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□とある四組の男女の日常
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mo様作
 →恋する乙女達のガールズトーク


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大きなグレイ様人形
小さなグレイ様人形
中くらいのグレイ様人形
大小・素材も様々なグレイ様人形がそこかしこに存在する部屋。

その部屋に、赤・青・黄の頭がそろっている。緋色の髪のエルザと金髪のルーシィ、クルンとはねるくせっ毛の明るい青髪のレビィ、そしてこの部屋の主、深い深海の様な青髪のジュビアだ。今日は、以前から計画していた女子会を開催している。それぞれに指名の依頼が入る為、予定が合うのは最近では珍しく、皆楽しみにしていたのだ。

ジュビアが淹れてくれたアールグレイの爽やかな香りが、優しく香っている。

最初はコショコショと話していた声も、いつの間に廊下に響くほどの声になり、レビィの告白に、皆の声とテンションが一気に盛り上がった。

「えぇぇっ!!!! やだぁ〜レビィちゃんすごいっ!!!」
「きゃーーー/// レビィさんやりますねっ」
「じょっ女子の方から、接吻なんて///」

 立ち上がらんばかりに、皆前のめりになり、視線をレビィに向けている。一斉に視線を集めたレビィは、タラリと額から汗を垂らしながら、手を前に出し前のめりになり過ぎているエルザの肩を押し戻した。

「ちょっ。やだぁみんな慌てすぎだよっ。接吻とかって……緊急事態だったし、ただの人工呼吸みたいなものでしょっ///」

そう言って、そっと自分の唇を一撫でするレビィに、少女たちは目を見合わせ、一呼吸置くと、一斉に頬を染めた。

「そんなこと言ったって/// くっ唇が触れたのよっ/// レビィちゃん」
「そうですよレビィさん。それも……好きな相手……ですよね?」
「うむむ……レビィに先を越されるとはな……もしや既に…結婚式の日取りはいつだ?」
「ちょっとエルザ!! 話飛びすぎでしょっ/// てか、エルザとジェラールこそその辺はどうなのよ〜! ……キスしてないの!?」
「ぬっ/// ジェッジェラールとは……いつ会えるかも…判らないしな…」
「……エルザさん」

 寂しそうに遠くを見つめるエルザに、ジュビアはその手を取って握りしめた。

「え? ジェラールなら、よくエルザの後ついて、歩いてるじゃない?」
「そうだよねっルーちゃん。離れて歩くデートなのかと思ってたもんっ。違ったの?」
「なっ!! ルッルル……ルーシィ!! レビィっ!! それはいつの事なんだ!?」
 
バンッと机に手を置き、エルザが立ち上がり、その勢いのままルーシィの腕をきつくつかんだ。危険を感じたルーシィは、額からタラリと汗を流しながら、慌ててエルザを落ち着かせている。

「エルザ……気付いてなかったの!?」
「それなら…多分私も見たことあります。……ミストガンさんのような装い…ですよね…」
「ミストガンの格好で……ジェラールが……マグノリアに……」
「あっ!!そっか。マスターに報告に来てるんじゃない? ジェラールに、いろいろ裏で動いてもらってるみたいだし」

そう言えばと、レビィがポンと手を叩いた。呆然としてしまったエルザに、ルーシィがニヤニヤした顔を向けた。

「表向き他のギルドのメンバーだけど……ジェラールって、既にうちらの仲間みたいな感覚するもんよね〜。それに、エルザがいるからねっ。ついつい足が向いちゃうんじゃないかなぁ?」
「……見守っていて、くれ……るのだな」
「エルザをね……きっと、そうだよっ」
「……私は、幸せ者だな」

 胸に手を当て、優しく微笑みながらエルザは目を閉じた。

「だが次は是非、私にも姿を見せてほしいものだな」

ポツリともれたエルザの言葉に、皆目を見合わせた。次、ジェラールがマグノリアに現れれば、確実にエルザの元へと連行されるのであろう。――きっと明日にでも。

「ジュビア…お茶変えてきますねっ」
「あっ私も手伝うよ〜」

ジュビアが紅茶を入れ替えるために席を立った。その後ろをレビィが追いかける。その場に残ったルーシィは、小さく微笑むエルザの手を取った。

「大丈夫だよエルザ。きっと、自分を許せる日が……ジェラールにも」
「……ああそうだな。ありがとうルーシィ」

エルザが優しく微笑んだ。何だかんだと言っても、エルザがこのように気を許して女子会で話をするようになったのは最近だ。そう。ルーシィやジュビアが、ギルドに入ってからだろう。特にチームを組むルーシィの存在は、大きいのかもしれない。それに、幼少の頃より面倒を見てきたナツやグレイに寄り添う少女達は――可愛いのだ。可愛いものが大好きなエルザは、ついつい近づき、少女達を傍らで見守っているうちに――いつの間にか、エルザが着こんでいた見えない鎧が、脱がされていたのかもしれない。

「そういえば、ルーシィはどうなんだ?」
「ほぇ? ……何が?」
「ナツの事でしょ〜。そこんとこ私も気になってるんだけど、ルーちゃんっ」
「……ジュビアは、早く恋敵が減ってほしい…」

 キラキラとして目で、ルーシィの顔を覗き込んでいるレビィと、保護者のようにやさしく微笑むエルザ、グレイ以外なら誰でもいいですよっというジュビアに、ルーシィは頬を染めた顔を見せた。

