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□青い包帯
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リュックの中身をガサゴソと探っていたルーシィは心底困った顔をしながら後ろを振り返った。


「どうしよう…。今日に限って包帯忘れてきちゃった」
「んにゃ、だからいいって言ってんだろこれぐらい。ツバでも付けときゃすぐ治る」
「そうだよルーシィ、ナツは頑丈なんだからこれぐらいどーってことないよ」
「ダメよ!こんなに血が出てるのに……」


眉を下げたルーシィがきゅっと自分の胸元を掴む。


「だーいじょぶだって」


岩場の上に座ったナツは自分の剥き出しになった膝をちらりと見た後、俯く金髪をくしゃりと撫でた。





暴れ回る魔物を退治して欲しいとの依頼を受けて本日三人が訪れたのは、とある活火山の岟。


優れた身体能力からか、はたまた唯の野生の感かーー周囲の気配を素早く感じ取っていたナツが、到着早々襲いかかってきた巨体の腹部に炎を纏った右足で火竜の鉤爪を放った。

そのまま数百メートル吹っ飛ばされた魔物は木々を倒し大岩を砕きながら沈黙。

遠い位置からそれを目視で確認したナツが背後で呆気に取られていたルーシィとハッピーにVサインを向けた所で今回の依頼は呆気なく達成された。

ーーかに見えたが、最後の力を振り絞ったのか……魔物が吠えた咆哮が凄まじい爆風と共に三人目掛けて向かってきたのだ。

ハッピーは上空へ、ナツは咄嗟にルーシィを抱えて横に跳躍したものの、その時運悪く爆風によって砕け散った石片がナツの膝に当たり、怪我を負ってしまったのだった。








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