series(ブック)
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朝起きたら隣に知らない男がいてぼーとした頭で昨夜のことを思い出してみる。あー、そうだ。確か昨日はカリファちゃんと飲んだ後裏道で適当な男引っ掻けてそのままその男の家に泊まったんだ。
外を見ると薄暗い。まだ日があがってそうたってはないのだろう。
今日は眠りが浅かった。お酒が入りすぎたのかもしれない。
ベッドを抜け出すと服を着て男の家をでた。鍵が見つからなかったので防犯のため窓から飛び降りる。ここが2階でよかったよ。
身体が辛いが今日も仕事だ。会社行く前に帰ってシャワーを浴びよう。
朝のウォーターセブンは清々しい。人通りも少ないし爽やかな気分になる。
しばらく歩くとふと見知った背中が前方に見えた。珍しい、早起きする人種には見えないのに
「おーい、おはようパウリー」
「ん?お、ナマエおは、ハレンチ!!」
振り向いたパウリーは私を指さすといきなりハレンチハレンチ騒ぎ出した。朝からうるさいやつだな。それに人を指さしちゃダメってならわなかったのか。ヤレヤレ
「私はハレンチなんて名前じゃないよ」
「そうじゃねえよ!てめえなんて格好してるんだよ!胸元隠せ!!」
そういわれて見るとさらけ出された胸元が赤く染まっていた。昨日のお相手は情熱的だったらしい。あんまり覚えてないけど
「あー、悪い。えっと、アレ?上着どこいった?」
「もういい!これ着てろ!!」
そういってバサリと被せられたのはパウリーの上着だった。少し煙草臭い。まあ有り難く借りることにしよう
「ふー、お前よくそんな格好で外歩けるよな。恥ずかしくねえのかよ。」
「こんな格好の奴なんていくらでもいるだろ。人を露出魔扱いするんじゃない。まあいいや。何でこんな時間にこんなとこいるの?散歩ってガラじゃないじゃん。」
失敬なことをいうパウリーをジロリと睨みながらそう聞くとパウリーは気まずそうにガリガリ頭をかいた。
「あー、最近通勤途中を借金とりに待ち伏せされててよ。だから早目に出勤してんだよ」
「あまりにもバカらしい理由に言葉も出ないわ。どんだけ不真面目な生活送ってんだよ。」
「不真面目なのはどっちだ!不特定多数の男とその、ふ、ふしだらな行為行いやがって!」
そう真っ赤な顔でパウリーは叫ぶ。今が朝でよかったよ。こんな内容人通りで叫ばれてはたまったもんじゃない。ハレンチはどっちだ全く。
取り敢えずどちらにしても近所迷惑にはかわりないのでパウリーの頭を小突いて静かにさせる。パウリーがイテッと悲鳴をあげたが無視だ。
「うるさい。早朝だぞ?大声を出すな。」
「だっ、だってよ、」
「それにギャンブル止めれないで借金とりに追われてる奴に言われたくないね。私がどう生きようと私の勝手だよ」
ちょっと強い口調でいうとパウリーはしょんぼりと項垂れた。言い過ぎた?でもこの生活に口だされても困る。
止めれないんだ。中毒なんだ。それなしでは生きられない。
自分でもまともではないのはわかってる。でも抜け出せない。寂しいんだ。
だから私はセックスに依存している。
「それでも、」
ぽつりとパウリーが呟く。ん?と思って顔をあげるとそこには泣き出しそうな顔をしたパウリーがあった。
「お前は女なんだから自分を大事にしてほしい。」
しょぼくれた顔は叱られてしょげる犬を連想される。パウリーって動物に例えるならゴールデンレトリバーだよ。絶対犬科だわ。残念私は猫派だから犬科のお前になんかほだされてやらんがな!
…ああ、全く!
「パウリーはいい男だね。」
「ななな、ハレンチ!」
「それもハレンチなのかよ。ヤレヤレ、だから君は童貞なのだよ。」
どど童貞!?というところでパウリーのキャパが越えたらしい。ばふっと音がして湯気が出そうなほど顔を赤くして金魚みたいに口をパクパクさせた。これ以上からかうのは可哀想だな。
クスリと笑い私はその場を離れた。結構時間くったな。シャワー浴びれるかな。
ホントパウリーはいい男だ。強くて優しくて純情で可愛くて、パウリーを好きになったら私は幸せになったのかもしれない。
でもどうしようもない。私が好きになったのはいい人のパウリーではなく悪い男のルッチなのだから。
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