ピンクのバラに捧ぐ赤い薔薇
□予感
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「なんでここにいるの?」
紫苑の実家のリビングで、ソファーに座る自分の隣に腰かけてきた男に紫苑は聞く。
そして向かいのソファーに座る修司の方を向いて問う。
「お父さん、これは一体どういうことなの?」
娘の問いかけに修司は特に動じることもなく微笑んだ。
「さっき言ったとおりだよ。紫苑、彼は今日から少しの間この家に滞在する、加奈子の友人の息子さんの近宮遙一くんだ」
紫苑は再び隣に座る男の方を見た。
男はどこからどう見ても紫苑のよく知る高遠遙一その人で、近宮遙一と紹介された変装もしていない高遠は目が合うとにこりと笑った。
「短い間ですがお世話になります紫苑さん」
紫苑は軽く頭を抱えながらため息をついた。