main

□好きだけど好きだから
1ページ/1ページ

ギルドのみんなは家族だ。
もちろん、父ちゃんーーイグニールも大事な家族。
みんな大好きでみんな大切な存在。

俺にとってそれが全てだった。

けど、いつからだ?
みんな同じくらい大切だと思ってたのがいつの間にかあいつだけを一番大切に想うようになったのは。



ルーシィ・ハートフィリア


一緒にいるだけで安心する存在。
嫌なことがあっても笑顔一つで俺の心を満たしてくれる存在。
側にいないと…いや、今はもう目の届く所にいないだけで息もできなくなっちまった。
それぐらい俺にとってなくちゃならねえ存在。

それぐらい俺にとって、あいつが……ルーシィがいつの間にか俺の全てになってた。


楽し時も辛い時も、いつもルーシィが側にいた。
『当たり前』が『特別』に変わったら、もっと側にいきたくなった。

好きで好きでしょうがない。


不思議だよな。
ルーシィの前でなら全部さらけ出せるんだ。
弱音なんて…ましてや涙なんか人に見せるもんじゃねえって思ってたのに、ルーシィはどんな俺でも受け止めてくれる。


今だって、ほら。

俺の大好きな笑顔で俺の手を取ってくれてる。
この笑顔に、この手に、俺は何度助けられただろう。
こいつさえ居れば俺は何倍にだって強くなれるんだ。




















けどよ、これだけは無理だ。
手を取ってくれるのはありがたい。
嬉しくないのかと聞かれれば全魔力使ってでも嬉しいと答えられる自信はある。

だが無理なんだ…。
いくらそんな可愛い笑顔向けてくれたってーー
















「これだけは無理だ!」
「列車乗るだけで泣きそうになんないでよ」
「泣いてねえ!…泣いてなんかっ……」
「あーはいはい分かったから。ほら、これで涙拭いて。少しの辛抱だから我慢しなさい。ね?」







無理だ……。
大好きすぎて、この笑顔には勝てる気がしない…。








「はい…」




こいつとなら、地獄へだって逝ける。

…かも?










[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