってしまった。おま、それは可愛すぎだろ。

どうやらローは私と一緒にいたくて起きて私を待っていたらしい。○○○、うちの子の反抗期はまだだったようです。良かった

にしてもローはなんでそんなに私と一緒に寝たがるんだろう?誕生日の我が儘もそうだったし

だが私的にもローからのお誘いはバッチコイなのでさっさと身支度してベッドの中に潜り込んだ。



「おやすみ、ロー」


「‥おやすみ」



私は私に背を向けて寝るローを抱き締めて眠りについた。

ああ、我が子はホントに可愛いです


(親馬鹿につける薬はなし)


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