桃色の愛
□迫り寄る彼
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―――と、言うわけで現在に至る。
何を考えているんだこの人は!
歳が16歳になったからと言って、異性と体の関係をもつなど私の中では許されない!
だってそれってつまり私と若様が、ヤ、ヤ…るって事でしょ!?
いや無理!絶対無理!!知識でしかそういった情事事を知らないのに出来る訳がない!
「何を百面相してるんだか、随分と余裕だなァ?」
「余裕なんてありません!」
じりじりとこっちへ迫って来る若様から後ずさろうとして、また体がピタリと止まった。
何なんだこんな時に!指一本として動かない!緊張のし過ぎではこうはならないと思うんだけど…ッ。
「逃げられると思ってんのか?」
思ってないですけど是非そうさせて頂きたい!
自然と涙目になっているような屈辱感が私を更に追い込んでくるけど、今はそんなものに浸っていたってこの場から逃げ出さない限りはどうしようもないし!
頭の中がぐるぐると混乱している最中、若様が利き手の人差し指をクンッっと手前に引き下げた。
その様子に瞬きを送るより速く、ベットの端に居た私の体がずるりと布団へ背中から滑り込む。
「!?」
「フフフッ、逃げられやしねェさ」
得意気な笑みが私を見下ろす。
自分の身に何が起こったのか未だに理解出来ずにいると、若様が私の上へ覆いかぶさり、いとも簡単に組み敷かれた。
「な、なッ!?」
「さァて、どうしようかァ」
どうもしないで下さい!!などと言う暇などなく、若様の手が私の頬に触れる。
否応なしにびくんッっと体を震わせれば、独特な笑い声が返ってきた。
“既成事実”若様は確かにそう言ったけど、本当にするつもりなの…?
「ひとつ聞くが、今まで男と付き合った事はあるか?」
「な、無いですが…」
「フッフッ、そうか、ならまずはキスから教えねェといけねェな」
キス?それくらいなら教えてもらわずとも知ってますけど…なんてのたまわった自分を後で罵っててやりたい。
若様の言っているキスは、私の知っているそれとは比べ物にならなかった。
「んッ…んんッ!?」
突然口付けられたかと思うと、途端に唇の割れ目を割って、若様の舌が口内に侵入してくる。
ねっとりと絡み付く舌同士の感触と卑猥な音が耳の奥まで響いて感覚を麻痺させていった。
「んッ…ふぅッ…ッはぁ!」
「フッフッフッ、初々しい反応だな」
酸素を大きく吸い込んで荒くなった呼吸を整えながら、赤い舌をちろりと見せるように口元を舐める若様の艶っぽい姿を視界に納める。
女の人ならともかくとして、男の若様がこれほどの色気を放てるとは…さすがの私でもクラクラと眩暈が起こりそうだ。色んな意味で。
「また考え事か?」
「えッ、いや…すみません」
「お前はよく物思いに耽る癖があるなァ、この俺を前にしても」
「…誰でもこんな状態に置かれたら、色々と頭が混乱すると思うんですが」
「ほォ?例えば次に何をされるのか、とかか?」
「まァ、そうです…ね!?」
言い終わるや否や、若様の手が服の中に滑り込む。
内側を弄る手を抑えつけようと手を伸ばすが、逆に空いている手で両手首を枕元に縫い付けられた。
これでは抵抗ができない。その間に若様の大きな手が私の胸の膨らみを包み込んだ。
「ッん!」
「掌サイズ、いや、それより小さいか?可愛らしいなァ」
「い、言わないで下さい!!ッや」
下着の上からではあるけれど、ゆっくりとまるでマッサージするかのように優しく揉み扱かれては出したくない声も自然と漏れてしまう。
若様は私の反応を楽しむように、強弱をつけてひたすら手を動かしてきた。
「やめッ、若ッ…様ァッ」
「フッフッフッ、ただ胸を揉んでいるだけなのに敏感だなァ?シアよォ」
わざとらしい彼の言葉に顔を背けて必死に耐えていると、パチン!っと微かに聞こえた音と共に、胸周りを覆っていた下着が肌から離れる感覚が伝わった。
この下着も、実はというとジョーラさんが用意してくれたもので、ホックは…前ホックでした。外されました!慣れた手つきで!
