+零崎遥織の人間欺瞞+
□stage1
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もう、いいや。
我慢なんてしてもこんな目に合うんなら、こんな世界いらない。
このまま犯されて売るなりなんなりすれば―――
ほんとうに??
「おねぇちゃん…?」
恐る恐るリビングに入ってきたのは大切な、大切な―――、
「え…、おねぇ、ちゃ…」
「あら、ほらもう一人のカモが来たわよ」
母親の声。あの子に近づく男。
ほんとうに??
ほんとうにここで終わっていいの?
あの子を守れないまま?
あの子が傷つけられるのに。
黙ってそれを見てるの?
あの子を見捨てるの?
……そんなの、そんなの―――、
『できるわけ、ないじゃない』
そして私は、近くに転がっていた鋏を…
手に取った。
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