main

□ルーシィの黒い服
1ページ/3ページ

「なあハッピー、さっき見たやつをまた見た気がする感じのことをなんて言うんだっけ?」

お気に入りのソファに胡坐をかいてお菓子を食べていたナツが、急に質問してきた。

「静かだと思ってたら考え事してたの?あのナツが?」
「どーゆー意味だよ」
「だってナツが考え事するなんて天変地異の前触れだよ」

日向ぼっこをしていたテーブルから窓の外を見る。
よく晴れ渡った青空が、そこだけ一枚の絵みたいだ。

「ひでーなハッピー…。どーしても思い出せねえから聞いただけなのに」
「ごめんごめん。で、なんだっけ?」
「いあ…、喉元まで出かかってんだけどよ。なんつったっけ…デ…ブ?」

デブ?なにそれ?
ルーシィの前でだけは言わないほうがいいと思うよ。

なんかちげーな…とか言って腕組みをしたナツに、思い浮かんだ単語を言ってみる。

「ナツ、もしかしてデジャヴのこと?」
「おおそれだぁ!ありがとなハッピー!スッキリした!」
「よかったね」
「おう!」

……。
え?終わり?だから何?
そんなにお菓子のクズこぼしたらまたルーシィに怒られるよ?

「…ナツ。デジャヴがどうしたの?」
「ん?ああ。あれ」
「あれ?」

お菓子のクズだらけの指が差したのは、ルーシィがいつも小説を書くときに座る椅子。
あれって言われても…。
猫の目にはただ椅子の背に服が掛かってるようにしか見えないよ。

「あの椅子がどうかし…あれ?」

なんかどこかで見たような…。
ナツを見ると、な?って顔でまた腕組みをしてる。

「オイラも見た気がする」
「だろ?これ、朝見た光景なんだよ。俺も椅子に掛けてたやつ着て来たから」
「あ!あの時オイラもナツの横でお魚用意してたから見たよ」

グレイじゃないから脱がないし。
目の前のナツは今もちゃんと服を着てる。
いつもの黒い服。

「じゃあ、なんで俺の服が朝見たまんまであそこに掛かってんだ?」
「デジャヴだね」

ナツもオイラも訳がわからずに、しばらくそのナツの服そっくりな黒衣について議論しながら、この場に居ないルーシィの帰りを待つことにした。









次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