サンジさんラブ(長編)

□あなたの世界
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『あなたの世界』






時は2012年。


私は発売されたばかりの、大好きなONE PIECE
66巻を読んでいた。


二年の時を経て集結した麦わらの一味が力を合わせて魚人島へと到達し、さらには魚人島を滅ぼそうとしていたホーディージョーンズ達を討ち滅ぼした。

そして夢にまでみた魚人島を後にし、海上へと向かっている。

ルフィ「この海底を抜けたら!!
  世界最強の海だ…!!!」

ゾロ「やっとだな…全部斬ってやる」

ブルック「待ってて下さいラブーン
   あと半周!!」

ナミ「いいわよ どこでも連れてったげる!!」

フランキー「そうさ サニー号なら行ける!!」

チョッパー「好きなだけケガしろ みんな!!」

サンジ「食うことにはおれが困らせねェ!!」

ウソップ「海の戦士も乗ってるしなァ!!!」

ロビン「フフ…」

ルフィ「行くぞ野郎共ォ〜〜〜!!!
  『新世界』へ〜〜!!!!」

一同「ウオオオオオ〜〜〜〜〜!!!!」


      ・

      ・

      ・

      ・

      ・

「えっ!?」

一同「ん?」

「えーーーーーっ!!!!???」

チョッパー「な、なんだ?」

ルフィ「だれだお前?」

ゾロ「それよりどうやってこの船に乗った?」

ロビン「そうね、人魚でも魚人でもなさそうだ
   ものね。」

ウソップ「人間がこの船にどうやって…」

ナミ「シャボンの中に入って追いかけてきた
  とか?」

フランキー「おい、お前っ!何者だっ?」

な、な、な………なんだこれ?なんだこれ?
なんだこれーーー??????

部屋でONE PIECE読んでたはずなのに…
本人達が目の前に!!!

「え、あ、あの……何者でもないんだけど。
 あの………私にも何がなんだか……。
 私…部屋で本を読んでたと思ったらなぜか
 ここに……」

サンジ「そうだったのかー。
  かわいいお嬢さん、怖がらなくていいよ!
  おれはサンジ!」

生サンジっ!!
カッコいい!!背高い!!素敵ーっ!!

漫画を読んでいるだけでは決して伝わって
こない、タバコの香りが鼻をかすめた。

ブルック「そうですよー。怖がらないでー!
   私は死んで骨だけブルック。
   以後お見知りおきを!」

「サンジ、ブルック!私はアリスです!
 よろしくね!!」

ゾロ「妙だな。ブルックを見ても驚かねぇ
  なんて……」

ロビン「確かに。」

ブルック「ちょっとゾロさん、ロビンさん!
   わからないんですか?
   今 私に最大のモテ期がキテるんです
   よ!そうですよね?アリスさん!
   一目惚れでしょ?」

「うん、一目惚れかもー♡」

私はポケーっとサンジに見とれながら答えた。

ウソップ「えーー!!嘘つけー!!」

ブルック「ヤキモチ妬かないで下さい!
   アリスさんは私に夢中なんです!」

ロビン「ブルックじゃなくてサンジの方を見て
   言っているわ。」

膝をついて泣くブルックをよそに、サンジが
話しかけてきた。

サンジ「ところでアリスちゃん、
   君は一体何者ー!?」

ヘラヘラと聞いてくるサンジに私もヘラヘラと答えた。

「何者でもないってばー!普通の人ー!」

ウソップ「普通の人なのに一体どうやってこの
   船に…」

フランキー「それに目的はなんだ?」

「んもー!
 ウソップもフランキーもうるさいっ!
 今サンジとお話ししてるんだから邪魔
 しないでよ!」

ゾロ「ちょっと待て!
  お前何でウソップとフランキーの名前
  知ってるんだ?」

「うっ、えっと……それは………」

しまった。

この世界が漫画の世界だと知ったら皆はどう思うだろうか。
自分達が葛藤し生きてきた人生が、誰かによって作られた世界だったと知ったら、どんなショックを受けるだろうか。

ウソップ「ままま、まさか賞金稼ぎか?」

ルフィ「答えろ!!
  おめぇは何でウソップとフランキーの
  こと知ってんだ!?」

「……わかった、答える。
 だけど……皆の人生にも関係するよ?
 すごくショッキングな内容だけど、覚悟は
 いい?」

ナミ「人生に関係するショッキングな内容?」

ウソップ「うっ……
   話を聞いたら死んでしまう病が……」

チョッパー「おれ、覚悟できねーぞー」

いつもの弱気トリオが引いている。
彼等には話さない方がいいだろうか…。
………少し試してみよう。

「もしかしたら……アーロンに支配されていた
 ということよりもショッキングかも。」

ナミ「えっ!??」

「黒ネコ海賊団が村を襲ったことよりも。」

ウソップ「な、なんで……」

「ドクターヒルルクが亡くなったことよりも」

チョッパー「何で知ってるんだ!?」

「ルンバー海賊団が毒矢にやられたことより。
 トムさんが司法の島へ連れて行かれたこと
 より。
 オハラの島がバスターコールによって無く
 なったことより。
 断崖絶壁の小さな無人島で餓死しそうに
 なったことより。
 クイナが階段から落ちて亡くなったこと
 より。
 シャンクスの腕が海王類に食べられて
 しまったことよりも!」

私はひとりひとりの顔を見ながら、少し脅すかのように話すと、案の定 皆は驚いた。

ロビン「っ!!」

ゾロ「こいつ……誰にも話していないはずなのに。」

ルフィ「シャンクスのことまで…」

「本当に覚悟はいい?」

ナミ「ま、待って!その前に何でそんなに色々知ってるの?」

「それも関係しているの。」

ウソップ「待ってくれ!おれまだ覚悟が!」

「じゃあ覚悟ができてる人だけに話す?
 ……あっ!その前に、海上に出るみたいじゃ
 ない?」

私は光さす海上を指差した。
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