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□理想なあなた
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あたしはいつものカウンター席に座ってのんびりとした午後の時間をのんびりと過ごしていた。


右手にはさっきミラさんから受け取ったアイスティ。
「可愛いでしょ」と一緒に付けてくれた水玉模様のストローでカランコロンと中の氷をかき混ぜる。

左手には今朝買ったばかりのファッション雑誌。
何気なく開いた56ページ目ーー『あなたの理想の彼氏像Q&A』の特集が見開き一杯に書かれている。

左手の指は端っこをつまんだまま。

水玉ストローを離した右手で頬杖をついたあたしは正直ーー



さっきからそのページに釘付けだった。










思わず身を乗り出す。
乙女ってほんとこーゆーの好きなのよね……なんて考えながら、あたしと雑誌のにらめっこが始まった。


(なになに……)



Q⒈あなたが彼氏にするには?

A 元気いっぱいヤンチャな弟系
B 知的で優しい頼れるお兄さん系


(ーーいきなりその質問?!んー…知的で優しい人だったらなんでも知ってて色々教われそうだけど……元気いっぱいだったら毎日楽しく過ごせそうよね。あたしはそっちのほうが好きかな。

ーーうん。これはBかも。)



Q⒉あなたが彼氏にするには?

A ちょっと見上げないと目線が合わせられないくらい背の高い人
B ちょっと見ただけですぐに目線が合わせられるくらい背の低い人



(ーーこれ、Q⒉とか書く必要あるのかしら…。えーと……このBの背が低い人って自分にとっての丁度いい身長差、ってことよね。だったら絶対そっちのほうがいいかな。背が高いと首が疲れちゃいそうだし…。
ちゅうする時とか…大変、そうだし…。丁度よかったら…あのマフラーにも、ぎゅってできるし……って、なに考えてんのよあたしっ!

次よ次っ!)



Q⒊あなたが彼氏にするには?

A 草食系男子
B 肉食系男子



(ーーこれは…。どう言った意味で…?ま、まぁ、おとなしめな感じとガツガツした感じ、と言った所かしら。うーん……おとなしい、おとなしい…。あーダメだ。全っ然想像つかないわ。かと言ってガツガツっていうのもなぁ。どっちかって言うと、ドカドカって感じなのよねーあいつ。まぁそんな所もあいつらしくて好きだけど……)






などと、一人の世界に浸っているとーー


「あいつって誰?」
「あいつはあいつよ。ナ…、!?っえ?!」
「“ナ”……なに?その次に続く一文字は?」
「はっ、ハッピー?!」



いつから居たのか、カウンター上に開かれている雑誌の横で仁王立ちしたハッピーが、前のめりになったあたしと一緒にその一面を覗き込んでいた。


真っ赤になっていくあたしを見て、ニヤリと猫の口元が崩れる。


「もちろん“ツ”だよね?だって、完全に今マフラーって言ってたし」
「な、ななななんでっ…」
「あれ?もしかしてルーシィ、気づいてなかったの?」




ーーさっきの、全部口に出てたよ。





くふっ、と笑う青い猫の背後で、巨大な火柱が上がった。



瞬間ーー





あたしも、顔から火を吹いた。








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