サンジさんラブ(長編)
□記憶喪失(サンジ追の番外編)
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『記憶喪失』
“ サンジさんを追いかけて ” 番外編
ある日の昼下がり。
アリスとサンジは二人きりでキッチンにいた。
せっかくの二人きりだったがサンジは料理中で、アリスはサンジに構ってもらえずに暇そうにしていた。
「サンジさん!何か手伝わせてよー」
アリスは愛しいサンジのそばを離れたく
なかったし、ただ椅子に座って彼を眺めているのにも飽きていた。
サンジ「うーん…じゃあ甲板で魚を釣ってきて
くれよ!」
手伝ってもらうことなど特になく、てきとーに返事をした。
「それならもうルフィ達がやってますー!
ぶー。」
アリスは面白くなさそうに頬を膨らませた。
サンジ「ゴメンゴメン、じゃあ……そうだなぁ
………あっ!食料庫からニンジン3本
持ってきてくれるかい?」
「キッチンから追い出そうとしてないー?」
サンジ「してない、してない!ニンジンだけ
持ってくるの忘れちまったんだ。
持ってきてくれると助かるんだけど、
お願いできるか?」
キッチン台の上に並べられたら野菜の中に
ニンジンがないのを見たアリスは満足そうに微笑み、キッチンを後にした。
サンジ「やれやれ。ニンジンを使うメニューを
考えねぇとな。」
アリスが出て行った後、サンジはため息をついたが、顔はニコニコと笑っていた。
彼もまた、彼女のことが愛おしくて仕方がないのだ。
ダイニングと食料庫を繋ぐドアは今 修理中だった為、外をぐるりとまわって取りに行かなければならなかったが、アリスはご機嫌だった。
「♪一本でーもニンジン♪」
鼻歌を歌いながら、アリスは食料庫に入った。
「サンジさんのお手伝い嬉しいなー!」
バタンッ
ニンジンを三本手に取って立ち上がろうとした時、外から強風が吹いてドアが勢いよく
閉まった。
「わっ!!ビックリした。」
ガチャガチャ
外に出ようとドアノブを回したが、ドアを開くことはできなかった。
「あ、開かない。だ、誰かイタズラしてるの?
ねぇ、開けてー!お願ーい!」
そういえば、食料庫に入る時、ドアの向かいにバケツに入ったモップが置いてあったのを
思い出した。
おそらく風でそれが倒れ、ドアに引っかかっているのだろう。
そう思ったアリスはパニックに陥った。
「だ、誰かっ!!お願い!開けてっ!!」
大声で叫ぶアリスの声は、誰の耳にも届くことはなかった。
「たす…けて………おねがい…します。ぐすっ。
……ごめんなさい。あけて下さい…」