ピンクのバラに捧ぐ赤い薔薇 side story

□バレンタインは大人の味
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年が明けて最初の、そして年度で最後から2番目の一大イベントであるバレンタインデー。

今年は平日ということもあり、学校のあちこちでチョコやクッキーなどのお菓子が生徒達の間を行き来し、甘い香りにあふれていた。

そんな中、紫苑も例に漏れずに手作りのクッキーが入った箱を机の上において、クラスメイトや友達に振る舞っていた。


「うまい!」

「ちょっとはじめちゃん!食べ過ぎはダメよ!」

「大丈夫。金田一が食べ過ぎること想定して多めに作ったから。遠慮せずに食べてくれていいよ。余るのも困るしね」

「だってさ!てことで、もう1枚もーらい!」


昼下がりの休み時間。

チョコを求めてさ迷う男子や他のクラスからの友達がやってくるとき以外は、金田一と美雪、紫苑の3人でクッキーを囲んでのんびりと過ごす。


「でも、はじめちゃんが何枚も食べちゃうのがわかるわ。サクサクで甘すぎないし、つい次って手がのびちゃうもの」

「口にあったみたいでよかった。でもそう言う美雪がくれたチョコのカップケーキも美味しかったよ。私が作るとこんなにしっとりしないから」

「チョコケーキ!?美雪!俺はそんなのもらってねーぞ?」

「は、はじめちゃんのは持ってくるの忘れちゃったのよ!帰りに、ね」


甘酸っぱい2人を見て、紫苑は隠れて小さく微笑む。

そして美雪が渡すだろうチョコが入らなくならないように、金田一にクッキー禁止令を出す。

そして紫苑は箱の中に残った最後の1つをつまんだのだった。



 
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