サンジさんラブ(短編)

□ぎゅっと
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【ぎゅっと】





「ねぇ、サンジさん……」

サンジ「なんだい?アリスちゃん」

サンジさんが私を見ずに返事をした。

「ぎゅーってしてほしいなぁ」

今キッチンにいるのは私とサンジさんだけ。
私は読む気のない本をペラペラとめくり
ながらサンジさんを見つめた。

サンジさんは包丁を握り、トントンと野菜を
切っている。

サンジ「もうちょっとだけ待っててくれ!
   今包丁持ってるから!
   (終わったらあんなことや
   こんなことを…。ゲヘヘ…)」

『トントントントン』

リズムよくまな板を叩く音が響く。


サンジさんは野菜を切り終えると、鍋に
サーっと流し込んだ。

サンジ「よし、後は洗い物が終わったら……
   アリスちゃん!?」

私は後ろからサンジさんに抱きついた。

「もう包丁使ってないから危なくないでしょ?」

サンジ「そ、そうだけど……」

「ダメ?」

サンジ「ダメじゃない……」

私が後ろからぎゅっと抱きつきながら、
サンジさんは洗い物を続けた。






サンジ「さ、アリスちゃん、
   洗い物が終わったから、後ろから
   抱きつく時間も終わり!」

サンジさんはそう言うと体に巻き付いていた
私の手をはがした。

しょんぼりしてイスに座ろうと後ろを向くと、後ろからサンジさんの腕がまわってきた。

サンジ「今度はおれがぎゅってする番!」




           【ぎゅっと】おわり


 

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