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□一線交えよう
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「あ、おかえり。風呂場の電球切れかかってたからかえといたぞ」
帰宅早々いきなり視界の端に映り込んできた、上は桜色、下は肌色の物体。
「どっから出てきてんのよーっ!?この変態不法侵入者ーっ!!」
「ぐもーっ!?」
ーーに、ルーシィは即飛び蹴りをかました。
「なんであんたはこう毎回毎回人の部屋を好き勝手に使ってくれてんのかしら」
「よせよ、照れんだろ」
「今の褒めたんじゃないからね⁈…頬を染めるな!」
「お前今日も絶好調だな」
「はぁ…。あー…頭痛薬どこだったかしら…」
「それより喉乾いた。なんかくれ」
「あんたね…」
「だってルーシィ帰ってくんの遅ぇんだもん。さすがの俺でものぼせるぞ?」
「知らないわよそんなこと。しかもなにちょっとあたしのせいみたいになってんのよ」
「おう。ルーシィのせいだ」
「…殴るわよ?」
「ぅおい?!それ足だろ?!」
「ったく…ほんと、毎度のことながら懲りないわねあんた」
「いーじゃん別に。俺とルーシィの仲だろ?」
「どんな仲よ?!…はい」
「お、さんきゅ……って、甘っ!ルーシィこれ甘すぎっ」
「文句言わない。…で?あんた何しに来たのよ?」
「ん?んー、あれ?俺何しに来たんだっけ?」
「はぁ?あたしに聞かないでよ」
「うー、んー、むー…あ!思い出した!そおいや俺、お前と一戦交えに来たんだった」
「なんで?!…ていうか、なんで?!」
「いあ、俺もよくわかんねーんだけどよ、一戦交えりゃ分かるって言われたから来たんだ」
「わかんないのに来たの⁈てか、言われた…って、なに?誰に?」
「んん、マカオ。なんかさー、俺ここ最近胸んとこがモヤモヤすんだよ。んでそれをマカオに言ったらルーシィと一戦交えれば治るって」
「なにそれ?!意味わかんないんだけど?!てかあたしみたいなか弱い乙女に体力バカで化け物みたいなあんたと戦えっての?!」
「なんか色々ひでぇっ!けど、俺もそれ言ったんだ?なんでルーシィと戦わなきゃなんねぇんだって。そしたらよ…」
「そしたら?」
「ちげぇんだって。そーゆー戦うんじゃなくて、こう、なんつーか……んー…。口で説明すんの難しいから今から実戦すっけど…お前、暴れんなよ?」
「えっ?!ちょっと、なにする気よ!?」
「えーと、まずこーして」
「ちょっ!?聞いてる?!……え?きゃっ!」
「んで、ここに顔近づけて…」
「っ…?!…ナ…ツ…?」
「で、たしかこう言えって言われたヤツを……」
「…っ」
「…………」
「…?…ナツ?」
「……りぃっ…」
「え?」
「ちょっ…タンマな…」
「へ?…ぇっ?こ、このまま⁈」
「ぅう動くなっ!」
「え、なに?!どーしちゃったの?!」
「待っ!…今、顔、見れねぇ」
「は…?ぁ…え、うそっ、あんた…なんで顔真っ赤…っ…」
「…あー……俺、わかったわ」
「な、にが?」
「モヤモヤの原因」
「…?」
「最近俺…お前のこと考えるとモヤモヤしてたんだ。けど、それがなんでなのか…今、気付いた」
「な…に」
「俺…ルーシィのことが好きだったんだ。だから」
「……」
「だから……」
「…ナツ」
「…ん?」
「遅いのよ、バーカ」
ーーのあとに押し当てられたそこからは、さっき飲んだミルクティの味がした。