「な、何するんですかッ」
「外したんだよ、ちゃんと触る為に。それに見たいからな」
「堂々と言わないでッ、あッやぁ!」
ガバっと服を捲りあげられ、若様が顔を私の胸元に顔を埋める。
見られている恥ずかしさに意識が向くよりも速く、ぴちゃりと冷たい感触が胸の突起に吸い付いてきた。
痺れるような感覚が駆け抜けて、抑えられた手首を反射的に捩じる。
「やッ…いやッ、ダメッ」
「――チュ、何が嫌なんだ?こんなに尖らせておいて」
厭らしいリップ音をたてながら若様は再度突起を口内へ咥え込み、よく動く舌先で愛撫してきた。
与えられる快感に身体がびくびくと反応し、抵抗しようと捩じっていた手首に力が入らなくなってくる。
「は、ぁ…やッ…んんッ」
「感度が良いじゃねェか、本当に初めてかァ?フフフッ!」
ぐったりと寝台へ体を預ける私を見下ろして嗤う若様。けど手が止まることはない。
次に彼が手を伸ばした先は、膝を割り込んで開かされていた足の間。
「ッ!!」
「おっと、閉じるな。触れないだろう」
「触らなくて結構です!」
「フッフッフッ、元気じゃねェか。まァその内体力もついてくる」
そんな体力要りませんーーー!!
なんて心の中で叫んでみるが、伝わるわけがない。
若様の長い指が器用に下の方の下着も取り払って、隠されていた秘部へと滑り込む。
「――ッッ」
「安心しろ、今日は最後までヤるつもりはない。力を抜け、シア」
「いっ…た!ぃや、ですっ若…様っ」
痛い。異物が狭い腔内を押し拡げるように侵入してくる圧迫感が気持ち悪い。
痛みに表情をしかめて力んでしまっている私を見て、若様が軽く舌打ちをしたのがわかった。
「シア」
「っ、あ…んんぅ!」
呼ばれて顔を向けると、上から降ってきたのは乱暴なキス。
でもそれは徐々に優しいものに変わり、私の体から自然と力が抜けていく。
「ふっ…ん、んんんっ!」
それを見逃さず入れられた二本目の指が、更に腔内を広げて、二本同時に抜き差しを繰り返された。
最初にあった痛みはどんどん快感へと変えられていく。
繰り返される指の動きが深くなっていき、ググッっと差し込まれた瞬間に指先が掠めた箇所から思いも寄らぬ衝撃が駆け抜けた。
「あッ、ああッ!」
「ん?フフ、ここか?」
「やッ、やッ!」
何かを見つけたと言うように舌なめずりをして、執拗にそこばかりを弄ってくる若様に必死に首を振る。
でも手を止めてくれる事はなく、内側から迫って来る何かに突然恐怖を覚えた。
「若様ッ、怖いッ…あッ」
「怖がるな、俺にしがみつけ、シア」
解放された両腕を言われた通りに若様の首へ回して抱きつく。
伝わる体温が心地良いのに対して、迫って来る快感の波はどんどん強くなっていった。
「あッあッ…やッああああッ!」
耐えられなくて若様の首にぎゅうっとしがみつき、襲ってきた絶頂に身体を仰け反らせる。
びくびくと余韻を残す体から力が一気に抜け、突如やってきた眠気に意識が攫われていく。
「今日はここまでだなァ、フッフッフ!」
私の頭を撫でる若様の優しい手が、眠りの中へと私を誘った。
END
※この頃からドフラミンゴが能力者だったのかどうかは、勝手に想像しました!