「なっナツ/// ナツなんて……いつも勝手にあたしんち入ってきて……食糧荒して…」
「……それで?」
「それでも、常に一緒にいますよね。ルーシィとナツさん達」
「なっ……チッチームが一緒だからっ///」
「チームが一緒というなら、私もそうだが…私は休日まで一緒に行動しないな。それに…我々が別の依頼に行っている時でも、ルーシィはナツとハッピーと依頼に行くのだろう?」
「そっそれだって、あいつ等が勝手についてくるって……言うから……」
「で〜もっ、ルーちゃんは嫌々言いながら、一緒に行くんでしょ〜。楽しいから」
「うっ……まぁ///」

俯き加減で、林檎のように頬を染めたままルーシィは目を泳がせた。

「ナツさんは、何でもルーシィ中心に、世界が回っているじゃないですかっ。ジュビアうらやましいっ!!」
「……そうだな。ルーシィを泣かせる奴がいたら……そいつのいる街の半壊は免れないだろうな」
「アハハハハハッ。やりそうナツって!! ルーちゃん愛されてるねっ」
「あっ愛/////って……まぁ……大事に思ってくれてるんだろうとは……ゴニョゴニョ/// あっ愛って言えば、どうなのよ〜ジュビアはっ」

無理やり、話の矛先を他に変えようと、ルーシィはジュビアの顔を覗き込んだ。話し振られたジュビアは、もしグレイさまとジュビアでしたなら〜///と、頭の中で転回していた都合のいい妄想を、いったん切り上げルーシィを見た。

「……ジュビアですか?」
「そ〜だよっ。グレイと……そろそろ進展あったんじゃない?」
「進展なんて……でも最近のグレイ様は、ジュビアの気持ちをはぐらかさないでキチンと向き合ってくれてるような気がします」
「あぁ〜。たしかにっ!」
 
なんか同じ土俵に乗ったって感じするよねっと、自分の事のように嬉しそうに、笑顔の花を咲かせるルーシィ。思えば、恋敵恋敵とジュビアの鋭い視線にさらされながらも、ジュビアに対しても、グレイに対しても、変に態度を変えることなく接しているルーシィは、妖精の尻尾の女子の中で、ジュビアが唯一敬語を使わずに話せる相手でもある。

ジュビアが妖精の尻尾に加わる前、仲間になりたいと願い、だが、敵であったという事実に苦しみもがいていた時、それまでのわだかまりを洗い流し、ただ仲がいいだけで出来るわけではない合体魔法を、その場でやってのける事ができる相手でもある。

 ルーシィの発言に、少しだけ胸を熱くしたジュビアの脇で、エルザも一緒に微笑んだ。

「そうだな。最近は、以前に比べ……ずいぶん打ち解けていると私も思うぞっ」
「//////そっそうですか……ジュビア、うれしい!!」
 
 ポッと染まる頬を手で覆い、ジュビアは嬉しそうにほほ笑んでいる。

「ジュビアの一途な想いが、グレイっていう氷を溶かしていくみたいだよね」
「そうそうっ。ヘタレなグレイには、ジュビア位積極的な女の子がお似合いだと、私は思うなぁ」
「そうだな。お前たちは魔法の性質も相性いいしな。互いを高められる関係でもあるんだ。きっと……その想いはグレイに届いていると思うぞ」

ポンとジュビアの肩に、エルザのやさいい手がのせられた。ジュビアはその大きな目に涙を浮かべて、恥ずかしそうに微笑んだ。

「……みなさんありがとうございます。ジュビア、妖精の尻尾の仲間になれて、とっても幸せです!! ……きっと、ガジルくんもですよっ。レビィさん」
「っ!! がっガジルの話を、なっなんであたしに振るのかなぁ〜」
「えぇ〜? だってチューしちゃった仲なんでしょっ。レビィちゃん」
「あの堅物が……レビィにちゅー……///」

「だから、チューじゃないでしょ〜!! 人工呼吸!! 緊急事態!!!」

話しが戻ってきてしまい、真っ赤な顔で両手を大げさにバタバタと振るレビィに、一斉に視線が集まった。ジュビアはポーッと、ルーシィとエルザはきらきらとした目を向ける。

「っで、レビィちゃん。初めてのちゅーの味は?」
「むっ……そうだな、そこのところ聞いていなかったな。レビィ」
「えっ/// いや。だからさぁ///」

「はぁ。起せずとも、思いを寄せ合う男女が…口づけを……はぁぁぁ…グレイ様……」

「ジュビア? ……うん。好きな人ってのが……ねっ」
「ん? どうした、レビィ?」
「うっ……うん。そうだよね。ガジルがどう思ってるかは解んないけど、好きな相手だと……チューなのかな///」

恥ずかしそうにレビィも、ジュビアが見上げる窓から覗く月夜に、思いを馳せているようだ。

「レビィ。それが人工呼吸だとも、チューだとも、どちらでも変わりはないと思うのだが…」
「フフフッ。そうだねエルザ。レビィちゃんとガジルが触れ合ったのは……ごまかしようのない事実だもんね〜」

「//////ガジル」

キャッキャキャッキャとひびく少女達の声が、妖精の尻尾の女子寮の廊下にまで響いていく。そして話題は尽きることなく……夜は更けていく……









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