ポケモン!
□悪夢の最中
1ページ/1ページ
「ん…こ、ここは…?」
ヨノワールは、夢の中にいた。
それはけしていい夢とは言えないものだった。
辺りに漂う黒い気。それはゴーストタイプである彼にとっても不快に思える。
何と言うか、こう………絡み付くような。
ふと誰かの気配を感じる。
そこには、影のようなポケモンらしきものが浮かんでいた。
「…お前、は?」
「私は…ダークライ。お前に悪夢を見せている」
姿がハッキリしてきた。
人間に近い姿のそれ―――ダークライは、ヨノワールに近付いてきた。
ヨノワールは思わず後ずさる。
ダークライは悲しげに呟く。
「ドウシテ…?」
静かに響いたその声は、ヨノワールの頭に反響する。
その言葉の理由を理解するのには、さほど時間はかからなかった。
「す、すまない………」
そっと近くに寄った。すると、ダークライは彼の手を自らの手で優しく包み込み、嬉しそうに彼を見上げる。
「あったかい」
「…………は?」
ダークライが舌足らずに言ったことに、首を傾げる。
「何が言いたい」
「ヨノワール………あったかい………」
まるで幼子のように――幼子かもしれないが――彼にすがりつく。
その目の輝きは、乙女そのものだった。
それにしても。
彼女(ということにしておこう)は一体、何故ヨノワールの夢にいるのか。
何故彼に対して友好的なのか。