gift

□Voice
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しくじった。
今の状況を言葉で表せと言われたら全くもってこの五文字がぴったりだった。

「…はぁ…」

荒い溜息を一つ吐くとナツはがくりと項垂れた。






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今朝見つけて引き受けた仕事。
その内容はとある研究所の壊滅ーーという極シンプルなものだった。

破壊、と名が付くからには盛大に暴れられる。
ただ“研究所の”の前に“怪しい”が付いていたが、別段深くは考えずにそこだけに興味を示したナツはすぐさま行く気満々となった。
渋るルーシィをなんとか丸め込みその“研究所”に殴り込んだのが今から一時間前のこと。

しかし、意気揚々と張り切っていた朝の気分とは真逆に、現在のナツの心情はただひたすらに後悔の念しかなかった。

やはりと言うべきか、この研究所。
“怪しい”と謳い文句が付いていただけあって、ありとあらゆる薬品…それも裏世界で取引きされるための新薬の開発が日夜行われている闇の研究所だったのだ。

幸い魔導士は居なかったものの、かえってそれが油断の原因となってしまったのは言うまでもない。
相手は常人だが、薬品のスペシャリスト達。
魔法を無効化する粒子状の薬品や、触れると痺れを伴う液体状の薬品などーーそれらを投げつけては、あの手この手でこちらの攻撃を躱し『今日だけはどうしても外せない用事がある』と同行を断ったハッピー不在のこの日の自分達をおおいに苦戦させたのだ。
そして既に満身創痍だったせいもあり、研究所内のそこかしこに仕掛けられたトラップにうっかり引っ掛かり気を失ってしまい…。

二人して捕らわれてしまった。



ーーというのが、現在までの状況だった。

気付いた時にはルーシィと二人、何処だか知らない壁も床も天井まで…全てが真っ白一色に塗り潰された狭い部屋の中にいた。

先の戦闘で受けた擦り傷はあるものの気を失っている間は何もされなかったようでこれといって目立った外傷はなかった。


ただーー









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