サンジさんラブ(短編)

□秋島
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【秋島】






ナミ「次の島の気候に入ったようね」

ルフィ「てことはもうすぐ島に着くのかー?
  ワクワクすんなー!」

チョッパー「次の島は何島なんだ?」

ナミ「秋島よ!」

「わぁ、私 秋 好きー!楽しみだなぁ!
 サンジさんにも教えてあげよーっと。」

ワイワイと騒がしい船首から1人離れた私はキッチンへと向かった。





「サーンージーさんっ!!」

サンジ「ん?何だい?アリスちゅわん」

愛しい人が私の呼び掛けに振り向く。
おやつを作っていたようで、シャカシャカと
何かをかき混ぜる手は動いたままだ。

「何 作ってるのー?」

サンジ「おやつだよー」

それはわかってる。

「何のおやつですかー?」

サンジ「それはできるまでのお楽しみです、
   プリンセス」

「えー。じゃあ次の島が何島か教えて
 あげなーい!」

おやつが何か教えてくれないのはいつもの
ことだし、お楽しみに待っている時間も実は
結構好き。
だけどちょっと意地悪したくなってしまい、
もったいぶってみせた。

サンジ「じゃあ…ヒントくれよ!」

「ヒント?んー……私の好きな季節の島だよ!」

サンジ「アリスちゃんの好きな季節?
   うーん……」

サンジさんが私をじーっと見つめた。

「そ、そんなにじっと見られると恥ずかしい。」

サンジ「照れるアリスちゃんもかわいいなぁ。
   うーん…………春?」

「はずれー」

サンジ「じゃあ夏?」

「夏は一番苦手。」

サンジ「冬?」

「ぶー」

サンジ「秋が好きなの?」

「うん!過ごしやすいし紅葉とか綺麗だから
 好きなの!サンジさんは?」

サンジ「おれはアリスちゃんが好きっ!」

はうぅぅー。
まさかの答えに私の胸はズキュンと撃ち抜かれた。

ニコニコと微笑むサンジさんに、私は赤面し
ながらも寄り添った。

「あ、ありがとう!私も…サンジさんのこと、
 好きっ。」

サンジさんの腕に寄りかかり、キュッと彼の
エプロンを掴んだ。

シャカシャカとかき混ぜる音が突然聞こえなくなったと思った次の瞬間、彼の顔が目の前に現れた。

サンジ「アリスちゃんクソかわいい。反則だぜ。」

サンジさんは私の唇にチュッと口づけすると、またシャカシャカとおやつ作りを再開した。





しばらくしてからキッチンの扉が開き、
ロビンが入ってきた。

ロビン「新しい島に着いたわ。けれど、木の一本
   もはえていない、何もない島だったわ。
   残念ね。」

「えー!?」

サンジ「行ってみよう」

私達は揃って甲板へ出た。





新しい島を前に全員がガッカリしていた。
それもそのはず。
島は小さく、生き物はおろか草木さえも
はえていなかった。
いつもは、島だー!冒険だー!だのと
はしゃぎまわる船長も、今日は静かだった。

ルフィ「なーんもねぇな。」

ウソップ「島の向こう側まで見えちゃってるしな」

ナミ「ログがたままったらすぐに出航しましょ」

「残念。紅葉楽しみにしてたのになぁ。」

私もガックリと肩を落とした。

サンジ「おい、ウソップ。ちょっとこっち来い!」

サンジさんはウソップを連れて、ハッチから
ソルジャードックへと降りて行ってしまった。
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