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□喧嘩するけど仲直り
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距離ーー約四メートル。
気配ーー抜き足差し足忍び足だからバッチリOK。
周りーーシーってやってるからみんな知らん顔してくれてる。
標的ーー立ったままこっちに背中向けてる金髪のあいつ。の膝裏。

ちなみに。

本人ーー後ろの俺には気付かない。












「とりゃっ!」
「きゃぁっ!」




立ったままカウンターでミラとレビィと話をしていたルーシィは後ろから忍び寄った俺の目論み通り、見事俺の膝カックンに引っかかってくれた。


かっかっか!
引っかかってやんの!


ーーなんてからかってやる筈が。



「ちょっ、なにやってんの?!」
「……タイミング逃した」
「は?」



まずった。
俺としたことが。
膝カックンしたはいいが肝心の自分の膝を引っ込め忘れた。

これは…倒れるもんかと踏ん張った足と変に力を入れた腹筋にかなり、くる。



それにーー



「ルーシィ……重、い」
「なぁんですってぇ!?乙女に向かってなんてこと!このっ、このぉ!」
「ゔぉ!?おも、い……けど、これはこれで筋…トレっ」
「あたしは重しじゃないっ!」
「おまっ、足をっ、浮かすなぁっ」




この状況。
いわゆる『空気イス』ってヤツで。
それも。
後ろに倒れてきたルーシィを膝に乗っけたまんま。





「ねぇ……。そろそろ、立ち上がるとかなんとかしなさいよ」
「お前が…どいてくんねぇと、動、けねぇ」
「はぁ?!ほんっとにもぉ!あんたは何がしたいのよ!」
「バっ、こっちに重心傾けんな!倒れるっ!」
「じゃぁどーしろってのよー!」





だってしょーがねぇじゃん。
今日に限って髪を結い上げてるお前が悪い。
頭の上で一個に……とか、別に珍しくもなんともないのに。
その珍しくもなんともない髪型のせいで露わんなってる白いうなじに気ぃ取られちまったんだからしょーがねぇじゃねーか。





「あ、そう言えば私、ジェットとドロイに仕事誘われてたんだったー。てことで私はそろそろ行くね、ルーちゃん」
「えっ、レビィちゃん?!さっき今日は暇だって…」
「私も料理の注文が入ったからそろそろ退散するわね」
「み、ミラさんまで?!てか退散、て…」
「じゃ、ルーちゃんまたねー」
「ふふ、ごゆっくりー」
「ちょっ!?一人にしないでぇ!」
「ルーシィ、動くなっ!腹、つるっ」
「知るかぁー!!」






作成ーー失敗?



いや。



くっつけたからーー成功……だよな?











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